~すみれコード崩壊~宝塚宙組公演『HiGH&LOW-THE PREQUEL-』『Capricciosa!!-心のままに-』(2022/9/2@宝塚大劇場)【観劇レポ/感想】

宝塚レポ

本記事には公演のネタバレを含みます。

※本記事には広告が含まれています。

こんにちは、しろこです。
花組『巡礼の年』観劇以来、約2ヵ月ぶり、私にしては久しぶりの宝塚大劇場。

​前回の月組『グレート・ギャツビー』は、観劇日の朝に中止の発表がありました。それについての嘆きは下の記事に書いたので、今回はやめておきます(まだちょっと引きずってる。。)。

​というわけで、今回の宙組​​​​『HiGH&LOW-THE PREQUEL-』の観劇日も、宝塚公式LINEが来ないか朝からドキドキ。10時になってもLINEがなかったので、もう大丈夫だろうと出掛ける準備を開始。でもやっぱり、今回も開演アナウンスを聞くまではどこかソワソワした感覚がありました(^o^;)

​ポスターを初めて見たときの感想は、ザ・ロック。しかも大きく顔が載ってる人が多い! 鷹翔さんや瑠風さんのファンの方はめちゃくちゃ嬉しかったんじゃないでしょうか^^ 鷹翔さんはメイクの感じもあって、誰だか分からなかったわ(^_^;)

​ハードボイルドな感じ? 真風さんなら絶対似合う! と思っていたものの、観劇日前日にオフィシャルサイトの公演解説を見て、「何じゃこりゃ…」となりました(-_-;)

本記事には公演のネタバレを含みます。

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『HiGH&LOW-THE PREQUEL-』について

参考情報

あらすじ

2015年に連続ドラマとして日本テレビ系列にて初放送された「HiGH&LOW」は、2020年までにシリーズ5作が放送される他、2016年より公開された映画シリーズは作品数にして7作、累計興行収入78億円、累計観客動員555万人を突破した、音楽・コミック・ゲーム・SNS・テーマパークなどあらゆるメディアを融合させた「総合エンタテインメント・プロジェクト」。この壮大なシリーズの作品群の隠された前日譚(THE PREQUEL)を新たに構想、宝塚歌劇の世界観での舞台化に挑戦いたします。

時はムゲン解散から数ヶ月後、「SWORD」誕生前夜の物語である。
かつてムゲンという伝説のチームがこの一帯を支配していた。しかしある事件をきっかけに突如ムゲンは解散。無数のチームによる抗争が後を絶たなかった。そんな中、ひとりの女性が現れる。彼女と恋に落ちたのは、「山王連合会」のリーダーのコブラ。だが、二人には抗うことのできない運命が待っていた……。
「守るべきものができると弱くなる」それは戦うモノたちのセオリーなのか。
やがて頭角を現す五つのチーム「山王連合会」「White Rascals」「RUDE BOYS」「鬼邪高校」「達磨一家」。その裏には、コブラを無口にさせる悲恋があった……。
LDH JAPANと宝塚歌劇団による強固なコラボレーションを通して、究極の男役を体現するトップスター・真風涼帆と宙組による、守るべき女性・守るべき街との間で葛藤する男たちの愛と闘いの物語にどうぞご期待ください。 

宝塚歌劇オフィシャルサイトより

主な配役

コブラ:真風涼帆
山王街二代目喧嘩屋・山王連合会総長。バイクチーム「ムゲン」の元メンバー

カナ:潤花
コブラの幼なじみ

ROCKEY:芹香斗亜
誘惑の白き悪魔・White Rascalsのリーダー。元フリーのスカウトマン

スモーキー:桜木みなと
無慈悲なる街の亡霊・RUDE BOYSのリーダー。スラム街「無名街」で生きる

日向紀久:瑠風輝
復讐の壊し屋一家・達磨一家の頭。「ムゲン」への復讐を誓っている

村山良樹:鷹翔千空
漆黒の凶悪高校・鬼邪(おや)高校の新番長

リン:留依蒔世
苦邪組(くじゃく)の頭。常軌を逸した行動から破壊神の異名を持つ

全体を通しての感想

オフィシャルサイトのあらすじを読んでも意味が分からん。世界観も分からん。人物相関図に載ってる人も多いし、関係が複雑だし、名前も読めない。なんかこう…夜露死苦、的な? 天上天下唯我独尊、的な??

