~己が生き様は己が決める~宝塚月組公演『桜嵐記』『Dream Chaser』(2021/6/1@宝塚大劇場)【観劇レポ/感想】

宝塚

​本記事には公演のネタバレを含みます。

​前回の観劇レポ(兼考察)、宙組公演『ホテルスヴィッツラハウス』で、私にとっての文化芸術とは心の健康のバロメーターであり、それらで定期的に心の栄養を補給している、と書きました。


最近どーにも調子がイマイチだった私。でも観終わったときには、エネルギーが充填されたのを感じました。

やっぱり私は、宝塚が、生の舞台が好きだー!!

こんにちは、しろこです。
公演があることの幸せを噛み締めております(。´Д⊂)

前回観劇したとき(4/24の花組公演『アウグストゥス』)は、劇場内のうるささにドン引きしました。

今回は、前回に比べたらとても静かでした。相も変わらず意識の低い人たちも散見されましたがねぇ。幕間休憩中のロビーのソファーでマスク外して喋ってる輩もいたし。

以前より案内係さんの数が多くて(多分)、あちこちで『劇場内での会話はご遠慮ください』と書かれた札を持ちながら、「公演を継続するためにも皆様のご協力をお願いいたします」と呼びかけていました。

そう、もうね、これに尽きる。

でもやっぱり、届かない人には届かないのですよ。はがゆいなぁ。もうさ、付き添いが必要、みたいな特段の事情でもない限り、並び席取れないようにすればいいんじゃない?って思う。

案内係さんたちも、札を持って不特定多数に呼びかけるだけで、直接注意することはないからなぁ。。注意したところで聞かないだろうしね。

飲食店もそうですが、マナーの悪い人にはもっと強く出てもいいんじゃないでしょうか。お客様はただのお客様。神様なんかじゃありません。クレームが怖いのかもしれないけど、特に今は、毅然とした姿勢を支持する人もいっぱいいると思いますよ。

私の真後ろの席の人々も『届かない人』で、上演中ですら喋るし、気分悪かったです。

いつも真面目な話は記事の真ん中~最後あたりに書くのですが、読んでくれる人も後味が悪くなると申し訳ないので、今回は最初に書こうと思います(もう書き始めちゃってますけど(;´∀`))。

ズバリ、劇場でのマナーについて。

と言っても、上演中に喋るとか、上演中にスマホをイジるとか、そういう論外なものではありません。

いつも誰かと一緒に観劇に行かれる方へ、ちょっとだけ気にしてほしいことがあるのです。

それは、終演後(特に終演直後)のおしゃべり。

テンションが上がって、お連れさんと感想を言い合いたいのはわかります。「◯◯かっこよかったよね~!」とか、「あのときの衣装、めっちゃキレイやった!」とか、そういうのはいいんです。

私がものすごくイヤなのは、批判。

叱咤激励ではなく、ただの批判。

先ほど書いた真後ろの席の人々がですね、芝居の幕が下りた瞬間に「なんかよくわかんなかったー」。

私はいろんな想いが胸に去来して、涙がこみ上げてきて余韻に浸っていたのですよ。拍手にも力が入ったし。

まあたしかに、登場人物は多いし、数十年の物語を1時間35分に収めてるから詳細な説明はないし、ミュージカルじゃないから歌とダンスは少ないし、そもそも滅びに向かう人々の話だから、明るく楽しく♪なんてことは絶対にない。

芝居でも何でも、同じものを見ても、見た人によって感じ方が違うのは当然です。それはわかってます。

でも、マイナスの感想を持ったとしても、せめて客席でそんな話はしないでほしいのです。プラスの感想を持つ人だっているんだから。

その後、その真後ろの席の人々は、「あれがダメ、これがダメ」「◯◯ちゃんは良かったけど他は別に」と、ベラベラと喋り続けました(主に批判を)。

ムカムカして席を立ち、ショーが始まる直前に戻りましたが、戻ったときもずっと喋っていました(その後、ショーの最中にも喋ってた)。

聞きたくもないのにそんな話を聞かされる(嫌でも聞こえる)周りの人々のことを少しは考えてください(だから私は、コロナがあろうがなかろうが観劇の前後に劇場周辺の飲食店には行かない)。

と言ったところで、これも届かない人には届かない、か。虚しい・・・。

また、演者への批判とはちょっと違いますが、演目の話題性もあってか、チケットを取るのが難しい時代がありました。庶民は、複数のプレイガイドの先行抽選に申し込んで、やっと1公演当たる状態だった頃のお話。やっと手に入った1枚で観に行った公演。トイレ待ちの列に並んでいたら、前にいたタニマチの有閑マダムっぽい2人組(はい、偏見と僻み入ってます:笑)が「もう何回も見に来てるから飽きてきたわ~」と話しておりましてね。チケットの公平な分配を求む!!

