~新生雪組、始動~宝塚雪組公演『ヴェネチアの紋章』『ル・ポァゾン 愛の媚薬-Again-』(2021/6/13@楽天TV)【観劇レポ/感想】

宝塚レポ

本記事には公演のネタバレを含みます。

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全国ツアー(といっても、神奈川、愛媛、愛知の3箇所だけ)かぁ。。ん~、新トップコンビのプレお披露目公演とはいえ、大劇場の舞台装置に慣れていると、どうしても外箱公演は物足りなく感じちゃうんだよなぁ。。

と、観ようかどうしようか悩んでいた私。

そんなとき、母から「雪組全国ツアーのライブビューイングのチケット取って!」と連絡がきました。

こんにちは、しろこです。

そういえば、母しろこが事あるごとに「ル・ポァゾンは名作!」と言っていたような。。今回も、雪組だから、とか、プレお披露目だから、という理由ではなく、なんせ『ル・ポァゾン』が観たかったらしい。

観てもわりとすぐ内容を忘れる母しろこが、30年以上(1990年初演)経っても覚えているとはΣ(@_@;)!!

そこまで鮮烈なイメージを植え付けた『ル・ポァゾン』って一体・・・と思い、私も観ることにしました。『ヴェネチアの紋章』というタイトルにも心をくすぐられたしね。ジャケ買いならぬ、タイトル買い( ̄ー ̄)

結果、こちらは話の展開が・・・う~ん。。。

でも、外箱公演ということもあって、下級生が大活躍!

前トップコンビの望海風斗さん、真彩希帆さんと一緒に大勢が退団されて、これから雪組はどんな布陣になるのだろうと思っていましたが、心配ご無用!

雪組の層の厚さ、恐るべし!

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『ヴェネチアの紋章』について

参考情報

あらすじ

舞台は16世紀前半のイタリア。ヴェネチア元首の息子であるアルヴィーゼは、庶子であるがゆえに貴族の称号を得ることも政治に参加することもできない。愛し合っていた名家の令嬢リヴィアとも結ばれることなく、生まれ故郷のトルコ・コンスタンティノープルへと旅立った。そこで彼は、持ち前の才覚で貿易商として成功を収める。10年後、姪の結婚式に出席するためヴェネチアを訪れたアルヴィーゼは、そこで元老院議員プリウリの奥方となったリヴィアと再会する。祝宴の席で情熱的なモレッカを踊った2人は、互いの愛が再び燃え上がるのを感じる。その頃、アルヴィーゼのいるトルコはヴェネチアと共に、ハンガリアをめぐってオーストリアと対立していた。トルコ軍を率いてハンガリアを占領し、王位(紋章)を手に入れ、リヴィアにふさわしい身分で彼女を妻とすることを望むアルヴィーゼ。自分自身の誇りのために、また、愛する女性のために、紋章に対する彼の強い執着がもたらすのは、はたしてーーー。

主な配役

アルヴィーゼ・グリッティ:彩風咲奈
ヴェネチア元首の息子(庶子)。トルコの貿易商

リヴィア:朝月希和
元老院議員プリウリの妻

マルコ・ダンドロ:綾凰華
元老院議員。貴族。アルヴィーゼの親友

ヴィットリオ:諏訪さき
貴族の庶子

エンリコ:彩海せら
貴族の庶子

ジョヴァンニ:眞ノ宮るい
貴族の庶子

レミーネ:希良々うみ
コンスタンティノープルの酒場の歌姫・ダンサー

オリンピア:夢白あや
高級遊女。マルコの恋人

カシム:一禾あお
アルヴィーゼの従僕

全体を通しての感想

本記事には公演のネタバレを含みます。

よくあるストーリーといえばよくあるストーリーです。初演が1991年らしいので、ちょうど30年前。ということは、『ダル・レークの恋』同様、演出が大幅に変更されている可能性もありますね(初演をご覧になられた方、いかがでしたか?)。

『ダル・レーク』と違うところは、本作『ヴェネチアの紋章』には原作があるということ。

原作は著:塩野七生『イタリア・ルネサンス1 ヴェネツィア』(『緋色のヴェネツィア 聖マルコ殺人事件』とも)です。

アルヴィーゼは、才覚があって、大胆不敵で、懐が深くて、人を惹きつける魅力がある男性。なのに、庶子であるがゆえに貴族になれず、紋章(=貴族、王位)へ狂気的ともいえる執着がある。

