~芝居巧者の新トップコンビ~宝塚月組公演『川霧の橋』『Dreama Chaserー新たな夢へー』(2021/10/30@楽天TV)【観劇レポ/感想】

宝塚

本記事には公演のネタバレを含みます。

新トップコンビ、月城かなとさん、海乃美月さんのプレお披露目公演が博多座で上演されました。

通常なら観劇できるはずもない公演だけど・・・ありがとう、配信ヽ(^o^)丿

こんにちは、しろこです。

芝居巧者のお二人がやる日本物なんて、クオリティが高くなること疑いなし!・・・とは思ったものの、ポスターを見て「うーん、青天(あおてん)なのかぁ。。」と若干テンションが下がりました^^;

青天とは:
日本物の男役のかつらの一種。月代(さかやき・前頭部から頭頂部まで)が剃り上げられ青くなっているもの。

ダル・レークの恋』も、「ターバンかぁ。。」と思って観ようかどうしようかちょっと迷ったし(笑)

そう思うと、ポスターって重要ですね。ポスターは素敵なのに、実際観劇したらガッカリすることもありますけど(苦笑)

無理くり観劇のための3時間を確保したので、次の日にしわ寄せが来てヘロヘロになりましたが、心底観てよかったー!

本記事には公演のネタバレを含みます。

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『川霧の橋』について

参考情報

あらすじ

舞台は江戸の隅田川界隈。大工の棟梁の家・杉田家で働く幸次郎は、その実直な働きぶりから次期棟梁に選ばれる。そんな幸次郎には、長年密かに想いを寄せている娘・お光がいた。それに気づいていた大工仲間の清吉は、幸次郎が棟梁になることに対する不満もあり、お光に結婚を申し込む。「3年で戻ってくる」そう告げて一旗揚げるために上方に行った清吉の言葉を信じ、お光は清吉の帰りを待つ。杉田家夫妻がお光の親代わりとなっていた祖父の源六のもとを訪ね、お光を幸次郎の嫁にほしいと願い出る。源六はある理由からその申し出を断り、お光もまた、自分には想い人がいると断る。しばらくして江戸が大火に襲われ、幸次郎たちが住む町も火に飲み込まれる。幸次郎はお光と源六を助けるが、逃げる途中で源六は死に、お光とも離れ離れになってしまう。2年後、幸次郎とお光は偶然再会するが、2人はそれぞれ別の所帯を持つこととなるーーー。

主な配役

幸次郎:月城かなと
大工。杉田家の次期棟梁。

お光:海乃美月
幸次郎の幼なじみ。

半次:鳳月杏
大工。幸次郎の後見人。

清吉:暁千星
大工。幸次郎の後見人。お光に結婚を申し込む。

源六:光月るう
研ぎ職人。お光の祖父。

全体を通しての感想

日本物といっても、前作『桜嵐記』は南北朝時代の武士と武家の話、かたや今作は江戸時代の市井の人々の話。ストーリー展開からビジュアルまで、何もかも違います。

冒頭は大火に飲まれた幸次郎とお光のシーン。カゲソロをバックに、台詞のない芝居で魅せます。

前回ライブ配信を見た『銀ちゃんの恋』は、独特のテイストだったので「(視聴権を)買うんじゃなかった…」と思ったこともありました(;・∀・)(結果的にはネタにもできたので良かったけど)

でも今回は、幕開きのこの数分のシーンだけで「買ってよかった!」と思いました。無理くりでも時間を作って観た甲斐があった!

本当に上手い人は、台詞がなくても上手いんだということを再認識。表情とか仕草とか、それだけで十分物語が伝わってきます。

幸次郎の姿が見えなくなり、一人残ったお光の生気を失った顔。火事の後、記憶を失くした場面でも、魂が抜けたような表情をしていた海乃さん。静かな迫真の演技でした。泣きの演技も上手いんですよね。今作を観て、泣きの演技で彼女の右に出るものはいないと思いました。変な言い方だけど、自然にちゃんと泣いてるのに、ちゃんと(はっきり聞き取れるように)台詞を言っている。体の使い方も、もちろん歌舞伎や狂言でやるような大げさな動きではないけれど、静かに泣くときも大きく泣くときも全身から悲しみが溢れている感じがします。女優の木村多江さんのような感じ(めちゃくちゃ褒めてます!)。

場面は火事が起こる前に遡り、祭りのシーンへ。幸次郎を中心として、半次、清吉など5名が日本太鼓を叩きます。

舞台で楽器の演奏シーンがある場合、バイオリンやピアノなら、実際に演者が演奏することもあります(『霧深きエルベのほとり』の綺咲愛里さんのピアノ演奏は圧巻でした)。

オーケストラやバンドなど複数名で演奏するシーンは、実際はオケの奏者が演奏する、もしくは音を流して、演者は演奏しているフリをします。でも今回は、演者全員が全て演奏していました(と思います)。言葉遣いに所作に、日本物は洋物よりただでさえ覚えることが多いだろうに、演奏までするとは!