これ以上は言っても虚しいので、ここらで気持ちを切り替えて、本題の観劇レポいきまーす!(心の栄養補給はできたのに忙しくてなかなか時間がとれず、いつもより観劇してから記事にするまでの時間が空いてしまいました。ううっ、細かい部分の記憶が。。(T_T))

本記事には公演のネタバレを含みます。

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『桜嵐記』について

参考情報

あらすじ

舞台は南北朝の動乱期。後醍醐天皇は京都を脱出して山深い吉野に逃れ、そこを都と称すようになる。武家集団である北朝と公家集団である南朝。両者の力の差は歴然。南朝がたどるのは滅亡への道と知りながら、楠木正行は後醍醐天皇の忠臣であった父・楠木正成の遺志を継ぎ、弟・正時、正儀とともに戦に明け暮れる日々を送っていた。ある日正行は、北朝の者に襲われる輿を救う。輿には度重なる争乱で縁者を失った後村上天皇の侍女・弁内侍が乗っていた。弁内侍はわざと北朝に捕らえられ、父の復讐を遂げようとしていたのである。生きる希望を持たぬ二人。しかし、桜が咲き乱れる春の吉野で、限りを知って生きる喜びを知る。何のために生きるのか。何のために戦うのか。自分の信じる道を進む者たちに、待ち受ける運命とはーーー。

主な配役

楠木正行(まさつら):珠城りょう
後村上天皇に仕える武家・楠木氏の棟梁

弁内侍(べんのないし):美園さくら
後醍醐天皇のもと倒幕計画を謀ったが捕らえられ処刑された、公家・日野俊基の娘

楠木正儀:月城かなと
正行の末弟

楠木正時:鳳月杏
正行の長弟

楠木正成:輝月ゆうま
正行らの父

後醍醐天皇:一樹千尋
京都を脱出し、吉野に南朝を築いた天皇

後村上天皇:暁千星
後醍醐天皇の子。南朝の現在の天皇

足利尊氏:風間柚乃
北朝を束ねる将軍

ジンベエ:千海華蘭
百姓出身の人足。正行に従い、弁内侍を護衛する

全体を通しての感想

日本物での甲冑姿の群舞は、洋物での軍服姿の群舞とは違う高揚感があるのはなぜだろう(私だけ?)。

公家衆より正行たち武家衆の方が、衣装の色使いが多かった気がします。いくら着たまま踊れる仕様(?)になっているとはいえ、それなりに重たそうな甲冑に見えました。

本題に入る前にも書きましたが、今作はミュージカルではありません。『ロマン・トラジック』というジャンル(と言っていいのかしら(^_^;)タイトルの前に付く、宝塚ならではの芝居のジャンルです)からしてわかるように、『悲劇』です。

といってもそこは宝塚なので、最初から最後までずーっと悲劇ではありません。クスッと笑えるシーンがあったり、ほっこりするシーンがあったり、緩急をつけた演出になっていました。

演出は雪組前トップコンビ、望海風斗さんと真彩希帆さんの退団公演『fffーフォルティッシッシモー』も担当した上田久美子氏。

個人的に、上田氏の演出した作品でハズレを感じたことはありません。

今回も最後でやられました。クライマックスの『四條畷の戦い』

正面の大舞台では現実に繰り広げられている戦いをスローモーションで見せ、銀橋では幼い正行たちと父・正成が言葉を交わす。壮絶な戦と、まだ何も知らない子供時代の無邪気な正行たちの対比が胸に刺さりました。

