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2011年に柚希礼音さんがトップだった頃の星組で上演された『めぐり会いは再び』。大好評だったらしく、2012年には続編となる『めぐり会いは再び 2nd~Star Bride~』が上演されました。今回の『めぐり会いは再び next generation―真夜中の依頼人―』は、なんと第3弾。
そんなに人気作だったとは知らず、また、初舞台生のお披露目公演ということもすっかり忘れており、「コロナ前よりチケット取りやすくなったヽ(^o^)丿」と若干のほほんとしていたら(コロナ前は先行抽選に片っ端から申し込んでましたから:汗)、先行販売でチケットが取れずΣ(ーー;)ハウアッ!!
一般発売で取れたのが、5/20の公演でした。
4/23に公演初日を迎えた矢先、コロナにより4/30~5/19の公演が中止に。まさか、たまたま一般発売で取ったチケットが公演再開初日に当たることになろうとは夢にも思いませんでした。今年の運、早々と使い切ったかも(苦笑)
こんにちは、しろこです。
そんなこんなで、当日は舞台も客席もなんとなく空気が違いました。高揚感というか、期待感というか、正のエネルギーに満ち溢れてる感じ。長年星組を支えてこられた天寿光希さんと音波みのりさんの退団公演でもあり、初舞台生のお披露目公演でもあるので、再開できて本当に良かった(感泣)
芝居とショーの2本立てで、どちらも最高!と思う公演はあまりありません。たいてい、どちらかが良くても、どちらかはイマイチです。まれに、どちらもイマイチのこともあります。
今作『めぐり会いは再び next generation―真夜中の依頼人―』と『Gran Cantante!!』は、見事に2本とも揃えてきました! 全く消化不良感なく劇場を後にしたのは、2021年の雪組公演『CITY HUNTER』『Fire Fever!』以来です。
『めぐり会いは再び next generation―真夜中の依頼人―』について
参考情報
あらすじ
ヴェスペール王国の王都マルクト。田舎領主オルゴン伯爵の末息子ルーチェ・ド・オルゴンは、大学卒業後も定職に就かず、友人のレグルスが経営する探偵事務所の手伝いをして暮らしていた。ガールフレンドのアンジェリークに縁談が持ち上がったものの、身分の差に引け目を感じて引き留めなかったことをきっかけに喧嘩別れしてしまう。ある日、事務所に謎の依頼人が現れ、王家に伝わる秘宝“一角獣の聖杯”を怪盗の手から守ってほしいと頼まれる。聖杯は王家の跡継ぎの証。アンジェリークの花婿に決まった者が手にすることになっていた。王国の探偵の中で唯一爵位を持つルーチェに花婿候補として花婿選びコンテストに潜入してもらい、聖杯を守ってほしいというのだ。断ろうとするルーチェをよそに、多額の報酬を前にしたレグルスはルーチェを参加させることを快諾。だが、この花婿選びには様々な思惑が絡み合っていたーー。
主な配役
ルーチェ・ド・オルゴン:礼真琴
田舎領主オルゴン伯爵の末息子。レグルスの探偵事務所を手伝う。
アンジェリーク:舞空瞳
ルーチェのガールフレンド。ローウェル公爵の娘として育つ。
レグルス・バートル:瀬央ゆりあ
ルーチェの大学時代の同級生。探偵。父から継いだ探偵事務所を経営している。
ユリウス:天寿光希
