~待望の再演~宝塚歌劇星組公演『1789ーバスティーユの恋人たちー』(2023/7/2@楽天TV)【観劇レポ/感想】

宝塚レポ

本記事には公演のネタバレを含みます。

※本記事には広告が含まれています。

すっかりご無沙汰しております、しろこです。
なんと2ヶ月以上ぶりの投稿です。いやはや。。(;´∀`)

拙ブログ『まるかて。』は、メニューを見ていただくと分かるように、別に観劇レポ・ライブレポに特化したブログではありません。
が、観劇レポ・ライブレポ以外の記事を書くのは、実はかなり労力がいるのです(←バラすな)。

本当は6月中旬に投稿する予定だったんですよ。

投稿する予定だったんです、星組『1789ーバスティーユの恋人たちー』の観劇レポを・・・。

ええそうです、はい、チケットを取っていた公演が中止になったのです(号泣)

「初日の時間を繰り下げて幕を開けるってどゆこと?」と思っていたら、翌日から公演中止。そして中止期間延長の発表。

少なからずの人が、「無理に初日だけ上演しなければ、中止するにしても期間が短くなったかもしれないのに…」と思ったのではないでしょうか。初日に運良く観劇できた方々には申し訳ないけれど、少なくとも私はそう思いました(嫉)

なんかね、当日中止発表があった月組『グレート・ギャツビー』は、こちらとしても嫌な予感というか、中止もあり得るという覚悟が常にあった時だったから、気持ちの切り替えもまぁできたんです。

でも今回は結構凹みました。心の栄養、完全に枯渇。仕事と勉強に忙殺されているこの数ヶ月、「星組観てエネルギー充填!きっとまた頑張れる!」と意気込んでいたので…。

あの『1789ーバスティーユの恋人たちー』だったので…。

そして何より、今作を最後に瀬央ゆりあさんが専科に異動、有沙瞳さんが退団ということで、今の星組の布陣で上演する最後の作品だったので…。

完全にいじけてしまって(謎)、「やることあるしライブ配信を観るのは東京千秋楽だけでいっか。。」と思ったものの、「いかん、今日が人生最期の日と思って生きてるんだった!」と思い直し(たまに忘れる)、やることは土曜日に必死こいてあらかた片付け、千秋楽当日の朝ポチりました。

・・・東京千秋楽も観るっ!!

本記事には公演のネタバレを含みます。

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あらすじ

18世紀末のフランス。贅沢を謳歌する貴族とは対照的に、民衆は貧困に喘いでいた。地方の農夫であるロナンは、税金の取り立てに来たペイロールら官憲に目の前で父親を銃殺される。理不尽な世の中を憂いたロナンはパリへ向かい、ロベスピエール、ダントン、デムーランと出会ったことで革命派に身を投じる。ある日ロナンは、王妃マリー・アントワネットとフェルゼン伯爵の逢瀬を仲介するためにパレ・ロワイヤルにやってきた、王太子の養育係でありアントワネットの信任厚いオランプと出会う。オランプがついた嘘のために捕らえられ、バスティーユ牢獄に送られたロナン。責任を感じたオランプはバスティーユの弾薬庫番である父親の助けを借り、ロナンを救出する。革命側と王族側という対立する立場でありながら、互いに惹かれ合うロナンとオランプ。同じ頃、ルイ16世の弟であるアルトワ伯は、革命の芽を潰そうと密偵を放っていた。革命の波が頂点に達した1789年7月14日、ロナンたちは弾薬を手に入れるため、バスティーユ牢獄を襲撃するーーー。

主な配役

ロナン・マズリエ:礼真琴
官憲に父親を銃殺された地方の農夫。

オランプ・デュ・ピュジェ:舞空瞳
王太子の養育係。

シャルル・アルトワ:瀬央ゆりあ
ルイ16世の弟。

カミーユ・デムーラン:暁千星
革命家でジャーナリスト。

マクシミリアン・ロベスピエール:極美慎
第三身分出身の若い議員。

ジョルジュ・ジャック・ダントン:天華えま
弁護士。デムーランの友人。

マリー・アントワネット:有沙瞳
フランス王妃。

ラザール・ペイロール:輝月ゆうま
貴族将校。

ハンス・アクセル・フォン・フェルゼン:天飛華音
スウェーデンの将校。王妃の愛人。

ソレーヌ・マズリエ:小桜ほのか
ロナンの妹。

​オーギュスト・ラマール​:​碧海さりお
アルトワ伯の手先の密偵。

全体を通しての感想

幕開きから「お~、これこれこの感じ!」と思いました。
実は私、『1789』を観るの、これで3回目なんです(^_^;) 1回目は2015年の月組初演、2回目は2016年の東宝版でした。

初演当時は今ほど宝塚熱は高くなかったけれど、それでもそれまで宝塚で観た作品とは違うテイストに衝撃を受けました。「曲調も振り付けも斬新!これがフレンチロックミュージカルというものか!」という感じ。特に2幕序盤のアンサンブルでのボディーパーカッションが終わった時は、客席がなんとも言えない高揚感に包まれたのを今でも覚えています。