映画でも、悲惨なシーンでオルゴールを流すとか、あえて無音にして映像だけ見せるとかありますよね。演出において対比は重要なんだな、と、帰りの電車で思いました(見てるときはそんなこと考えていませんでしたよ、念のため:笑)。

戦が終わり、正行が果て、時代が流れ、老年の弁内侍と正儀が昔語りをする。

その後で、出陣式のシーンへと時代が逆戻りし、後村上天皇や弁内侍たちが出立する正行を見送りながら幕が下ります。

死地へと赴くのだとわかっているからこそ、立つ側も送る側もつらい。死地へ赴くというのは、時代の傍観者だからわかることではなく、当時その場に居た誰もが感じていたのだと思います。

『死んでいった者たちのことを思うと、戦いを止めるわけにはいかない』と常々言い、出立する正行の背中に『戻れよ』と大きな声で呼びかけていた後村上天皇でさえも。

後村上天皇は、現在放送中のNHK大河ドラマ『晴天を衝け』の一橋慶喜を彷彿とさせる思慮深さや優しさが感じられました。冷静さを持ちつつも、抗えない運命にあるところも同じ。

行く末をわかっていても、己が信じる道を行く正行。

正行の想いを受け止め、戦線を離脱し生き延びる正儀。

どちらも大きな時の流れに爪痕を残したことは間違いない。

正行の言う『大きな時の流れ』。

その流れに彼らは乗ったのか、それとも飲まれたのかーーー。

残った者よりも滅びに向かう者の方に感情移入してしまうのは、私の日本人のDNAが人より濃いからなのかなぁ。。(ーー;)(こんなラストなのに、「よくわかんなかったー」と言われたときの私の気持ち、誰かわかってください・・・)。

いずれの戦のシーンも、殺陣の迫力がすごかったです。相当稽古を積んだんだろうなと思う。大人数が入り乱れて間合いを詰めてやる殺陣。実際に当たってしまったこともあったんじゃないかと思うぐらいの迫力でした。

トップコンビが退団し、長年月組を支えてきた紫門ゆりやさんと輝月さんは専科に異動されるとのことで、これが今の月組で演る最後の芝居。良いものを見せていただきました。

オリジナル作品だからというのもあるでしょうが、珠城さんの実直さや包容力が際立っていました。本物の正行もこんな感じの人だったのかな、と。

結局のところ、人は人に従うのです。

己の行く末がわかっているから、あなたを娶ることはできない、と、正行に言われた弁内侍が言う台詞。

『恋を知り、限りを知って、世の美しさを知りました』

永遠に続くことなどありはしない。

限りを知った者は、当たり前が当たり前でないことに気づく。

弁内侍のこの台詞は、現代を生きる我々へのメッセージなのかもしれません。

『Dream Chaser』について

全体を通しての感想

あっという間の55分!前回の月組の洋物ショーって・・・もしかして2019年の『クルンテープ』ですか?『WELCOME TO TAKARAZUKA』は和物でしたもんね。というと、まさかの2年ぶりの洋物ショー?!

いやー、ほんと、あっという間でした。好きなテイストのシーンばっかりで、中だるみすることもなく55分全集中(笑)

前半、葉加瀬太郎さんの『冷静と情熱のあいだ』でフラメンコを踊り、古澤巌さんの『タンゴ・アモーレ~愛しみの夜会~』でタンゴを踊る。

葉加瀬ファミリー(古澤さんの方が大先輩ですけどね(^_^;))が好きな方は、この流れはテンション上がるでしょう!

フラメンコ、タンゴのあとは、月城さんが若手を率いてKポップ!

私、実際のKポップには疎いんですが、宝塚の男役とものすごく相性がいいと思います。

宝塚でKポップ(風)のショーを初めて見たのも月組だった気がします。何の公演だったか忘れたけど、たしか龍真咲さんがトップだった頃に、ショーで明日海りおさんを中心とするメンバーでやっていたような・・・。それ以来、Kポップの場面に出るメンバーを『月組男子』と呼ぶようになった・・・はず!(記憶が。。)

直前がダークな衣装でキメたタンゴのシーン (照明も暗め) だったので、Kポップのギラギラ感が眩しかったです(笑)月城さんカッコいいー(゚∀゚)キャーッ!!