オルゴン家の執事。
ローウェル公爵:輝咲玲央
コーラス王の甥。ルーチェの父・オルゴン伯爵とは旧知の仲。
レオニード・ド・ローウェル:音波みのり
ローウェル公爵の姪。恋愛コンサルタント。
コーラス王:朝水りょう
ヴェスペール国王。
宰相オンブル:綺城ひか理
コーラス王の重臣。
ロナン・ヴェリタス・オンブル:極美慎
宰相オンブルの息子。
全体を通しての感想
まずは初舞台生の口上から。深緑の紋付袴で居並び、3人が前に出て口上を述べます。たどたどしかったり声が裏返ったりと、とにかく初々しい。キラキラオーラ全開です。
私は子供の頃から異様に冷めており、みんなで一心不乱に打ち込んで何かを成し遂げたという経験がありません。今でも、周りが盛り上がるほど冷めます。そういう性質を持って生まれたんだと思っているので、そういう自分を自分で受け入れていますが、初舞台生のあのキラキラ具合を見ると、若い頃にそれだけ打ち込めるものがあるのはちょっと羨ましい。
30過ぎたあたりから、初舞台生が出てくるとなぜかウルウルするのよね(;´∀`) 謎の親心。
隣の席の人はめちゃくちゃ泣いてました。口上でもショーでも、初舞台生が出てくるたびにオペラグラスを構えていたので関係者かな? 口上が終わって一旦幕が下りたら、客席の至るところから鼻をすする音が…。中止期間があったこともあり、関係者は喜びもひとしおでしょう。全然関係ない私ですら泣けてくるぐらいなんだから(^o^;)
礼さんの開演アナウンス。初舞台生への拍手に負けない大きな拍手が巻き起こりました。初舞台生じゃない皆さんも、公演再開本当におめでとう(泣)
今回の芝居『めぐり会いは再び next generation―真夜中の依頼人―』、目がいくつあっても足りません。誰かをオペラグラスで観てたら、視界の外のいいシーンを見逃してしまう。でもオペラグラスでも観たい(2階席だったので余計に)。常にジレンマとの戦いでした。
幕開きから、とにかくみんな楽しそう。エネルギーがあり余ってる感じです。曲も楽しそうなのが多いし、衣装も華やかだし、何かにつけて「宝塚のオリジナル作品は当たり外れが多い」とぼやいている私ですが、これまでの2作品が好評だったのも頷けます。
おそらく他の組で上演したら、続編が作られるほどの人気作にはならなかったのではないかと思います。星組の代名詞とも言えそうな、星組だからできる作品なんじゃないでしょうか。観劇中の結構早い段階で、これは東京千秋楽のライブビューイングも観るぞ!と思ったほど。北翔海莉さんがトップだった頃も、紅ゆずるさんがトップだった頃も、星組のガヤ芝居やアドリブの面白さ、微笑ましさはピカいちでした。今回もマスクの下は終始にやけっぱなし。ほうれい線対策にいかがですか、宝塚観劇。
最初のルーチェの銀橋ソロは、リズムの取り方も音の運びもニュアンスの出し方もかなり難しいはず。歌うまの礼さんなら歌いこなせると思ってあえて難曲にしたのかな? 聴いてる分にはカッコいいけど、歌うとなると大変でしょう。中盤ぐらいで出てくる綺城さん、極さん、小桜ほのかさんの歌もかなり難しいと思う。礼さんがトップになるまで星組に歌の印象はなかったのですが(すんません。北翔さんは歌うまだった)、今ではトップ・2番手の歌うま度は5組一だと思います。
そんな組に、専科の歌姫・美穂圭子さんも歌手役で参加! 贅沢!
