~思った以上にミュージカル~宝塚歌劇雪組公演『Lilac(ライラック)の夢路ードロイゼン家の誇りー』『ジュエル・ド・パリ!!ーパリの宝石たちー』(2023/4/28@宝塚大劇場)【観劇レポ/感想】

宝塚レポ

本記事には公演のネタバレを含みます。

​なんか、客席の年齢層が異様に高い…。初舞台生に孫かひ孫がいるんですか?

​こんにちは、しろこです。

​冒頭の心の声、実は劇場に入る前、花のみちを歩いてる時から思ってました(^_^;)

​席に​着いても、さだまさしさんのコンサート並みの年齢層の高さ。

​まぁ、ただの敬老会か何かの旅行だったのかもしれませんが。​ただ、やっぱり毎年のことながら、初舞台生のお披露目公演は客層が違う気がします。

​さて、今回の雪組公演『ライラックの夢路』、ポスターを観て「全組通して久々の、THE・宝塚な作品?」と思いました。衣装やポスターの空気感がキラキラしてる☆

​完全オリジナル作品ということで一抹の不安もありつつ…。

​でも、最近は原作ありの作品でもイマイチなのが結構あるから、もう作品や演出家には一切期待しないことにしました(←それもどうなんだ)。

​さ~て、感想はいかに!?

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​『ライラックの夢路-ドロイゼン家の誇り-』について

あらすじ

​イギリス産業革命の影響を受けて目まぐるしく変化する19世紀初頭、ドイツ。プロイセン王国のユンカー(騎士領所有の貴族)であり、今も尚騎士道の精神を受け継ぐドロイゼン家。その広大な領地には、春になるとライラックの花が咲き乱れている。ドロイゼン家の長兄ハインドリヒ・フォン・ドロイゼンは、金融王ロートシルト家(世界的富豪ロスチャイルド家)を築いた5人兄弟のように、ドロイゼン家の5人兄弟も一丸となって、新しい産業である鉄道産業を発展させることを夢見ていた。
​ある日ハインドリヒは、音大生の末弟ヨーゼフから、音楽家志望のエリーゼを紹介される。勝気で利口なエリーゼと些細なことで衝突しながらも、二人は次第に惹かれ合っていく。さらに、エリーゼの幼友達・鉄工職人のアントンとの出会いによって、ドロイゼン家による鉄道事業の歯車がまわり始める。
​鉄道産業の設立こそ、ドイツ諸邦の発展と統一に繋がると信じるハインドリヒ。それは、5人兄弟が力を合わせることによって事業を成し遂げようとする姿とも重なっていく。兄を尊敬しながらも反論する官僚の次男フランツ、三男ゲオルグより告げられた亡き父親の噂、融資銀行の思惑や国からの圧力等、様々な問題がハインドリヒにのしかかる。しかし、それらを乗り越える時には、いつも兄弟の力があり、エリーゼの愛があった。

​宝塚歌劇団オフィシャルサイトより

主な配役

​ハインドリヒ:彩風咲奈
ドロイゼン家の長男であり7代目当主。革新的な考えを持つ。

エリーゼ:夢白あや
職業音楽家を目指す女性。ヨーゼフの友人。

フランツ:朝美絢
ドロイゼン家の次男。地方行政の官僚。

ゲオルグ:和希そら
ドロイゼン家の三男。プロイセン軍隊の大尉。

ランドルフ:一禾あお
ドロイゼン家の四男。政府高官の秘書。

ヨーゼフ:華世京
ドロイゼン家の五男。音大生。心臓を患っている。

アーシャ:美穂圭子
魔女と蔑まれた女性。

アントン:縣千
鉄職人。エリーゼの幼友達。

​全体を通しての感想

​今作『Lilac(ライラック)の夢路-ドロイゼン家の誇り-』『ジュエル・ド・パリ!!-パリの宝石たち-』は初舞台生のお披露目公演なので、芝居が始まる前に口上があります。