プリウリと離縁し、アルヴィーゼを追ってコンスタンティノープルへと渡ったリヴィアは、王位を手に入れるべく出兵するというアルヴィーゼに対し、「私はこのままで十分幸せ」と言う。

しかしアルヴィーゼは、「紋章を手に入れ、君にふさわしい者として君を妻にする」と頑なな態度を崩さない。

虚栄心なのか、野心なのか、幼児性なのか、もしくはそれら全てか。

花組公演『アウグストゥス』のアントニウスに相通じるものがあるように思えました。

愛ゆえに破滅の道を進む男。

そう思うと、まっすぐな愛と屈折した愛は実は同義なのかもしれません。恐ろしく純粋なのだけど、自分で事態を複雑にしているような。

反面、理性をかなぐり捨ててまで突き進める強さ(と言っていいのか?)があるのは羨ましい気もする。

愛は盲目、か・・・。

援軍も望めず、トルコからもヴェネチアからも見捨てられたと悟ったアルヴィーゼ。負け戦とわかっていながら戦いに挑む姿は、月組公演『桜嵐記』とかぶりました(つい先日観劇したばかりだから余計に(T^T))。

やはりここでも、人は人に従うのだ、と。
(『桜嵐記』と違って、『ヴェネチアの紋章』では逃亡した味方もいるけどね)

アルヴィーゼの死の知らせを受けたリヴィアは、マルコに「アルヴィーゼとの間に生まれた娘を修道院に預けている。あの子をお願い」と告げ、海に身を投げます。

マルコの台詞にもありましたが、リヴィア、あなたクリスチャンでしょう。このシーン、観客に敬虔なクリスチャンがいたら卒倒するんじゃなかろうか(ーー;)

娘の存在をアルヴィーゼは知っていたのだろうか。

なんとなく、知らなかったんじゃないかと思う。

娘の年齢も、リヴィアとプリウリが結婚した年も、劇中では触れられませんでした。でもまぁ、プリウリと出会うよりずっと前に生まれていないと、話が合わないか(10年前にアルヴィーゼはコンスタンティノープルへと渡ったから、10歳ぐらい?)。

狂言回しでもあるマルコの最後の台詞、『その娘が成長したら、結婚して僕が面倒を見る。それが2人の望むことだから』

おそらく、マルコとアルヴィーゼの娘は20歳くらい年齢差があると思います(リヴィアとプリウリは30歳差)。当時の時代背景を考えるとよくある話なんだろうけど、現代を生きる人間の感覚からすると、本当にその娘の幸せを考えるならそんな発想にはならないよね。その娘が生きやすいような社会をつくることを目指したほうがいいんじゃない?あんた、元老院議員でしょ。それができる立場でしょ?・・・と思ってしまった^^;

いかんいかん、芝居観てるときに現代の感覚を持ち出しては(笑)

どーにも、最後の最後のこの台詞が引っ掛かってしまって(苦笑)(だって、アルヴィーゼとリヴィアの悲恋の元凶は身分の差だったじゃないのよ。。)

・・・というわけで、ストーリー的には「うーん・・・うん。。」な感じ(←どんなだ:笑)

でもそこは芝居の雪組!

負け戦とわかっていても、アルヴィーゼに付き従おうとする人々と、それに応えるアルヴィーゼの芝居には泣けました(←泣いとるやないかい)。

彩風さんと朝月さんの演技力の高さは言わずもがな。

大劇場公演でも着々と重要な役を得てきている綾さん、諏訪さん、彩海さん、夢白さん・・・までは名前と顔が一致する。

今回「おっ!」と思ったのは、眞ノ宮さん、叶ゆうりさん、希良々うみさんのお三方(「知らんかったんかい!」というツッコミはご遠慮ください。。(;・∀・))。

特にヴェネチアのトルコ大使・ゼンを演じた叶さんは、出番こそそれほど多くはなかったけど、声の重厚感が他を圧倒しておりました(すみません、今まで存じ上げなかっただけです。2011年初舞台ということは10年目。全然下級生じゃなかった:大汗。 眞ノ宮さんと希良々さんは2014年初舞台)。

こんなに力のある人達なのに、これまで大劇場公演ではあまり目立たなかったなんて、やっぱり雪組の層の厚さってすごいな。

ユニゾンもめちゃくちゃ安定してて、聴いていて気持ちが良かった。芝居だけじゃなく、歌も上手い人がそろっているのね(*^▽^*)

また、アルヴィーゼの従僕・カシムを演じた一禾(いちか)さんは2016年初舞台。まだまだ女性が抜けていない部分も見受けられましたが、いい芝居してました。泣かせるねぇ(><)

外箱公演は私にとって、若手(じゃない人も)発掘の場かもしれません(・∀・)イイネ!!

