~異色中の異色~宝塚花組公演『銀ちゃんの恋~銀ちゃん、本日も反省の色なし~』(2021/9/10@楽天TV)【観劇レポ/感想】

宝塚

本記事には芝居のネタバレを含みます。

日課となっている起床時の体温測定。

あ、熱がある(;´Д`)

というわけで、仕事を休んだ金曜日。時期的、体感的に、間違いなくいつもの高温期の発熱(毎月普通に37度超える)だとは思ったんですがね^^;

コロナがもたらした利点は、微熱程度でも気兼ねなく休めることです(テレワークとは無縁の職場なもんで(-“-))。と、ほぼ100%テレワークになった友人に言ったら、「私はテレワークになってから、体調不良で休むって言いにくくなった」と言われました。なるほど、そっちもあるのか(苦笑)

そういえば、宝塚の公式サイトに『銀ちゃんの恋』の千秋楽ライブ配信をやるって書いていたような・・・。たしか平日だったからカレンダーに書かなかったけど、いつだっけ?と思って確認したら、今日ですがな!

ポチッ(楽天TVで購入)。

観れてラッキー♪と思ったものの、正直、幕が開いてしばらくは「買うんじゃなかった…」と思いました。芝居のテイストがしんどい。熱があるから余計しんどく感じる(;´Д`)ハアハア

こりゃあ観劇レポのネタにはならないな。。と思いながらボーッと観ていたのですが・・・あら不思議、芝居が進むに連れ、良くも悪くも書きたいことがどんどん湧いてくるじゃありませんか!

気持ちの整理がつかなくて、今回は少々取り留めのない観劇レポとなっております。が、共感してくださる方はきっといらっしゃると思います!

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参考情報

あらすじ

池田屋事件の撮影に湧く撮影所。主役の土方歳三を演じるのは破天荒な映画スターの倉丘銀四郎。その彼を『銀ちゃん』と呼んで慕う大部屋俳優のヤス。ある日ヤスの暮らすアパートに、銀四郎が恋人でかつて一世を風靡した女優の水原小夏を連れてくる。自分にはこれから大きな仕事がいくつも控えている、だから身辺整理がいる、小夏は妊娠4ヶ月だ、と、次々と一方的にヤスに告げ、ヤスと小夏を無理やり結婚させようとする銀四郎。ほかでもない銀ちゃんの頼み、そして元々小夏に憧れを抱いていたこともあり、ヤスは小夏と一緒になり、お腹の子の父親になることを決意する。ヤスとの結婚を拒否し、引き受けるヤスに呆れていた小夏も、彼の無私無欲の優しさに次第に惹かれていく。

池田屋事件の見せ場は、なんと言っても討ち入った新選組隊士が大階段の上でスタントを担当する役者を階段下へ斬り落とすシーン。しかしそのスタントには、良くて半身不随、悪くて死亡という大きすぎるリスクをはらんでいた。そのため、引き受ける役者がおらず、撮影自体が中止となってしまう。主演が決まっていた映画の撮影が中止となって気落ちする銀四郎のため、そして小夏の出産費用を稼ぐため、ヤスは階段落ちのシーンを引き受ける。

銀四郎、ヤス、小夏。短い間に様変わりしてしまった3人の関係はどうなってしまうのかーーー。

主な配役

倉丘銀四郎(銀ちゃん):水美舞斗
破天荒な映画スター。

ヤス:飛龍つかさ
銀ちゃんの子分。大部屋俳優。

水原小夏:星空美咲
かつて一世を風靡した女優。銀四郎の子を身ごもる。

本記事には芝居のネタバレを含みます。

感想

開演アナウンスから役の口調で。

「あ、こういう感じ(べらんめえ?)なのね…」と、わくわくしつつ、一抹の不安も感じつつ、でした。

冒頭は、土方歳三をはじめとする新選組隊士に扮した銀四郎たちの劇中劇。

アウグストゥス』冒頭の短い殺陣シーンでも水美さんの体幹の強さを感じましたが、今回はダンダラ羽織姿での長めの殺陣。

体重の落とし方、下半身の重量感、上半身のブレの無さ。

水美さん、ただ者じゃないです(@_@;)

土方歳三といえば、NHK大河ドラマ『晴天を衝け』で土方歳三を演じている人の体の使い方もすごかった。町田啓太さんという俳優さん。

それはさておき、とにかく台詞のテンポが早い!主要キャストは皆さんすごい台詞量。きっと台本は相当分厚かったと思います。一人が詰まったら、そのシーンの流れ全部に影響しそうなほど台詞が飛び交います。

台詞量、口調、内容、勢いが凄まじい。

どう凄まじいかと言うと・・・

笑えない、共感できない、下品、不愉快、荒唐無稽。

熱量は高いけど、『CITY HUNTER』とは全く違う熱量の高さ。水美さんの声(特に歌声)がハスキーに聞こえたのは、この台詞量と口調のせい?