ヤンキーかヤクザの抗争に思えるけど、え、でも宝塚だし…。なら『WEST SIDE STORY』みたいな感じか? と、しばし自問自答(まぁ、『WEST SIDE STORY』も平たく言えばヤンキーの抗争ですけど)。

話の展開もお約束っぽいし、なんだか安っぽいなぁ。。というのが、あらすじを読んだ感想(『二人には抗うことのできない運命が待っていた』なんて書いてある時点で、あ、女が死ぬなと思うじゃないですか(-“-;))。

ドラマと映画で大人気の作品だったようですが、なんの興味もなかったのでどれも見ていません(^o^;) 言われてみれば、どこかで映画の宣伝を見た(読んだ?)ことがある気もするけど、興味がなさすぎて完全スルーでした。私みたいな人、観客の何割ぐらいですかね。。

でも、私が知らなかっただけで、本当に人気作のようです。それが証拠に、『CITY HUNTER』や『ルパン三世』を舞台化したときと同様、客層がいつもと全然違いました。男女問わず若者(10代~20代前半)多し。

なんせ全く原作を知らないので、幕が開いてしばらくは「どうすんのよ、これ…」状態。違和感ありすぎ。

「違えよ」とか「~じゃねえし」とか、言葉遣いがどうにも馴染めず。すみれコードなんてどこ吹く風よ。演じている方も、なんだか口が言い慣れてない感じ(笑)

正直、最初は拍手にも力が入らなかったのですが、話が進むにつれてどんどん集中力が増していきました。

演出の妙かなぁ。映像の使い方といい、ミュージカルとしての見せ方といい、観客を飽きさせない。そして何よりテンポがいい。「総合エンタテインメント・プロジェクト」と銘打つのも分かる気がします。ごめんね、なんだよそれ…なんて思って(;´∀`)

冒頭で大階段が出てきたのにはビックリ! 芝居で大階段を使った演目なんて、これまであったかなぁ?? 登場する5つのチームとそれぞれのカラーを最初に紹介してくれたのは、私のような予備知識ゼロの観客には親切でしたね。

芝居中も、それぞれのチーム(5チーム+苦邪組)を見せる演出が多かったです。

宝塚の演出は基本的にピラミッド型(トップスター、2番手、その他)ですが、今回は下級生の出番も多かった。チームとしてのカラーはあるんだけど、その中でも個々のカラーもあったし、芝居中に名前は呼ばれなくてもちゃんと役名がついていたし。特に下級生は役作りが楽しかったんじゃないかなと思います。ファンの人もきっと嬉しかろう。

レディースの苺美瑠狂(いちごみるく)も、「新鮮」の他に言葉が見つかりません。声を張り上げて「~かよ」とか「~っすよ」とか、すみれコード完全崩壊。このあたりから、観劇していて違う意味で楽しくなってきました(笑)

苺美瑠狂が初登場した後、コブラとカナが橋の上で話すシーンがあります。

ここは、バックに映る真風さんの影にぜひ注目していただきたい!

影が真風さんなんですよ。いや、もちろん黒い影なんだけど、影が真風さんなんです(2回言う)。シルエットがたまらなくカッコいいの。影でも素敵に見せられるなんて、さすが真風さんだわ。。(*´ェ`*)ポッ

また、達磨一家をフィーチャーしたシーンの和太鼓隊も素敵です。特に両サイドの花道で叩いている2人の腰の入り方が堂に入ってる。あの演奏は吹替ではなく、ちゃんと本人たちが叩いていると思います。

RUDE BOYSは身体能力の高い人が揃ってるし、鬼邪高校はダントツですみれコード崩壊してるし、White Rascalsは異様だけど実はめちゃくちゃ紳士な集団だし、達磨一家はいかにもという見た目だけど意外と(?)筋が通ってるし、カラーが濃すぎるチームばかりで山王連合会が普通に見えちゃいました(@_@;)

そして苦邪組。

頭のリンを演じるのは、本公演が退団公演となる留依さん。これはもう、有終の美でしょう。拳でのケンカはめっちゃ弱かったけど :P(あっという間にコブラにやられた:笑)。

背の高い人が多い宙組では小柄な留依さん。これまでの本公演の役は、どれも主要キャストではありませんでした。でも、ひとたび登場すると、歌の上手さでその場面を持っていってしまうような存在感。『オーシャンズ11』のマイク(3エンジェルスを従えて歌い踊る人)、といい、『NEVER SAY GOODBYE』のラ・パッショナリア(革命戦士の女性)といい、観劇後に「あの役、誰が演ってたんだろう…」と思ってプログラムを見ると、留依蒔世の名があるのが常でした。​ダンスも上手かった。退団公演での大役、お見事でした!