5人の太鼓演奏がキマった後は、大勢の男役娘役でにぎやかに踊る。芝居の雪組で日本物の所作を叩き込まれた(と思う)月城さん。踊りに合わせた手首の返しがなんてなめらかなのでしょう。

粋でいなせな江戸っ子。腕も立つ。なのに、女性にはめっぽう奥手な幸次郎。お土産に買ったきたカンザシをお光にぶっきらぼうに渡すし、お光はお光で「なんで私にこんなのくれるの?」みたいな態度だし。いやいや、分かるでしょ^^;

このあたりのお光は、幼さの残る高くて薄い声をしています。それが芝居が進むにつれ声のトーンが下がってきて、深みのある声に。芝居の中では3~4年しか時が進んでいないのですが、ただの若い娘が数年の間に様々な経験をし、芯の強い女性へと変化したことがわかります。

幸次郎の後見人・半次を演じた鳳月さんは、前作『桜嵐記』に続き、慈愛に満ちた男性役。が、終盤で重大なことを心に決めます。

暁さん演じる清吉は、最初こそ真っ直ぐな若者ですが、上方での登場シーンから豹変。こちらは前作で演じた、静かに耐え忍ぶ後村上天皇とは真逆の、宝塚でこれだけ悪い役はなかなかないと思うほどのワルになります。優しい顔立ちをされているからこそ、余計に怖さがありました。

大工・杉太郎役の蓮つかささん、線(体つき)は細いですが、声がいい。奥行きのある声というのでしょうか、台詞が聞き取りやすい(でも自然)です^^

お光の祖父・源六を演じた光月さん。声も喋り方も動きも、これまで拝見した中で一番の年配者。相当研究なさったんだろうと思います。そのまま時代劇に出てきそうな感じのクオリティでした(もちろん時代劇では、それなりの年齢の男性が演じていますが)。

今回初めて認識したのは、お甲役の麗泉里さん。最初に登場したときはどういう立ち位置なのかイマイチわからなかったのですが(芸者のように見えたけど…)、大火事の後で、生きるために身を売る女達の元締めのような存在で登場。身のこなしといい台詞回しといい声の出し方といい、女郎や花魁、芸者が上手い人は見ごたえがあります。実はもうすぐ10年目で、ショーでエトワールを務めたこともありました。すみません、今ごろ(^_^;)

専科の大ベテラン、京三紗さん梨花ますみさんもご出演。日本物は特に、専科さんが入るとそれだけで場が締まります。

そしてそして、中盤の江戸の大火事のシーンで登場する人々!メインで登場するのは下級生たち(と思います。私が知らないだけかもしれないけど・・・)。でも、下級生だと侮るなかれ。皆さん鬼気迫る演技で、本当に火が迫っている緊迫感がありました。最近本公演でよく使われるリアルな映像(舞台の奥に映すやつ)はなかったので、まるまる彼女たちの演技力の賜物です。いいぞー!!

20代までは、あまり日本物は好きではありませんでした。青天がなんか嫌だったの(笑)でもここ数年、日本物もいいなぁと思うようになりました。歳取ったからかな(苦笑)

今作、歌の雰囲気(テンポや掛け合い)が日本物には合わないテイストでした。多分狙ってのことだと思いますが、個人的にはイマイチ。それ以外は大満足^^

特に終盤の展開が・・・

本記事には公演のネタバレを含みます。

清吉がお光に結婚を申し込んだのは、幸次郎への妬みがあったから。上方での清吉は、働くでもなく女遊びに明け暮れます。大火の後、江戸に帰った清吉は約束通りお光と結婚しますが、真面目に働くことはなく、お光の内職でなんとか暮らしている状態。そして罪を犯し、島流しになります。

ある日お光は、清吉が脱獄し、泳いで逃げる最中に溺死したという知らせを受けます。しかし、清吉は自分のことを愛してなどいなかった、本当に自分のことを想っていてくれたのは幸次郎だった、という事実をずっと以前に悟っていたお光には一粒の涙もありません。