昭和の下町が舞台の映画のよう・・・とでも言えばいいのでしょうか(まぁ、似たようなもんですけどね^^;)。内容もテイストも、今の時代には全くそぐわないし、共感する人もいないのではないでしょうか。懐かしいと感じる世代もあるのかもしれないけど。

ダル・レークの恋』や『ヴェネツィアの紋章』は、現代に合わせて初演から演出(キャラ設定や台詞)が変わっているようですが、もしや『銀ちゃんの恋』は初演(もしくは原作)そのままなのかしら?だとしたら、ある意味「よくやった!」かもしれない(笑)

時代背景や舞台設定を考えると「こういうもんなんだ」なのかもしれませんが、観ていてこれほどしんどい(不快な)舞台は『ミス・サイゴン』以来です(意見には個人差があります)。

公式のあらすじでは、銀四郎のことを『破天荒ながらどこか憎めないところのある役者』と書いていますが、憎めないところって?と本気で思いました。たしかに面倒見が良いところはあるけど、私にはただのめちゃくちゃで救いようのないどうしようもない男としか思えません。

なので、途中で観るのを止めようかと思うぐらい前半はしんどかったです。

でも、休憩を挟んで第2幕。

池田屋の階段落ちシーン撮影の前夜。

自分は明日死ぬんだと自暴自棄になり、小夏に当たり散らすヤス(単に自暴自棄になったのか、後顧の憂いを断つためにわざと小夏に嫌われようとしたのかはわかりません)。

何をどうすればいいかわからず、必死になだめる小夏。

この2人芝居、引き込まれました。息が止まるほどに。

実際に劇場で観劇していると、緊迫するシーンは舞台上も客席も空気が変わるので自然と集中力が演者に向くのですが、画面を通すと空気感まではなかなか伝わってこない。

ヤスと小夏のたった数分のこのシーン、初めて画面越しに集中力を持っていかれました。

喋っているのではなく、泣き叫ぶぐらいの勢いで台詞をぶつけ合う。

いや、それが台詞なのかさえわからない。鳥肌が立つほどの臨場感。

内容はやっぱりしんどいんだけど、このシーンだけでも充分この作品を観る価値がある。

純粋な宝塚作品にはない演出だと思います。

本作の原作は、つかこうへいの『蒲田行進曲』。

映画版も舞台版も観たことがないし、つかこうへいの作品自体、これまで観たことがありません。でも、唐十郎が描き下ろし、蜷川幸雄が演出した舞台『滝の白糸』をかつて観劇したときと同じ感覚を覚えました。