終盤、予想通りカナは死にます。

予想通りの展開(私だけじゃないですよね?)とはいえ、客席はシーンとなります。

な・の・に・・・

直後のあの演出はアリなんですか? 「出ちゃった♡」って、吉本新喜劇か! 予想通りでも、真風さんの演技にうるうるしてたのに、涙が完全に引っ込んだわ。ってか、うるうるした私の気持ちをどうしてくれるのよ(苦笑)『銀ちゃんの恋』並みにモヤモヤしたわ。

終盤はショーの幕開きか中詰めのような出演者の数と演出。芝居というよりショーですね、あれは。全員が主役という感じで、オペラグラスを使ってる場合じゃありません!

この作品に中身はあるかと問われたら、きっと無い(意見には個人差があります)。

台詞もストーリー展開もありきたり(個人の感想です)。

また見たいかと問われたら、いや、もういい(好みの問題です)。

でも、「新鮮」であることは間違いない。

違う意味で(どんな意味だ(・。・;))面白い。

そんな不思議な演目でした。

私のように原作を知らずに観劇に行かれる方、いろいろと驚きはしますが、話についていけなくなることはありませんのでご安心を!

そうそう、プログラムに本家本元のキャストの写真が掲載されています。

さすが宝塚。すごい再現性です(特に村山良樹役なんて、同一人物が演ってるんじゃないかと思うほど)。

『Capricciosa!!-心のままに-』について

全体を通しての感想​

​幕開きはチョンパ!​ ​わ~い​\(^o^)/​

​暗転中にスタンバイするから、「これは来る​ぞ​!」と予想はできるけど、予想ができてもチョンパはテンションが上がります。​赤、緑、白のイタリア国旗のカラーの衣装と相まって、眩しい(*ノェノ)キャー​

​スペインをテーマにしたショーもギラギラして​いますが、イタリアをテーマにしたショーはもっとギラギラ。衣装もセットも原色​多めです。なので、くすみカラーを基調とした場面になると、急に肩透かしを食らった気分になる。

​『HiGH&LOW』​ではあまり印象に残らなかった​潤さんですが(オリジナルキャラは立ち位置が難しいんだよなぁ。ともすれば都合よく使われちゃうし)、ショーでは弾けてました!

序盤、色調を抑えた黄色のワンピース(ドレス?)でのダンスは、躍動感にもう目が釘付け。全身で力強くリズムを刻みながら踊っているのが見て取れるダンスです。アップテンポでビートを刻むような曲でのダンスは、踊り手の得手不得手がはっきり出ますね。​潤さんのダンス​が持つ力強さと躍動感は娘役ナンバー1だと思います。​芹香さんとペアで踊っているときは、「ダンスが好き! 楽しい!」​という思いが体中から溢れているようでした。​​

花組の柚香光さん同様、潤さんを初めて認識したのも彼女のダンスがきっかけ(柚香さんは『愛と革命の詩ーアンドレア・シェニエー』で初認識)。

​『アナスタシア』の劇中バレエ​、トップコンビそっちのけで見入っちゃいましたもん。

そして『Capricciosa!!』​で目が釘付けになったダンサーがもう一人・・・。

​ロケットの真ん中で踊って​い​た人。すごいバランス感覚と体のバネだなと思いながら見ていました。​センターとはいえ、ロケットに出るぐらいだから下級生かと思っていたら、​​優希しおんさんじゃありませんか!! 彼女も、前述した『アナスタシア』の劇中バレエで妙技を見せてくれていました。

「コーラスの宙組」と言われるけど、「ダンスの花組」にだって負けてないって!

スカラ座のシーンでは、階段を下りて行った潤さんを見つめる芹香さんの表情がなんとも切ない。芝居ではずっとサングラスをかけていたので、目の芝居が見えなかったんです。多分サングラスの下では目も芝居してたと思うんですけど。このシーンではいい表情がバッチリ見られます。トップコンビの芝居+ダンスもさることながら、一人客席に残された芹香さんもお見逃しなく。

​ハットにロングコートの出で立ちの真風さんは、色気がダダ漏れ(変態発言)。他の皆さんはハットなし。長身の男役が多いので、ロングコート姿で居並ぶと圧巻ですね~。

エトワールは留依さん!! 芝居もショーも、ほんっっっとに有終の美じゃないですか(感泣)最後の最後でブレのないロングトーンを聞かせてくれました。芝居とショー合わせて、一番拍手が大きかったです!!

宝塚の公式LINEが来るたびに、「もしやまた…!?」と思う今日この頃。観劇に行く予定がない公演でも、中止発表があると凹みに凹みます。

宙組公演『HiGH&LOW-THE PREQUEL-』『Capricciosa!!-心のままに-』、滑り出しはひとまず順調。このまま止まることなく、東京千秋楽まで突き進んでくれることを願うのみです(><)

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