一方同じ頃、別の女性と結婚していた幸次郎も病で妻を亡くします。

独りになった2人。わだかまりや遠慮はあるものの、ゆくゆくこの2人は夫婦になるだろう・・・という終盤で、死んだはずの清吉が突如現れます。

見つかった水死体は、自分が逃げるために清吉が仕組んだものでした。清吉はお光と幸次郎が結ばれようとしていることを知り、嫌がらせをしようと企みます。

その頃半次は、一途に想っていた女性が大火で身内を失い、娼婦となり、労咳で亡くなったことで、どこか自暴自棄になっているようでした。一部始終を知った半次。懐から合口を取り出し、「あの2人の邪魔はさせない。俺がお前(清吉)を殺す」と固く心に誓います。

この後、幸次郎とお光が川霧立つ橋の上で、昔のようにホタルを取ろうとする穏やかなシーンで幕が下ります。

ラストシーンは素敵でしたが、それよりも直前の半次のシーンの方が印象に残りました。幸次郎とお光より、半次と清吉のその後の方に興味が向いちゃって(笑)全てを見せずに、観た人に委ねるという手法っていいなぁ。。余韻ってこういうことなんだろうなぁ。。(←マニア)

初演は1990年。当時の月組トップコンビ、剣幸さん、こだま愛さんの退団公演だったそうです。再演はこれが初めてとのこと。たしかに、大劇場での再演より、小さい箱での再演の方が良さげな演目でした。空気感が物を言う作品。いつか生で観てみたいです。

『Dreama Chaserー新たな夢へー』

全体を通しての感想

幕が開いてびっくり。大階段がある!

いや、もちろん大劇場のそびえ立つようなザ・大階段!ではなかったけど、外箱公演の大階段(?)って、5段ぐらいなんですよね。それが、傾斜は緩やかながら20段ぐらいあったと思います。そういえば、芝居のセットも外箱公演にしては豪華だったような・・・。

全体の流れは、ほぼ前作の『Dream Chaser』と同じ。しろこ大興奮のタンゴのシーンもしっかりありました(^^)b

珠城さんの退団公演を意識した演出の部分はもちろんなし。デュエットダンスからは、曲も衣装も大きく変更です(これが副題の『-新たな夢へ-』の部分かな^^)。

タンゴのシーンといえば、月城さん、顎をちょっと上げて斜め下を見るときの表情がたまらない(我ながらマニアックすぎるっ!)。

月城さん、ショーの真ん中に立っても何の違和感もありません!

海乃さんは、私の印象ではどちらかというと滋味の人なので、ショーのキラキラした場面やかわいい感じの場面での真ん中は見慣れない^^;(そういうシーンが似合うのは、今だとやっぱり星風まどかさんと潤花さんかなぁ)タンゴのようなアダルトな場面は似合う!そう、海乃さんの武器はなんといっても大人の魅力!!

流れはほぼ同じでも、出演者が違うので、出ている場面も人によってちょっと違います。

終盤、ロケットダンスの少し前は夢奈瑠音さんのソロ。歌、上手かったんですね!(←知らんかったんかい)ダンスが上手いのは知ってましたが、今回は芝居でも白髪交じりの初老の男性を好演していたし、間違いなくこれから重要な役どころを担っていかれるでしょう♪ 歌っているときの頬から下が、元雪組トップスターの望海風斗さんに似てるなと思いました。口角の上げ方とか、喉の開き方とか。マニアックすぎますね、はい^^;

パレードでは、 鳳月さんが大羽根を背負って下りてきたー!なんか、なんかよくわからないけど、とても嬉しかった。。(><)花組『アウグストゥス』『Cool Beast!!』で瀬戸かずやさんが大羽根背負ってたのも、星組『柳生忍法帖』『モアー・ダンディズム』で愛月ひかるさんが大羽根背負ってたのも嬉しかったけど、それに匹敵する嬉しさです(ノД`)

カーテンコールがあるのかと思ったら、挨拶のために1回幕が上がっただけで、あっさり終わりました。そうか、この日は千秋楽じゃなかったんだ(千秋楽じゃないのにライブ配信するって珍しくないですか?)。

トップ、トップ娘役、2番手全員に「月」の字が入っている新体制の月組。暁さんも、漢字の「月」こそ入ってないけど、「あか『つき』」さんだし。

謎な人事も多々ある宝塚ですが、月城さんの雪組から月組への組替えは大正解だったのではないかと思います。

めでたく大劇場お披露目公演のチケットも取れました\(^o^)/
新生月組、楽しみにしております!

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