~考えさせられるラストシーン~宝塚雪組公演『fffーフォルティッシッシモー~歓喜に歌え!~』『シルクロード~盗賊と宝石~』(2021/1/21@宝塚大劇場)【観劇レポ/感想】

宝塚レポ

本記事には公演のネタバレを含みます。

※本記事には広告が含まれています。

本公演はトップスター・望海風斗さんとトップ娘役・真彩希帆さんの退団公演。
彩凪翔さんや煌羽レオさんなど、これまで雪組を支えてきた方も大勢がご卒業。

宝塚の舞台での最後の勇姿を目に焼き付けてきました!

こんにちは。しろこです。

貸切公演の抽選に奇跡的に当たりました( ;∀;)

チケットを手にして「新年早々、今年の運を全て使い果たしたか・・・」と本気で思いました(当選の連絡があったのは12月中だったのでセーフかな?)。

平日の公演でしたがね(苦笑)

午後から半休を取得して、いざ行かん!(1日ずれていたら仕事休めなかったかも、なので、今年の運はこっちで使ったかもしれない^^;)

前回の生観劇は2020年11月21日、宙組公演『アナスタシア』。

そのときより、館内(ロビーも客席も)は全体的に静かでした(終演後は興奮した?人たちがあちらこちらでキャッキャキャッキャ感想を言い合っていましたが・・・。気持ちはわからんでもないけど、今はダメよぉ。。)。

また、トイレの前に白線と立ち位置を示すシールが貼られていて、それに沿って間隔を空けてトイレに進むという方式に変わっていました。わりと短い距離での折り返しの連続なので(長蛇の列でも進む進む)なんだかちょっと笑えた(笑)

飲食店(ホワイエ含む)は全て営業中止。館内での飲食も禁止です(水分補給はOK)。

また、物販は全て18:00閉店。2回公演がある日の2回目の公演が終わったときには閉店しているので、買いたい物がある方はお早めにどうぞ。

2021/1/21現在、カスタマイズCDは販売中止。キャトルレーヴ階段下のカスタマイズCD売り場はクローズしていました。2020年テーマソングアルバムが欲しい方は、レジで言えば後ろの棚から出してくれます

いつもは2種類ありますが、2020年は公演そのものがあまりなかったから今回は1種類のみ。著作権の都合で『アナスタシア』の曲は収録されていません(泣)

さあ、いよいよ観劇レポのお時間です( ̄ー ̄)b

その前に、これから観劇する方へとても大切なお知らせが2つあります。

<1つ目>
本公演はトップさんの開演アナウンス前に芝居が始まります(少し芝居をした後で開演アナウンスあり)。開演5分前のベルが鳴ったら( ̄ b ̄) シーーッ

<2つ目>

本記事にはこれ以降、芝居の核とも言うべき重大なネタバレが含まれます。「まだ知りたくない!やめてっ!」という方はショーの感想からお読みいただくか、観劇なさってからまた遊びにいらしてください^^

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  『fffーフォルティッシッシモー~歓喜に歌え!~』 について

参考情報

あらすじ

ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン。 現代ではその名を知らぬ者はいない天才音楽家。失恋、孤独、失聴・・・彼の人生は苦難の連続であった。 19世紀初頭、ウィーンの劇場で指揮した新曲コンサートは大喝采を浴びる。気鋭の音楽家としてルートヴィヒは自信をみなぎらせていた。しかし喜びもつかの間、求婚していた伯爵令嬢のジュリエッタには裏切られ、時を同じくして聴力を失う。聴力を失った彼の前に突如として現れた謎の女。彼にだけ聞こえるその声。不可解な存在と自認しながらも、ルートヴィヒと彼女は運命を共にしていく・・・。同じ時代を生きた者の中に、ナポレオンとゲーテがいる。ベートーヴェンは音楽で、ナポレオンは知力と軍事力で、ゲーテは言葉で、時代の先を見据えて三者三様の道を突き進む。彼が最後に残した交響曲第九番、その第4楽章の主題は「喜び」。数々の困難との戦いの末、彼は如何にして喜びに辿り着いたのかーーー

主な配役

ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン:望海風斗

謎の女:真彩希帆

ナポレオン・ボナパルト:彩風咲奈

ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ:彩凪翔

よかったところ

映像の使い方・舞台の使い方

今では映像も舞台機構の一部になった感すらある宝塚。今回の映像の使い方は、今までで一番効果的かもしれません。

いつもなら映像が映るのは舞台の奥だけですが、冒頭の炎のシーンでは左右(銀橋の辺り)にも目一杯映していました。私の席は1階の後ろの方(S席とA席の境ぐらい)だったものの、左右にも映像を映すことによって舞台への埋入感がありました。

ルートヴィヒの耳が聞こえなくなるシーンの映像は、ムンクの『叫び』やゴッホの『星月夜』を彷彿とさせる不穏な渦巻き(これ↓ね)。

実態の掴めない恐怖や心の混乱を上手く表現していたと思います。

また、『アナスタシア』のときは、オーケストラの生演奏はないのに指揮者が指揮をしていて違和感がありまくりでした。でも今回はそれはなく、オーケストラピットも舞台の一部として使用していました(ベートーヴェンが主役だからかな?)。

望海さんと彩風さんの2人芝居

物語の後半、ルートヴィヒの夢の中のシーン。ロシア遠征に失敗したナポレオンと失意に暮れるルートヴィヒが、雪原でお互いの思いを語ります。

トップと2番手の2人芝居はよくあれど、この2人の芝居はいつも見ごたえがある!

