~助演の凄み~ミュージカル『二都物語』(2025/6/11@梅田芸術劇場)【観劇レポ/感想】

舞台レポ

※本記事には広告が含まれています。

本記事には若干のネタバレを含みます。

こんにちは、しろこです。

私、、、ついに買ってしまいました、、、叩き売りのチケットを(苦笑)

いつも正規料金(プラス、先行販売手数料やらなんやかんやの手数料を払って)でチケットを購入しておりました。

なので、叩き売りのチケット情報を目にするたびに、「この叩き売りシステム、どうにかならんもんですかねぇ。。。」とボヤいておりました。

・・・買ってしまいました。。。

なんかすみません(;´∀`)

公演の数日前にプレイガイドからメールが来て、「あ、この公演、気になってたけど他にもっと行きたいのがあったからチケット買わなかったやつだ…」と思って、、、ポチッ。

て、手が、、、手がーっっっ!!(ムスカ大佐のイメージでどうぞ)。

仕事終わりの夜公演の観劇なんて久しくしていなかったので、体力持つかなと思っていましたが、助演の凄みに圧倒され、夜もあんまり寝付けませんでした(笑)

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あらすじ

18世紀後半、イギリスに住むルーシー・マネットは、17年間バスティーユに投獄されていた父ドクター・マネットが酒屋の経営者ドファルジュ夫妻に保護されていると知り、パリへ向かう。無事に再会し父娘でロンドンへの帰途の最中、フランスの亡命貴族チャールズ・ダーニーと出会うが彼はスパイ容疑で裁判に掛けられてしまう。そのピンチを救ったのはダーニーと瓜二つの酒浸りの弁護士シドニー・カートン。3人は親交を深め、ダーニーとルーシーは結婚を誓い合う仲になる。カートンも密かにルーシーを愛していたが、2人を想い身を引く。穏やかな暮らしが続くかに見えたが、ダーニーは昔の使用人の危機を救おうと祖国フランスに戻り、フランス革命により蜂起した民衆たちに捕えられてしまう。再び裁判に掛けられたダーニーだったが、そこで驚くべき罪が判明し、下された判決は死刑。ダーニーとルーシーの幸せを願うカートンはある決心をし、ダーニーが捕えられている牢獄へと向かう――。

『二都物語』オフィシャルサイトより

主な配役

※人物紹介はしろこの主観によるものです。

シドニー・カートン:井上芳雄
酒浸りで自暴自棄の弁護士。イギリス人。ルーシーと出会い変わっていく。

チャールズ・ダーニー(シャルル・エヴレモンド):浦井健治
フランス貴族。父親が死亡したため叔父であるエヴレモンド侯爵に育てられる。貴族に嫌気が差し、爵位を捨てイギリスに渡る。

ルーシー・マネット:潤花
ドクター・マネットの娘。

テレーズ・ドファルジュ:未来優希
酒場を営むドファルジュの妻。いつも編み物をしている。壮絶な過去を持つ。

エヴレモンド侯爵:岡幸二郎
ダーニーの叔父。女癖が悪く、民衆を蔑んでいる。

バーサッド:福井貴一
したたかな情報屋。根っからの悪人ではない。

ジェリー・クランチャー:宮川浩
ロリーの用心棒(?)。カートンと懇意。

ドファルジュ:橋本さとし
酒場の主人。ドクター・マネットの元使用人で、出獄したマネットを匿っている。

ドクター・マネット:福井晶一
ルーシーの父。17年間バスティーユに投獄されていた。

ジャービス・ロリー:奥山寛
銀行家。マネット家の財産を管理している。

ミス・プロス:塩田朋子
長年ルーシーの面倒をみている。

弁護士ストライバー:原慎一郎
カートンの同僚。

幼いルーシー:齋藤菜夏
幼少期のルーシー。

小さなルーシー:高木郁
ルーシーの娘。カートンによく懐いている。

ガスパール少年:松坂岳樹
酒場で働くガスパールの息子。エヴレモンド侯爵の馬車に轢き殺される。

上演時間

【1幕】17:30〜19:00

(休憩25分)

【2幕】19:25〜20:35

感想

前半は、純文学がそのまま舞台化されたような感じで、人によっては退屈に感じるかもしれません。

チャールズ・ディケンズの原作は読んだことがありませんが、若干設定が異なる部分はあるものの、ほぼ原作通りのようです。

実はあまり純文学が好きではない私。肌に合わないというか。数えるほどしか読んだことがないので、肌に合う作品に出会っていないだけかもしれませんが。
心情や情景描写はお見事としか言いようがないけれど、なんというかこう・・・イラッとする登場人物が多い気がして(;´∀`)

なので、開演から1時間くらいは、「ま、たまにはこういうのも悪くないか…」と思いながら観ておりました。これまで相当数の舞台を観ていますが、浦井健治さんを生で拝見するのは今回が初めてだったし、井上芳雄さんは10年以上ぶりだったので、役というより人を観ていた感じ。