Kポップが終わると和楽器の演奏が始まり、次は『和』か?!と思ったら、まさかのロック調(@_@;)でも不思議と合うのは、宝塚マジックの為せる技?

めちゃくちゃ余談ですが、先日テレビで(再)放送された新作歌舞伎『風の谷のナウシカ』。元々オーケストラで演奏される曲が和楽器で演奏され、オーケストラサウンド以上に郷愁を感じる曲になっていました。

「合うか合わないか」じゃない、「やるかやらないか」だ!(←誰?)

はい、めちゃくちゃ余談でした(汗)
(余談ついでに、『風の谷のナウシカ』の原作はコミック7巻です。スタジオジブリが映画化したのは2巻まで。新作歌舞伎では全編を制作し、上演時間はなんと6時間。あの物語の核は、映画化されなかった2巻以降にあります!)

タンゴはショーでよく取り入れられますが、今回のタンゴは今までで一番本格的!

実際のアルゼンチンタンゴほどではないけど、いつもよりがっちり組んで、足さばきが激しかった。男役同士でも踊ったし、とっても見応えがありました♪

私はタンゴ好きが高じて自分でも2年ほどアルゼンチンタンゴを踊っていたので、タンゴにはちょっとうるさいのです( ̄ー ̄)ニヤリ。密着して踊るタンゴの特性上、コロナが出現してからどーもレッスンに行けず(気分的にね。レッスン自体はやってるんですけど…)、見ていてウズウズしました。踊りたーい(><)!!

デュエットダンスの曲は古澤巌さんの『愛しみのワルツ』。
(※タンゴのシーンで使われていた『タンゴ・アモーレ』の姉妹曲みたいな感じです。旋律は同じでリズムが違う)

大きくて豊かで、温かい気持ちにさせてもらったデュエットダンスでした。リフトは圧巻。安定感があって高速回転で、美園さんのドレスの裾が綺麗に弧を描いていました。

目にも耳にも入れないようにしていたけれど、もしかしたら今までで一番いろいろ言われた(悪いことを)トップコンビかもしれない。2人にしかわからない想いがあったんだろうなぁ、今までよく頑張ったなぁ、と、勝手に想いを馳せて勝手に泣きました。

珠城さんも美園さんも、いつからか吹っ切れたというか、腹をくくったというか、何か自分たちの中で気持ち(心の持ちよう?)の変化があったんだろうなというのが、画面からも舞台からも伝わってきました。

叱咤激励と罵詈雑言は違う。意見と批判は違う。スポーツ観戦する人を見てても思うけど、彼ら彼女たちはアナタの不満の捌け口ではありません。正面切って言えないことを、匿名であるのをいいことに言っていいはずがない。自分が言われたら、という想像力の欠如がなせる技?なんだろうけど、不愉快極まりない。

おっと、すみません。また思うところがありすぎて、あらぬ方向の力が入ってしまいました(苦笑)

でも多分、純粋に宝塚が好きな人にはわかっていただけると思っています、この想い。。(;へ:)

デュエットダンスのあとは、シンプルな黒燕尾。

珠城さんを中心に、月城さん、光月るうさん、紫門さん、千海さん、鳳月さん、輝月さん、暁さんが脇を固める。それぞれにスポットライトが当たって、ほんの数秒だけど一人ひとりと踊る演出も素敵でした。

特に光月さんとの絡み(ここのみ、ダンスではない)は、光月さんから珠城さんへの愛の受け渡し。「こいつぅ」という感じで光月さんが珠城さんのおでこを優しく小突いて、珠城さんがすごくいい笑顔を見せて。また泣いちゃうじゃないかよぉ。。(PД`q。)

エトワールは美園さん。トップ娘役がエトワールを務めるなんて珍しい。晴れやかな表情で歌い上げておりましたよ(*´꒳`*ノノ゙パチパチ

ちなみにこの日はローソンチケットの貸切公演だったので、終演後にトップスターの挨拶がありました。数秒のお決まりの挨拶でも、なんだか特別感があります^^

三度の公演中止に追い込まれることなく、東京千秋楽まで無事に上演し続けられることを心から願っています。

珠城さん、美園さん、胸張っていけー!!最後の最後で見せつけてやれー!!

生で観劇したけど、東京千秋楽のライブ配信も観ます( ´∀`)bグッ!

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