大劇場公演を観る楽しみが増えました♪

『ル・ポァゾン 愛の媚薬-Again-』について

全体を通しての感想

これを書いているのは観劇後3日目。

『 ル・ポァゾ~ン、 ル・ポァゾ~ン、愛の、愛の媚薬~♪』

が未だに頭の中を回っております(笑)

幕開きから驚きました。

何に驚いたかって、自分に。

「このシーン知ってる!この曲知ってる!」と思ったのです。

私が子供の頃、母親がよくビデオ(VHSの時代)をかけてたやつ!涼風真世さんと久世星佳さん!

思いっきり刷り込まれてたみたいです(^o^;)

衣装も小道具も振りも、初めて観るはずなのに、なんで私知ってるんだろう・・・と、結構なシーンで思いました。

母しろこがオススメだと言っていた、

『飛行機乗りの衣装で、隊列が斜めで歌い踊る、物語があるシーン』
『”don’t stop”という歌詞があるシーン』

は残念ながらなかったようですが(あの母しろこが30年経ってもこれだけ覚えているなんて奇跡:笑)。

『ロマンチック・レビュー』とあるように、王道のレビューという感じ。名作と言われるのもわかる気がします。見ようによっては、古き良き昭和の時代のレビューと言われても致し方ないけど、いいの、宝塚だから。

『スパークリング♪』と若手の5人が歌うシーンは、内からみなぎるフレッシュなパワーを感じて、こちらまで楽しい気分になりました(^^)

宝塚に限らずですが、上辺だけでやってる人って、見てるとわかっちゃうんですよね。

上辺だけでやってる人が「フ~!」とか声出してると、とても冷める。
銀橋を渡れるぐらいのポジションの人がそんな感じだと、とても残念。

人間だから、本調子じゃない日もあることはわかるけど、ね。
多くの人にとっては、1回きりの観劇だから、ね。。

そんなことは、あのシーンの5人には全く無縁でした。観ているときは彩海さんしか認識できなかったけど、出演者は眞ノ宮さん、彩海さん、一禾さん、聖海由侑さん、紀城ゆりやさんの5人だったよう。

5人ともいい仕事してましたよ(^o^)b

彩風さんは手足が長いので、スーツ姿でのダンスが素敵☆

特に、ワインレッドのスーツでキメたジゴロの場面の特徴的な(?)振りは、手足の長い人じゃないと様にならない!

大胆なスリットが入った体のラインが出る衣装を着た朝月さんとの濃密な絡みは・・・いいのか?思いっきり触っちゃってますけど (〃ノдノ)

ダル・レークの恋』での月城かなとさん✕海乃美月さんの絡みに匹敵する・・・観る側の照れ(〃∇〃)笑(『ダル・レーク』の方が長かったけどね(^m^)ムフッ)。

ジゴロの振りには見覚えがありましたが、この絡みも初演のままなのでしょうか?なかなかに刺激的な・・・。

これまで観た外箱公演のラインダンスは、寄せ集め感というか、このメンバーが揃って鍛錬してないでしょ?という印象を受けることが多かったものの、今回は揃ってました!大劇場の出演者より人数は少ないけど、フォーメーションも結構複雑で、地方公演で初めて生で宝塚を観る人は「おお、これが噂のラインダンスか!」と思ったんじゃないでしょうか。

最後のパレードは、曲調がなんだか不思議な感じでした。いつもなら、ショーのメインの曲(芝居1本物の場合は、劇中曲のメドレー)が手拍子に合うノリの良いアレンジになっているのですが、イマイチ乗れない(苦笑)テンポも調も、手拍子するにはつっかかりがあるアレンジでした。なぜあのアレンジにしたのだろうか。。

でも全体を通してみると、また観たいと思うショーでした。願わくば、大階段と銀橋のある大劇場で!

彩風さんも朝月さんも、トップになったということは、退団へのカウントダウンが始まったということ(プレお披露目のおめでたいときにすみません。。)。

雰囲気も身長差も実力も、とてもお似合いのコンビだと思います。

大劇場のお披露目『CITY HUNTER』では、どんな芝居で魅せてくれるのでしょうか^^

公演ポスターからして、『ヴェネチアの紋章』とは正反対!(朝月さんなんて、巨大なハンマー持ってるし:笑)。

幸運にもチケットを買うことができました(感泣)

新生雪組、応援しています!

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