井上さん、酔っ払い役がこんなに板につく人だとは思わなかったわ(笑)

そして、近年はテレビでよく拝見するようになったけれど、やっぱりこの人は舞台の人だなと思いました。

バレエダンサーの熊川哲也さんのように、登場するだけで目を引くし、歌うと舞台の空気が一変する役者さんです。プリンスと呼ばれて久しいですが、そのうちキングとか皇帝とか呼ばれるようになるのかしら​(^m^)

本作は、作品紹介のあらすじを読むと結末の想像がついてしまいます。

その結末にどう持っていくのか、このままのトーンで終始物語が進んでいったら、ひたすら睡魔との闘いになってしまう…と不安がよぎり始めた頃、、、

エヴレモンド侯爵の馬車が民衆を蹴散らし、少年(ガスパールの息子)の命を奪います。

この出来事を機に、貴族を目の敵にしていた民衆の導火線に火がつきました。

それまで台詞はほとんどなく、椅子に座ってずっと編み物をしていたテレーズが感情をむき出しにし始め、空気が一変します。

テレーズを演じるのは未来優希さん。

初めて拝見したのは2014年の『レディ・ベス』だったかなぁ。

歌も芝居もめちゃくちゃ上手くて、帰ってすぐに経歴を調べた覚えがあります(元宝塚の方でした)。

編み物をしていた時から、目線や表情で腹に一物がある人物だとは思っていたけれど、、、。

眠気が吹き飛んだところで、1幕終了。

2幕冒頭は激しいバスドラムの音で始まります(気を抜いてるとビクッとするぐらい激しいリズムで始まります)。

板付きはジャコバン党員の格好をした民衆。

貴族を演じる道化。

『1789』や『マリー・アントワネット』の世界(フランス革命)に入ります。

舞台はイギリスとフランスなので、『スカーレット・ピンパーネル』の要素も少しあります。

ドクター・マネットはなぜ投獄されたのか、エヴレモンド侯爵とダーニーの父親は誰に何をしたのか、テレーズの過去に何があったのかなど、点と点とが線で繋がり、終盤に向けて畳み掛けるように物語が動いていきます。

1幕の冒頭に登場する血まみれの若い2人。

この2人の存在を覚えておいてください。

​さて・・・自分で書いておいてなんですが、主演3名の話がほとんど出てきませんね。まぁ、私の場合、いつものことっちゃいつものことですが(-_-;)

いや、なんかね、原作がそうなのか、演出が原因なのか、単に私の惹かれるポイントがズレてるのか分からないんですが(多分3番目の理由が大きい…)、カートン、ダーニー、ルーシーに関しては、描き方が足りない気がしまして…(睡魔に負けて聞き逃し&見逃した部分もあるかもしれませんが…)。

カートンがあそこまで酒浸り&自暴自棄で孤独を抱えていた理由も、ルーシーに告白しておきながらダーニー&ルーシー夫妻や関係者と家族のようになる(そして彼らの子どもがめちゃくちゃ懐いてる)過程も、よく分かりませんでした。

あらすじに「ダーニーと瓜二つのカートン」とあるけど、はて・・・?

身代わりになるぐらいだからそれなりに似てるのかもしれないけど、処刑前に出会ったお針子は、顔を見た瞬間に別人だと気づいてたし。。。

ダーニーが、カートンが身代わりになろうと思うほどの人物には見えなかったし。。。(身代わりになったのは、ダーニーのためではなくルーシーと子どものためだったのかもしれないけど)

また、個人的には、最後の最後でギロチンの音が欲しかったです(これは完全に個人的な好みの問題)。

薬でダーニーに眠らされたカートンが目覚めて、すべてを知った時、彼はどう思うのか。

ダーニーに関わっていた人々は、残りの人生をどう生きるのか。

そう考えずにはいられない終盤でした。

争いや戦いの話というのは、描き方によって善悪の見方が180度変わることがあります。

振り上げた拳をどこで下ろすのか。

赦すことが救いとなるのか。

憎しみは世代をいとも簡単に超えてしまうのか。

一族を根絶やしにすると心に誓った者が、翻意したきっかけとは――。

本作『二都物語』はミュージカルですが、特に印象に残る歌はありませんでした。

​歌よりも、「重厚な芝居を観た」という感覚です。

未来さんはじめ、エヴレモンド侯爵役の岡幸二郎さんもバーサッド役の福井貴一さんも、とにかく全員が助演俳優賞ものでした。

ドクター・マネット『彼に罪はない。子どもだったんだ!』
テレーズ『私だって子どもだった!』

フランス革命から236年。

人間に憎しみの連鎖を断ち切ることは、はたしてできるのでしょうか。

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