ストーリーは、良くも悪くもよくできた作品です。

テンポがいい、場面展開がスムーズ、中だれしない、という観客を飽きさせない3要素(しろこ談)が揃っている反面、ストーリー展開は非常に都合がいい。ロナンとオランプの出会いから恋心への発展の仕方とか、オランプの親父さんがあっさりロナンを脱獄させちゃうとか、オランプに惚れてるラマールがアルトワ伯の邪魔をして、結果的にロナンとオランプを助けることになるとか。とかとか。

それでも観たいと思うのは、やっぱり曲とダンスの良さでしょうね。

幕開きの「これこれ!」から、早速主役のロナンが登場。

・・・礼さん、めっちゃ痩せたような。。

貧困にあえぐ農夫の青年ということで、みすぼらしい衣装ではあります。
肌の色も、いつもより濃いです(黒塗りまではいかない)。

痩せて見える要素がある出で立ちとはいえ・・・ちょっと心配だなぁ。。声はちゃんと出てたし、ダンスにキレもあったけど。。休養期間でしっかり充電してくださいね(;_;)

小桜ほのかさん演じるロナンの妹ソレーヌは、ロナンを追ってパリに出て、生きていくために娼婦となります。
偶然ロナンと再会した後で歌う、ソレーヌたち娼婦の心の叫びともいえる歌は、きれいに歌うと感情が伝わらない難しい曲。東宝版の『1789』ではソニンさんが、まさに胸の内をさらけ出すように歌っていたのが印象的でした(ソニンさんはこういうのがほんっと上手い!)。

パレ・ロワイヤルでのソレーヌは、知らない人が見るとあばずれ女ではあるんだけど、悲しみや、怒り、虚しさ、無力感などを内に秘めています。小桜さん、そんな渦巻く感情を乗せて力強く歌っておられました。役の幅が広がったのではないでしょうか^^(←誰)。

2015年の月組初演で最も印象に残ったのは、王弟アルトワ伯(美弥るりかさん)とペイロール(星条海斗さん)です。

今回の星組『1789』では、アルトワ伯を瀬央ゆりあさん、ペイロールを専科の輝月ゆうまさんが演じています。

瀬央さんはダークな役も男臭い役も底抜けに明るい役も、なんでも来いですね(*^^*) アルトワ伯の、顎を少し上げて人を見下すような顔にイラッとしました(褒めてます)。妖艶さでいえば美弥さんに軍配が上がるけど、不気味さと粘着度(何だそれは)でいえば瀬央さんも負けていません!

輝月さんは身長が高くて体格がいい(至近距離で見たら細いと思いますが…)ので、黒尽くめのペイロールは立っているだけで威圧感と迫力がありました。
特に、バスティーユ牢獄に送られたロナンを折檻するシーンは、配信で見たからカメラの角度で余計にそう見えたのかもしれないけれど、蹴り方がものすごくリアルだった。

輝月さんは元月組生ということで、初演の『1789』にも出演されていたはず。当時は何役だったのかと調べたら、本公演ではラマールの手下の一人、そして新人公演ではペイロールでした!マジか!!
ちなみにラマールは現専科の紫門ゆりやさん、ラマールのもう一人の手下は現雪組2番手の朝美絢さん(新人公演でアルトワ伯)、そしてフェルゼン伯爵は暁千星さん(新人公演でロナン)でした!

なんかね、観劇歴が長くなってくると、再演された時に、前回は誰が演じたのかなと思うわけですよ。主役クラスとか印象深かった人は覚えてるんですけど、「え、そうだったの!?」という人が結構いて、そう思うのがなんか楽しい。私は新人公演の情報には疎いので、当時の新人公演の配役を見る度に「っはぁ~~~!!」と思います(笑)

休憩を挟んで2幕開演。

事前情報を入れず、まっさらな状態で観た皆さん、驚きませんでしたか?
私はめちゃくちゃ驚きました。

幕が上がって・・・まさかの客席スタート!!

客席を使う演出なんて何年ぶり!? コロナ禍になってから初めてということは・・・3年ぶりぐらい!?

画面を通しても、お客さんの驚きと興奮が伝わってきました。

そりゃそうですよね、配信で観ているこっちでさえ驚いたんだから、客席に照明が当たって後ろから気配がしてどよめきが起きて・・・嗚呼、あの空気感が手に取るように分かるわっ!!
あ”ーん生で観たかったよぉぉぉぉぉ!!!!(号泣)

別のシーンでは、ロナンとオランプが客席に下りて一番前の通路を通って銀橋に上がりましたしね。今作からついに客席下り解禁ですか!?