​私、宝塚ファン歴が長いくせに知らなかったことがあるんです。

​口上があるのは宝塚大劇場での公演の時だけだということを…。

​コロナを機に宝塚も配信をやるようになり、初めて東京公演を観た時に「ん?初舞台生は?」と思って調べて初めて知りました。

​紋付き袴姿でズラッと並んだ初舞台生を見ただけで、今年も発動、謎の親心。

​ただ、今年は「これはどうなんだろう…」と若干モヤモヤ。

​スタイルも顔もみんなよく似てる。

​似ているのか、似せているのか。

​宝塚受験のためのスクールも結構あるみたいですね。きっとマニュアルみたいなものもあるのでしょう。夢の世界には容姿端麗な人しかいない、か…。

​もちろん今の段階で個性がないとは思わないけど(むしろ今の時点ですでに個性があったら、いろいろと難しい立場になるかもしれませんしね(-_-;))、専科の重鎮の皆さんや未沙のえるさんみたいな役者はもう出てこないのかなぁ。。と勝手に劇団の未来に想いを馳せてしまいました。

​口上が終わり、温かい拍手に包まれ、いよいよ開演です。

​彩風さんの開演アナウンス

​「作・演出・振付、謝珠栄。ミュージカル・ロマン、ライラックの~」

​振付!?

​「作・演出・振付」という紹介の仕方、これまであったかなぁ? 謝先生、大活躍!

​開演直後から思った以上にミュージカルでした。それも「振付」というだけあって、歌よりダンス色の強いミュージカル。

​このところ雪組は『蒼穹の昴』『海辺のストルーエンセ』『BONNIE & CLYDE』と重厚な作品が続いていたので(『BONNIE & CLYDE』は観てないけど、あらすじを読む限り退廃的な物語っぽい)、良くも悪くも気負わずに軽い気持ちで観られる作品でした。

​・・・うん(←何?)

​良く言えば、軽い気持ちで観られる。
​悪く言えば、予定調和のサクセスストーリー。

​なので、個人的には「あまりにうまく事が運びすぎている」という印象でした。と言いつつもイマイチ感がそれほどなかったのは、予定調和ながら芝居の構成がしっかりしていたのと、上演したのが歌良し・踊り良し・芝居良しの雪組だったからかなぁ。衣装(特にドロイゼン家の5人)を見てるだけでも目の保養になったし(彩風さんのお御足の長さが強調されまくり!)。ほんと、アニメや漫画から出てきたかのよう。

​ストーリー展開は結構早いですが、無理はありませんでした。こじつけ感とか辻褄が合わないとか、そういう部分で引っかかるところは無し。もう少し登場人物一人ひとりを掘り下げることはできなかったのかなと思いますが、主要な登場人物の数と上演時間を考えるとあれが限界でしょう。要所要所に、現代にも通じる社会問題(異端の者を虐げるとか軍備拡大とか)が組み込まれていました。

​・・・うん(←だから何?)

​曲とダンスはとても良かったけど、物語としては可もなく不可もなく​​。ハインドリヒたちとアントンとの関係性も途中で予測がついちゃったし。

​私にとっての舞台や本は、単なる娯楽ではなく、学びや気付きを得るもの(宝塚の場合は元気ももらう!)。

​というわけで、今回はあまり筆が進まないのです(苦笑)大きな夢に向かってそれぞれがそれぞれの役割を果たすというのは、舞台を創り上げるのと同じ…というのがちょっと作為的に見えたこともありぃの。

​とはいえ、そんな中でもご注目いただきたい人とシーンはちゃ~んとありましたのでご安心を!

​その① 久城あすさん演じるヴェーバー少佐。ゲオルグの上官にあたる人です。

​すっげーヤな奴(笑)

​久城さん、普段は可愛らしいお顔と穏やかな声をされているのに・・・すっげーヤな奴(←2回言う)笑。それだけ上手いということですよね♪

​その② 叶ゆうりさん演じるマイネック。ドロイゼン家と親交のある貴族の男性で、ボルドーの帽子にターコイズのコートを着ています。

​マイネックはですね、酔っ払ってたり奥さんの尻に敷かれてたり空気読めなかったりの愛すべきキャラ。​

叶さんのことは、配信で観た『ヴェネツィアの紋章』で「こんな人がいたのか!」と思って以来、舞台のどこにいても気になる存在になりました。『シティーハンター』ではまさかの(?)ニューハーフ役で出てたし(笑)

​ヴェーバー少佐もマイネックも登場シーンはあまり多くないのですが、出てくるたびに気になる人物です。それぞれ違う意味で(^m^)

