~見せ場はダンスだけじゃない~宝塚花組公演『TOP HAT』(2022/4/3@楽天TV)【観劇レポ/感想】

宝塚レポ

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こんにちは、しろこです。
仕事で一人総務をやっているため、年度末・年度始めはてんやわんやです。

加えて週末は学校に行っているため、課題をこなすのにいっぱいいっぱい。

『TOP HAT』観たいぃぃぃ。。でも3時間あればあれもできるしこれもできるし…と悩みに悩むこと数日。

えーい、ままよ!(ポチッ)

人様に迷惑を掛けない限り、やりたいことはやる!という生き方がここに出ました(笑)観終わって夜遅くまで課題に追われることになりましたがね(苦笑)もちろん次の日は仕事(;・∀・)

前回、朝夏まなとさん率いる宙組で上演されたときに、めちゃくちゃ観たかったんです。でもチケット取れず。

そして今回も取れず。

今回はB席の後ろの方なら取れる日もありましたが、さすがに3月末~4月頭の平日は休めません(T_T) それに、梅田芸術劇場メインホールのB席(3階)は…。何回か観たことがあるけど、全然満足感がなかったんですよねぇ。。舞台から離れているから客席の緊張感もなく、上演中に喋ってる人も結構いたし(たまたまそんな日に当たってしまっただけかもしれないけど(-_-))。

配信、ありがとう(^人^)

ダンスがメインだろうから、生で観てなんぼの作品だと思っていましたが、いやいや、見せ場はダンスだけじゃない!

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あらすじ

ブロードウェイで活躍するスターダンサーのジェリー・トラヴァースは、プロデューサーのホレス・ハードウィックの誘いを受け、ロンドンでの公演を行うことになる。滞在先ホテルのホレスの部屋でタップダンスを踊っていたところ、階下の部屋に宿泊していたモデルのデイル・トレモントが苦情を言いにやってくる。デイルに一目惚れしたジェリーは、なんとか彼女の心を射止めようと必死になる。デイルもジェリーに好意を抱き始めていた矢先、ふとした行き違いからデイルはジェリーのことを、友人であるマッジ・ハードウィックの夫(=ホレス・ハードウィック)と勘違い。水の都ベニスへと渡り、ジェリーへの当てつけに、以前から熱烈なアプローチを受けていたデザイナーのアルベルト・ベディーニと結婚してしまう。誤解を解くためデイルの後を追いベニスへと向かうジェリー。はたして、2人の恋の行方は――。

主な配役

ジェリー・トラバース:柚香光
ブロードウェイのスターダンサー。公演でロンドンを訪れる。

デイル・トレモント:星風まどか
ファッションモデル。ロンドンのホテルでジェリーと出会う。

ホレス・ハードウィック:水美舞斗
プロデューサー。ジェリーをロンドンの公演に招待する。

マッジ・ハードウィック:音くり寿
ホレスの妻。デイルの友人。

ベイツ:輝月ゆうま
ハードウィック家の執事。

アルベルト・べディーニ:帆純まひろ
デイル専属のイタリア人ファッションデザイナー。

全体を通しての感想

『ダンスの花組』と呼ばれて久しい花組さん。こう呼ばれると、「芝居は?」と穿った見方をしてしまう人もいるかもしれません。

花組の芝居、いいですよ(^o^)

現体制になってからの芝居は、エネルギーに満ち溢れている感じ。特に私が観た最近の2作品、『元禄バロックロック』と『銀ちゃんの恋』は、それが顕著でした。

エネルギーに満ち溢れた芝居というのは、観ているときの自分の精神状態によって感じ方が変わるので、「元気をもらえた!」と思う人もいれば、「なんか疲れた…」と思う人もいると思います(はい、どっちも経験者です:苦笑)いずれにせよ、演ってる方は台詞を発するだけでかなりの体力を使いそう^^;

上述した2作品、エネルギーの種類で言えば、前者は「終始テンションの高いエネルギー」、後者は「理解不能なぶっ飛んだエネルギーと、負の感情をぶつけ合う重たいエネルギー」です。『銀ちゃんの恋』は、気持ちがお疲れ気味の人は観劇しないほうがいい(_ _;)

さて、今作『TOP HAT』はどうかと言うと、「終始テンションの高いエネルギー」ですね。『NICE WORK IF YOU CAN GET IT』よろしく、ザ・アメリカン・ミュージカル!という感じ。

あ、これ、良くも悪くも、です。「んなわけあるかい!」「思い込み激しすぎやろ!」とツッコミどころ満載の展開でもあります(^o^;(なので、芝居に関しては疲れる人もいるかもしれない…)

『TOP HAT』はブロードウェイのミュージカルではなく、元々はアメリカのミュージカル映画で、舞台化されたのはイギリスでとのこと。ちょっと意外?

今作のオスカーは、そりゃもうこの人しかいないでしょう。

マッジ・ハードウィック役の音くり寿さん
ミドルエイジのイケイケドンドンな金持ちマダム!