舞空さんは少々お転婆だけどお人形さんのような可愛らしさがある役に合ってるし、瀬央さんは地でいってるんじゃないかと思うようなノリだし、うんうん、完全オリジナルなんだから、これぐらい思い切った当て書きでいいと思う(←誰だ)。極美さんも、プリンス的な役の説得力がありまくり。本当に少女漫画から飛び出てきたような存在感でした。
『ロミオとジュリエット』のベンヴォーリオ、『マノン』のミゲルと、いい人役が続いていた綺城さん。前作の『柳生忍法帖』で初めて悪役を拝見し、今回はまた違ったタイプの悪役に。白髪交じりのヘアスタイルで、今まで演じた役の中で一番年上かも? 片方の唇を吊り上げたニヒルな笑みが印象的でした。
そんな悪役であり花婿選びコンテストの黒幕でもある宰相オンブルを赦すコーラス王。連行されるオンブルの背中にかけた『待っているからな』が優しいのなんのって。朝水さん、絶対『マノン』以来、重要な役がどんどんつくようになってきてます! 端正な顔立ちもあって、貴族や武士の出で立ちが似合う。
そして忘れてはならないのが、今作で退団される天寿さんと音波さん。
お互い大好きなのに素直になれず悩むルーチェとアンジェリーク。
銀橋でのユリウスとルーチェ、同時進行の舞台でのレオニードとアンジェリークの芝居は、天寿さんが礼さんに、音波さんが舞空さんに役を通してエールを送っているような感じでした。一人銀橋に立つルーチェを、舞台上手から見つめるユリウスの笑顔に涙腺崩壊です。
このシーン、舞台上で舞空さんと音波さんが芝居をしているとき、舞台上手の銀橋と花道が交わるところで礼さんと天寿さんが小芝居をしています。多分、動きはアドリブなんじゃないかな。オペラグラスで見たら口は動いていたけど、マイクに声は乗りません。2人で何を話しているのかしら。2人だけの秘密かな^^
組長の美稀千種さん、副組長の白妙なつさんが星組のお父さん、お母さんなら、天寿さんと音波さんは星組のお兄さん、お姉さん的な存在。星組の舞台に居て当たり前だった実力者が居なくなるのは寂しい限りです。東京公演は中止になりませんように! 花組の華優希さんや瀬戸かずやさんの大劇場千秋楽のように、無人の客席に向けて退団の挨拶をするなんて考えただけで泣けるもん(TOT)
『Gran Cantante!!』について
全体を通しての感想
幕開きから大階段登場。最初は黒い幕がかかってて姿は見えないけど、姿が見えなくたって大階段は大階段です。これは久々に全編大階段使いのショーか!?と思ったけど、一旦引っ込んで中詰めあたりまでお預け。あんな巨大なものを出したり引っ込めたりできる宝塚の舞台って、やっぱすごい…。
マントを翻す男役のスパニッシュは、白と紫の対比が鮮やか。宙組『NEVER SAY GOODBYE』のスパニッシュもめちゃくちゃカッコよかったけど、こっちも負けてません! そういえば『宝塚カフェブレイク』で芹香斗亜さんが、マントを回す動きはラジオ体操で上半身を左右に大きく回す動きのような感覚と言っておりました。全身運動ですね。腹筋つりそう(・_・;) マントは表と裏で色が全く違うので、色も動きもキレイに見せるのは至難の業と思われます。
瀬央さんをセンターとした・・・馬のシーン? みんなスーツ着てるけど、馬なんですよ。振りも馬を意識したようなのがあって、歌詞も「ニンジン♪ ニンジン♪」なんて言ってるし。普通に考えたらカッコいいはずないのに、スーツ姿だからかコミカルさの中にもスタイリッシュさがあるんですよね。どういうことなんでしょう(笑)プログラムの瀬央さんのインタビューによると、使われているのは田原俊彦さんの『NINJIN娘』という曲だそうです。当時のアイドルは分からん…いや、私の場合は今のアイドルも分からんけど。。
舞空さんがベージュのタイトなドレスで登場する、大人な絡みのあるダンス。瀬央さんや有沙瞳さんは大人のシーンも想像に難くないけど、礼さん・舞空さんではとても新鮮でした。足を頭上まで力強く蹴り上げる振りでは、舞空さんの新たな一面が観られます。カッコいい。それにしても舞空さん、黒塗りするとガラッと印象が変わりますね。名は体を表すと言いますが、大きな瞳が一段と際立ちます。流し目最高♪ どうでもいい話ですが、宝塚の人を見ていると、雰囲気診断みたいなの(なんだそれは)で、丸顔の人はかわいらしい印象、面長の人は大人っぽい印象というのは間違ってないと思う。
どうでもいいついでに、うちの近所の某スーパーにこんな↓ものが…。
宝塚にいそうな・・・米っ!