​そうそう、同じく『ヴェネツィアの紋章』で認識した一禾あおさん。前作『蒼穹の昴』に引き続き今作でも彩風さんに近い役で、どんどん目立つ存在になってきました☆ 声の厚みがすごい。

美穂圭子​さんは登場するだけで舞台の空気を変える存在。ひとたび歌い出すと、美穂ワールドに引きずり込まれる感じがします。

​また、思わず注目してしまったのは、物語の終盤、ハインドリヒたちの父親のことを、銀橋の端でアーシャが回想するシーン。​スポットライトはアーシャと、反対側の端にいるアーシャの叔父バジナ(透真かずきさん)に当たっています。照明を落とした舞台の中央にはドロイゼン家の面々。ゲオルグがバジナから聞いた話を兄弟たちに伝えているという設定です。

​このシーンで、ゲオルグがマイクに乗らない台詞をずーっと喋っています。それに対してハインドリヒたちが演技をしている。照明が当たらなくてもマイクに乗らなくても、こういう部分が物語に奥行きと現実味を持たせるために一役買っているのだと思います^^

​『ジュエル・ド・パリ!!-パリの宝石たち-』について

​全体を通しての感想

​初舞台生のラインダンスが幕開きの章の次にあります。星組『JAGUAR BEAT』以降、ラインダンスを最初に演るというのが定番になりつつありますか!?

​冒頭の「ヤッ!」はよく声が出て揃ってました。足上げは最初はちょっと危なっかしく、徐々に本調子になってきたという感じ。

​最後は全員が数珠つなぎになって銀橋を渡ります。

​再び発動、謎の親心。星組『Gran Cantante!!』のレポでも書きましたが、銀橋を渡るのは初舞台公演が最初で最後という人も大勢いるんですよね。。

​初舞台生のお披露目シーンも含め、今回のレビューには、どこかで耳にしたことがある曲が原曲とは違うアレンジでたくさん出てきます。

​全体的に「宝塚らしい」レビュー。

​注目シーンは・・・皆さん一緒じゃないですかね( ̄ー ̄)ニヤリ

​クレオパトラ風の衣装に身を包んだ和希そらさんがセンターのシーン!

​ね? ねっ?

​男役はくびれがないと言われますが、そんなこたぁありません! 和希さん、キレイな腹筋にくびれもあるなんて最強じゃないですか!! 表情も男をたぶらかす魔性の女という感じで、オペラグラス・ロックオンしまくりでした。

​中詰め後、縣千さんを中心とした若手~中堅の男役のシーンはとにかくエネルギッシュ。こういう、演者が嘘偽りなくエネルギーを爆発させているシーンは、観ている側のテンションも上がります。

​現月組の彩海せらさんが雪組にいた時は、縣さん✕彩海さんのコンビだったけど、縣さん✕眞ノ宮るいさんのコンビになりましたかね?

​その後、雰囲気がガラッと変わり、美穂さんの歌に乗せて退団者の皆さんがのびやかに踊ります。退団者が組子に囲まれてワイワイする演出も温かみがあって素敵ですが、今回のような演出も胸に迫るものがあって素敵でした。

​で、またしても雰囲気がガラッと変わり・・・カンカーン!!

​カンカンって・・・いいですよね。。(*^^*)

​宙組『Delicieux!』のカンカンも圧巻でしたが、今回のカンカンも心の中で「おー!!」となりました。

​ただ、カンカンって、観てる方はいいけど演ってる方はとんでもなくしんどいはず(;´∀`) それも、ただでさえ体力消耗している終盤に。。楽しませてくれてありがとう(感泣)

​エトワールは、『海辺のストルーエンセ』でヒロインを務められた音彩唯さん

​あっという間にエトワールを務めるまでになりましたか! なんせお顔が小さいので、『ライラックの夢路』でも『ジュエル・ド・パリ』でもどこにいるかすぐ分かりました。これからどんどん出て来るでしょうね。

​今回は彩風さんや朝美さんの話が出ませんでしたが、彼女たちのことについてはいつも書いているので、たまにはこんなレポがあってもいいでしょう^^​(逆にファンの方には期待外れの記事ですみませんでした(^O^;))

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