『壬生義士伝』の吉村貫一郎と大野次郎右衛門しかり、
『ひかりふる路』のロベスピエールとダントンしかり、
『ファントム』のエリックとキャリエールしかり。

2人の演技力はもちろんだけど、きっと普段の関係性(尊敬、信頼)も良いんだろうなぁ。それがもう観れないなんて。。(号泣)

この2人の最後の2人芝居です。皆さん息を殺して注目してください!!

ルートヴィヒの苦悩

苦悩にもだえる様や狂気に囚われていく様は、望海さんの専売特許。演技だけでなく、歌声にもそんな心情が乗るからすごい。

表現したいことがあるというのは伝わってくるけど、表現できるだけの技術が追いついていない人もいれば、技術はあるんだけど、何も伝わってくるものがない人もいる(役者も歌手も演奏家も、プロもアマも問わず)。

望海さんを観ていると、表現力と技術が拮抗して初めて、観ている人・聴いている人の心に届く何かが生まれるんだろうなと思います。 

いつまででも聴いていたくなる歌声。

真彩さんの歌も同様。
彼女は軽く(力を抜いて)歌っているように見えるのにそれができる。

もちろん本人たちの努力や訓練の賜物ということもあると思いますが、これを天賦の才というのかな(^^)

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その他にも、笙乃茅桜さん(役名:小さな炎)のダンス望海さんの劇中でのピアノ演奏、 マニアックな視点でいくと、 煌羽レオさん(役名:メッテルニヒ)のニヒルな貴族真彩さんの高笑い(笑)など、見逃せないところがたくさんありました。

全体を通しての感想 ※注意:重大なネタバレを含みます※

謎の女が登場したときに感じたのは、

『エリザベート』におけるエリザベートに対するトート(「死」の具現)

『風と共に去りぬ』(宝塚版)におけるスカーレットに対するスカーレットII(「本音」の具現)

『モーツァルト!』(宝塚では未上演)におけるヴォルフガング(モーツァルト)に対するアマデ(少年時代のモーツァルト)(「才能」の具現)  

みたいな存在かな、ということ。

でもいずれとも違った。

強いて言うならトートに近いが、彼女は「不幸」の具現。

誰の前にも現れる。

不幸に目を向けすぎれば、その先に待つのは死である(それだと『エリザベート』っぽくなる)。

不幸が運命であるなら、逃れることはできない。

逃れることができないのであれば、寄り添って生きる。

不幸をも抱き留めて生きる。

不幸を知る者は、僅かな幸いに気づく。

暗闇にも一筋の光を見出すことができる。

人間の秘めた強さに気づく。

そうして『歓喜の歌』は生まれたのではないかーーー

幕が下りる際の拍手する手に自然と力がこもった。

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作・演出は上田久美子氏。

『翼ある人々ーブラームスとクララ・シューマンー』(2014年宙組)や 『星逢一夜』(2015年雪組)、『神々の土地』(2017年宙組)など、人間の弱さ、脆さ、危うさ、 芯の強さ、秘めた想いといった心の機微を表現する演出がうまい(それを表現できる役者がいるということが前提)。

眩耀(げんよう)の谷~舞い降りた新星~』の観劇レポにも書いたが、個人的に、宝塚のオリジナル作品は当たり外れが激しいと思っている。当て書きだったり、ご都合主義的な感じが全面に出ていることがあるからだ。

だが、上田氏の脚本には「本当にこうだったんじゃないか」と思わせる力がある。

そして、配役の妙。

おそらく普段から生徒をよく見ているのだろう。

望海さん、真彩さんがトップになってからの雪組の作品には一切のハズレがなかった。トップ以下、個々の実力もさることながら、組全体としての力があった。

もうこのメンバーが一堂に会する舞台を観ることができないのが残念でならない。

ん?と思ったところ

めちゃくちゃ真面目な感想を真面目なトーンで書いた後で申し訳ないんですが、個人的な不満をひとつ。

今作は朝美(絢)さんと朝月(希和)さんの出番が少なかったです。。

ちょい役というわけではないけど、もう少し多めに見たかったな。ま、今回はトップコンビや彩凪さんたちが退団するからしょうがないよね。。

すみません、超個人的なことで(笑)好きなんです、この2人も^^

『シルクロード~盗賊と宝石~』 について

全体を通しての感想

幕開きは望海さんでもなく彩風さんでもなく、彩凪さん!
長年雪組を支えてきた彩凪さんへのはなむけか?!