入り込めないまま話が進んでいく。それがある瞬間、突如として芝居の世界に全集中力を持っていかれる不思議な感覚。それに近いものがありました。

また、階段落ちの演出が上手かったです。なるほどなーという感じ。

ヤスが階段の一番上で銀四郎に斬られる。

暗転。

階段上で倒れたヤスに照明が当たる。

暗転。

少し下がった位置で倒れたヤスに照明が当たる。

暗転。

さらに少し下がった位置で倒れたヤスに照明が当たる。

暗転。

の繰り返し。最後にヤスが階段下で倒れている状態で、舞台上の照明が戻ります。

見せ方上手いな~と感心していたら・・・その後がですね・・・まったくもって意味のわからない演出でした。

見事なまでの階段落ちをやり遂げたヤスが、銀四郎の腕の中で息絶える。

次の場面では、中央に笑顔のヤスの遺影が掲げられ、下には棺。

喪服に身を包み、生まれたばかりの赤子を抱き、『お母ちゃんの好きな曲』と言って涙ながらに『蒲田行進曲』を歌いながら上手から下手に歩いていく小夏。

「ヤス、本当に死んだのか・・・」と思いながら観ていたのですが・・・

次の瞬間、ド派手な衣装で棺の中から銀四郎が登場。

上手からはヤスが登場し、銀四郎をはやし立てる。

「なんだこれ・・・」
「今までの、なんだったんだ・・・」
「意図は・・・?」

頭の中「?」がいっぱい。

ほんと、あのラストはなんなんですか?原作を知らないから何とも言えないけど、いや、ほんと、、、なんなんですか、あれ・・・。

そこから、みんなでにぎやかに歌い踊って終演。

えっと・・・え・・・っと・・・私の心、置いてきぼりなんですけど・・・。

どうしたらいいんですかね・・・。

そーゆーもんだと思ったらいいんですかね・・・。

予想外のラストや、ラストにかけて尻すぼみになっていく作品はこれまでも観たことがあるけど、こんな種類のモヤモヤ、今まで味わったことないんですけど・・・。

私だけですかね・・・?

そんなことな・・・いですよね?

いくら熱があっていつもより頭の回転が遅くなっていたとはいえ、全く理解できないんですけど・・・。

銀四郎はオレ様主義の破天荒などうしようもない男。

ヤスは優しいことに違いはないけど、人のことばかり考えて自分の軸がないように見える面倒くさい男。

小夏は完全な依存体質。

周りにいると関わりたくない人物ばかりです。

ある意味、人物設定がしっかりしているのと、そう思わせるほど迫真の演技だったということなんだと思います。

大空祐飛さんが主演したとき、ヤスと小夏は誰が演じたんだろうと思って調べたら、小夏は野々すみ花さん、ヤスは北翔海莉さんと華形ひかるさんでした。なるほど、芝居巧者じゃないとこの作品はできないということですね。

水美さんは、これまであまり芝居の印象はありませんでした(ダンスの印象が強い)。でもこの作品を観て、芝居も上手かったんだとはっきり認識しました(今さらですみません(;・∀・))。優しげなお顔立ちをされているので、イメージとしては優男のヤスの方かと思いましたが、破天荒で、でも面倒見が良いところもある、でもどうしようもない男を豪快かつ繊細に演じておられました。

ヤス役の飛龍つかささんは、パンチパーマとリーゼントの間の子みたいな髪型と口ひげが似合いすぎ(笑)

また、小夏役の星空美咲さん。全く存じ上げませんでしたが、落ちぶれた女優感が出ていました。小夏は依存体質の都合のいい女。おそらく、女が嫌いなタイプの女(現代にもいくらでもいるけど:P)。私は嫌い。観ていて腹が立つ。でもそれって、芝居が上手い証拠。2019年初舞台だそうです。先程も書きましたが、飛龍さんとの2人芝居は圧巻でした。

星空さん、終演後に水美さんが挨拶しているとき、泣きそうな顔でずっと水美さんの後ろ姿を見ていたんですよね。最後に名前を呼ばれるときも、ちょっと列から離れて後ろを向いて泣いていました。よほどプレッシャーだったんだと思います(><)

終演後の挨拶では、さっきまでのハチャメチャな銀四郎とは打って変わって、好青年(青年?)の水美さん。

『千秋楽までお客様の前で公演できたことにホッとしています』

そうだよね。。『レ・ミゼラブル』も『ナイツ・テイル』も『エニシング・ゴーズ』も、ことごとく中止(全公演or一部)になりましたしね。良い席のチケットが取れた『マタ・ハリ』も・・・。

カーテンコールの際、金テープの発射がありました。落ちてきた金テープを飛龍さんの首にかけたときの飛龍さんの「ありがとうございます!」が、ヤスそのものでした。ご主人さまに尻尾をフリフリするワンコみたいな(^m^)

最後に、水美さんが出演者の紹介をしますと言って、なんと出演者全員を紹介!舞台上の反応からして、演者全員にとってのサプライズだったんだと思います。名前を呼ばれた人(特に下級生)の嬉しそうな顔ったらありませんでした^^ 下級生の男役の返事の声が高いのなんのって(笑)ちゃんと休演者の名前も呼んでいましたよ☆

『銀ちゃんの恋』、今回が4回目の上演だそうです(そんなに人気なの?!)。

『異色』という言葉がこれほどしっくりくる作品も他にないでしょう。

演者と観る人、その両方を選ぶ作品だと思います。少なくとも、宝塚を初めて観劇する方には絶対にオススメしません(^_^;)

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