おそらく目をつぶって聞いていても、そう感じたと思います。それぐらい、これまでの作品と声が全然違っていました。声を低く出すことはできても、しゃがれた風に出すことはなかなかできないのではないでしょうか。『元禄バロックロック』では高い声で子役(ツナヨシ)を演じていたのに…。まさに声の七変化!もともと声量のある人ではあるけど、すごい破壊力でした。

終盤に向けて、この破壊力で夫ホレスと言い争い、そこにテンションの高いアルベルトが被さり、も~盆と正月が一緒に来た感じ(←なんだそれは:笑)。画面を通してもそうだったから、生で観劇した人は、客席の空気が変わったことを感じられたと思います^^

音さん、歌も上手いし、類まれな存在感です!個人的には、元花組の桜一花さんに通じるものがあると思ってます!

「声」でいうなら、星風さんも新たな一面を見せてくれました。

声色からして、明らかにジェリーよりデイルの方が年上だと感じたんですが、いかがでしょう?かわいらしい顔立ちなので、これまで大人の女性を演じているイメージが湧かなかったんですよね、個人的に。でもそんなことはなかった。しっかり大人の女性の声でした。見た目のかわいさはどうにもならないよ、だってかわいいんだもん(笑)

水美さんは今回もヒゲをつけたおじさん役。これまたヒゲが似合うんだわ。何かと不運な(?)ホレスを体全体で演じていました。踊るシーンはないけど、芝居の運動量は誰よりも多いはずです(笑)ジェリーにもマッジにも振り回されて心労が絶えないだろうに、どこかで「しょうがないな~」と思っている風な、愛すべきおじさんです。

助演のオスカーはこの人、帆純まひろさん。一癖も二癖もある、というか、癖しかないアルベルト。帆純さん史上一番の大役だったのでは?出番の数もそうだけど、それよりもキャラの濃さが(笑)いや、見た目もか(爆)恥も照れもかなぐり捨てないとできない役であることは間違いないですが、むしろその方が振り切れていいのかもしれない。。

アルベルト一番の見せ場、ホテルの部屋にある机をお立ち台のように使ったソロ。

このソロの最中に、大阪北部でM4.0の地震がありました。うちは一瞬だったけど、下からドンッと突き上げるような揺れを感じました。梅田辺りも多少揺れたと思うのですが、あのソロなら帆純さんご本人は気づかなかったかも。気づいたけど芝居を続行したなら、すごい度胸だと思います(ちなみ私は、このせいでせっかくのソロに集中できず。。)。

助演でもう一人。ベイツ役の輝月ゆうまさん。月組から専科に組替えになり、専科生としては初めて拝見しました。いや~安定感ありますね~。ベイツはアルベルトとは違ったタイプの変人ですが、目をカッと見開いた表情とか、挙動不審な感じ(ベイツ本人はいたって真面目)とか、要所要所でいい味出してました。真面目に演じれば演じるほど、観ている側は面白い。

はい、皆様お待たせいたしました。ここからはトップスター柚香光さんについて!

柚香さんの芝居を一言で表すなら、ファッションでいう「抜け感」というやつ?顔立ちも含めた見た目がスタイリッシュというのもあるかもしれませんが、いい具合に力が抜けた余裕のある感じの芝居が好きなんですよね~。いたずら小僧が垣間見える瞬間がある芝居とか。相手役を見つめる眼差しの素敵さは言うまでもありません。

ジェリーはまさに「抜け感」のある役。

そして、スターダンサー。

はまり役です。

タップダンスの足元に目がいくのは当然。でも私が「おおっ!」と思ったのは上半身。同じステップを踏んでいても、柚香さんと他の人とでは、上半身の使い方(力の抜け方や腕の振りのなめらかさ)が全然違う!水面を優雅に滑るように動いているけど、水面下では足を必死に動かしている水鳥のよう!

バレエとタップダンスでは使う筋肉も神経も違うだろうに、上半身はバレエを踊り、下半身はタップを踏んでいるようでした。観ているこっちの体も自然と動いちゃいそうな感じ♪

音楽学校でタップダンスの授業も多分あるとは思いますが、『TOP HAT』を上演すると決まってから、出演者一同並々ならぬ練習を積んだことでしょう。ハットもステッキも使うから、足だけに集中するわけにはいかないですしね。。まさに体に覚え込まさないとできないダンス。

一人の踊り手が生み出す、ダップダンス特有の乾いたよく響く音も一興。
二人の踊り手が生み出す、会話をしているようなリズミカルな音も一興。
そして大勢の踊り手が生み出す、地鳴りのような厚みのある音も一興。

やっぱり生で、願わくば1階席(さらに願わくば前方)で観てみたいな。舞台から伝わる振動や響きを体で感じたい!

終わったばかりだけど、早速再演希望です(笑)

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