『1789ーバスティーユの恋人たちー』は、名もなき民衆の物語であると同時に、マリー・アントワネットの成長物語でもあります。

『1789』でのアントワネットの描かれ方は、ミュージカル『マリー・アントワネット』とよく似ています(ワガママだった王妃がフランス王妃としての自覚と矜持を持つようになり、果てる)。

『1789』では、アントワネットが捕らえられるシーン~断頭台に向かうシーンはありません。

後戻りできない状況になって初めて、王妃として、妻として、母親としての自覚と矜持に目覚めたアントワネットが歌うソロ。

歌い終わり、客席に背を向けて舞台の奥に下がる途中で照明が落ちて・・・一瞬、ギロチンの刃が落ちてくる音がします。こういう、目には見えなくとも想像力を掻き立てる演出は大好きです。

有沙さん、十分トップになれる実力と美貌を兼ね備えているのに、退団なのですね。。退団者一覧に名前があった時には本当に驚きました。最後の勇姿(それも集大成ともいえるマリー・アントワネット役)を生で観られなかったのが残念でなりません。

『1789』のように、対立する立場の人々を描いた作品を観る度に思うことがあります。

それは、

「自分はその後の歴史を知っているから、神の視点で物語を客観的に見ることができるが、その時代、その渦中にいたら、はたして状況を冷静に見ることができるだろうか。立場の違う人々のことを想像することができるだろうか」

ということです。

類は友を呼ぶ
朱に交われば赤くなる

という言葉があります。
(誰が言ったかは知りませんが、『自分の半径数メートル以内の人間関係の良し悪しが生活に影響する』というのも、言い得て妙だと思う)

同じ目標を持つのは結構ですが、同じ思想を持つのは時として非常に危険が伴います。
それは、過激派と言われる各種集団を見れば一目瞭然でしょう。

自分を信じることと同じぐらい、自分を疑うことも人間には必要なのではないでしょうか。

また、「立場の違う人々のことを想像する」というのは、何も歴史に限ったことではありません。今この時代においても、難民や被災者をはじめ、難しい状況に置かれている人々が大勢います。最近よく耳にする「心を寄せる」というのは、まさに「想像する」から始まるのではないかと思います。
(まぁこの言葉も、「寄り添う」や「安心安全」のように、政治家が馬鹿の一つ覚えのように使うようになったら、あっという間に陳腐な言葉になってしまうんだろうけど…)

久しぶりの投稿ですが、真面目しろこは健在でしたね(笑)初めて拙ブログを読まれた方は、観劇レポからのこの流れにびっくりしますよね(^O^;) しょっちゅうやってるので、もしよかったら他の記事も読んでみてください♪

さあ気を取り直して、ショーのトップバッターは瀬央さん!

ダークな印象だったアルトワ伯の毒が抜けきったような感じです。表情もぜんぜん違う。しかも全身派手なピンク!! アルトワ伯から完全に瀬央ゆりあに戻っていました(^_^)☆

正直、「専科・瀬央ゆりあ」ってイメージが湧かなかったんです(今も湧いてないけど)。でも、元花組の水美舞斗さんも専科に異動したし、凪七瑠海さんや紫門ゆりやさんもいらっしゃるし、専科を6組目と考えてもいいような…?

大劇場公演やって東京公演やって、全国ツアーやってバウ公演やってコンサートやってディナーショーやって…と、いくら鍛え抜かれた皆さんでも、こんなスケジュールじゃいつガタが来てもおかしくないでしょう。体調管理してたって体調を崩すことはあるし、何かの拍子でメンタルをやられることもあります。

だって、にんげんだもの。

個人的には、劇団四季みたいに人気作をロングラン公演するのもいいと思うけどなぁ。まぁ、劇団四季は専用の劇場を何箇所も持ってるからそれができるんだけど。。希少価値が高まる方がチケットが売れるという興行側の考えも分かるけどねー。ファンの立場、興行側の立場、演者の立場をそれぞれ考えてみる(´ε`;)ウーン…

あ、また真面目な話に戻ってしまった(笑)

もひとつ個人的には、一本物のパレードは、役の衣装で大階段を下りてきてほしいと思います。『エリザベート』とか『スカーレット・ピンパーネル』とか『オーシャンズ11』とかは、ショーはショーの衣装ですけど、大階段を下りてくる時は役の衣装に戻しますよね? そっちの方が「一本物(=大作)観たー!」という感じがするのに。。

しかも今回のパレードの舞空さんの衣装が…。

全身ヒラヒラのピンクのドレスにブルーのロングブーツて…。

いや、似合ってましたよ。あんな夢々しい衣装が似合うなんて、お人形さんみたいに可愛らしい舞空さん(と花組の星風まどかさん)ぐらいのものだと思います。オランプの衣装もピンクを基調にしてはいたけど、パレードの衣装はちょっと衝撃的なレベルでした(゜゜)

これまでも何度も書いていますが、配信してくれるのはありがたい。でもやっぱり生で観たい。舞台の隅っこや奥の方にいる人までちゃんと自分の視界に入れたい。劇場でしか感じることができない空気を感じたい。

東京公演は完走できることを心から祈っています。

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