すみません、話を戻します。つやつやの美味しいお米でした。
中詰は、スペインが舞台となった過去の作品の主題歌を歌い継いでいるそうです。知っている曲が一つもなかったのでプログラムを読むまで知りませんでした。スパニッシュはなんかこう…たぎるわ!
退団者への餞の演出であろう、マタドール天寿さんの銀橋ソロ。パレードのエトワールも天寿さんでした。ほんと、公演再開できてよかったよぉ。。。
今回のショーでは、男役が女役として出るシーンが2つあります。そのうちひとつは、なんと瀬央さんが女役…と言っていいのか分からないけど、牝牛役です。馬だったり牛だったり大変です(~_~;) 体のラインが出る衣装で、細めのヒールがついた足の甲が出る靴。『ベルサイユのばら』のラストのショーで、オスカルが男役を従えて踊るシーンでも思いましたが、靴のデザインが変わるだけで一気に女性っぽく見えるのが不思議です。ちなみにこの闘牛をモチーフにしたシーン、礼さんと瀬央さんの◯◯シーンがあります。キャ─(´∩ω∩`)─♡
初舞台生のシーンの導入部分は毎年いい感じ。上級生が「どうぞこの子たちをよろしくお願いいたします」って言ってる感じがする。ところで、初舞台生のシーンってこんなに長かったかな? 危なっかしい部分もあったけど、足上げはよく揃ってました。そこが揃っていれば良し! 貴女たちの仕事はそこだ! 最後は前の人の肩に両手を置いて、一列になり銀橋を渡ってはけます。初舞台公演で銀橋を渡って以来、一度も渡ることなく退団する人も大勢いる厳しい世界。みんな頑張れ~。
舞空さんと男役5人が踊るシーンでは、綺城さんのリフトにぜひご注目ください。その体勢で上げて回すか!?と思うリフトです。上げられる側も自力で体を引き上げておかないといけないけど、いくら背が高い男役といっても実際は華奢な女性ですからね。くれぐれもケガにはお気をつけください(><)
礼さん、舞空さんがトップになってから、やはり目に見えて星組全体のダンスのレベルが上がったように思います。歌のレベルも上がった。礼さんの何がすごいかって、躍りながら歌ってるときも、激しく踊った後の歌でも、声がブレないのです。本人の中では「ヤバい、息が上がる…!」と思うこともあるのかもしれませんが、そんなことは全く感じさせない安定感があります。
パレードのシャンシャンは扇型でした。リボンもついておらず、なんとなく珍しいタイプ。リボンつけた方が華やかでよかったんじゃない? 扇にリボンだと変かなぁ? そうそう、最近はパレードの曲があまり耳に残らない傾向がありましたが、今回はばっちり残ります! テーマ曲が脳内で再生されながら帰路についたのは久々。グ・ラ・ン・カン・タン・テ♪ グ・ラ・ン・カン・タン・テ♪
割れんばかりの拍手で終演。一旦下りた幕が再び上がります。
この日は公演再開初日。まずは組長さんが、公演中止になったことに対する謝罪を述べます。いやいや、謝らんでいいって。みんな泣きそうな顔をしていました。組長さんの声も震えてたし。その後、礼さんにバトンタッチ。礼さんからは、来場へのお礼と今後の抱負(?)が語られ、大きな拍手と明るいテーマ曲でにこやかにお別れとなりました。
現役生やOGの方が、『宝塚のお客様は温かい』とよく口にされます。観る側からすると、残念ながらマナーの悪い客も多いです(相対的には少ないんだろうけど、マナーの悪い客は目立ちますから…)。でも、公演中止前の花組公演を観たときも感じたけど、本当に温かい拍手と空気でした。
この日はいつもと少し違うホクホクした気持ちで劇場を後にしました。
毎度毎度のことですが、これから東京千秋楽まで幕が上がり続けることを祈っています!
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