大きな拍手が沸き起こりましたよ!

そこに望海さんや彩風さんも加わり、エキゾチックな曲とダンスでシルクロードの世界へ突入。

芝居でも思ったんですが、彩風さん、ちょっと喉潰してたのかもしれません。なんとなくハスキーで、歌声が抜けるような感じがありませんでした。大丈夫かな。。

そうこうしているうちに、朝美さんが娘役を引き連れて登場。

スルタン(イスラム教国の君主号。皇帝)とハーレムの奴隷!・・・ではなく、プログラムによると娘役は宝石とのこと(朝美さんの役名はシャフリヤールなので、スルタンで合ってた\(^o^)/)。

この場面の娘役さんたちに注目してください。ベリーダンスの衣装のようなお腹が出る衣装を着た娘役さんたちの腹筋が!腹筋がっ!笑。

女性は鍛えてもシックスパックにはなりづらいらしいけど、みんな惚れ惚れするような見事な腹筋なのです! 憧れるわー、あの腹筋(*^^*) ←どこに憧れとんねん(笑)

時々、とても斬新な色使いの衣装がありました。好みが分かれそうなやつ^^;
役上での望海さんと彩風さんのダンスバトルのときに背負っていた羽も斬新。特に彩風さんが背負っていた羽は対角に取り付けられていて、バランスが取りにくそうでした。  

真彩さんはテクノ系の曲に乗って、まさかのラップを歌う!
ラップなんて、『CASANOVA』(2019年花組)で仙名(彩世)さんが披露して以来じゃないかしら?
2人とも退団公演でラップなんて、攻めてるぅ。

今回の黒燕尾は、スパンコールなしの正統派タイプ。望海さんの手には青いバラ。
赤でも白でもなく青というのは、何か意味があるのかな。

娘役の真っ青なドレスにもスパンコールはなし。

衣装のシンプルさも相まって、いつも以上に一つ一つの動きが丁寧だったように感じました。指先足先まで神経が行き届いているような。

娘役が大階段を上って退場、男役が大階段を下って入場時のフォーメーションは新しい。

望海さんが青いバラを彩風さんへ渡す。
退団公演ならではの演出ですね。泣けたわ。。

望海さんが真ん中で踊るときは、別れを感じさせる切ない曲調。
彩風さんが真ん中で踊るときは、未来を感じさせる明るい曲調。

じーん。。(;_;)

デュエットダンスの曲は加藤登紀子さんの『時には昔の話を』

スタジオジブリの作品『紅の豚』で使われていたので、聴いたことがあるという方も多いはず。振り数はそんなに多くなく、悠々としたデュエットダンスでした。

現トップコンビから次期トップコンビへとバトンを渡すような演出があったり、パレードで望海さんが大階段を下りてくるときの笑顔と、それを迎える組子の笑顔がキラキラしていたり、

やっぱり退団公演なんですね(号泣)

ん?と思ったところ

PAさん、音デカすぎです!
開演後10分間くらいかなぁ、音量の設定間違ってません?!と思うくらい音がデカかった!(しろこは専門学校でPAを専攻しておりましたもんで、音にうるさいのです・・・)

あの望海さんがメインで歌って、途中から合唱になったのに、その声がかき消されるぐらいの音量ってどゆこと?!

途中からちゃんとしたバランスになったけど、一体なんだったんだろ。。あのときだけだったのかなぁ。他の日時の公演をご覧になった方、いかがでしたか?

あと、隣の席の人が芝居でもショーでも号泣していて、、、ごめんやけど気が散るからちょっと我慢してください。。昔、母親が映画の『レ・ミゼラブル』を観に行ったときに、「斜め後ろの席の人が嗚咽を漏らしながら号泣してて、映画に集中できんかった(-“-)」と言っていた気持ちがものすごくわかりました(苦笑)

いや、ね、わかるのよ、寂しいよね、退団してほしくないよね、大好きだもんね、泣いちゃうよね、、、でもね、、、ごめん、ほんまにちょっとでいいから我慢してください、周囲の人のために。。(><)

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​なんだかいつも以上に熱の入ったレポになってしまいました(;´Д`)ハァハァ​​

どの組もそれぞれに好きですが、ここ数年は雪組が一番好きだったな。

満を持して次期トップになる彩風さん、下級生がトップ娘役になることが多い昨今、11年目にしてトップ娘役になる朝月さん、演技力の高さは言わずもがな、見た目のバランスも良い!

新生雪組、心の底から期待してます!!

そして望海さん、真彩さん、退団される皆さん、最後まで無事に舞台を務められることを祈っています!ありがとうっっっ!!!

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