~上級生トップコンビの安定感~宝塚歌劇月組公演『ゴールデン・リバティ』『PHOENIX RISING』(2024/11/30@宝塚大劇場)【観劇レポ/感想】

宝塚レポ

※本記事には広告が含まれています。

こんにちは、しろこです。

年末ですね…。

11月から12月中旬まで仕事が忙しすぎて、執筆をだいぶ放置してしまいました(;・∀・)
加えて、文字通り恐ろしく忙殺されていたため、観劇したこと自体も忘却の彼方へ…。

でも大丈夫(ほんとか?)。こんな時こそ、幕間休憩でトイレに並んでいる時と帰りの電車の中で一心不乱に打ったメモが役に立つのです!(それと公式YouTubeの初日映像!)。

とは言え、皆さん、記憶を失いかけるほど働いちゃいかんですよ…。体の健康も心の健康も等しく大切に。。。

心の健康のために、私が大変お世話になっている宝塚過激。違う、歌劇。

2024年最後の大劇場訪問。

今年も心の中で、大劇場さんに「今年も1年ありがとうございました。来年もよろしくお願いします」と挨拶してまいりました☆

本記事には公演のネタバレを含みます。

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『ゴールデン・リバティ』について

あらすじ

19世紀後半、アメリカ。かつて列車強盗団“ワイルドバンチ”の一員であったジェシーは、ライマンと名乗る男から大陸横断鉄道が運ぶ国庫の金貨を盗み出す計画を依頼される。強盗団の壊滅と共に足を洗っていたジェシーは断ったが、正体を明かすと脅され仕方なく仲間に加わる。人を集め、周到に計画を練った上での実行だったが、列車会社の手違いで同乗する事となった軍隊に気付かれ、図らずも銃撃戦となってしまう。それでも金塊を奪おうと貨車の扉を開けるジェシー。だが、そこには金庫も金塊もなく、ただ一人、古い鞄を抱き締めた女が潜んでいた。軍隊が容赦なく銃弾を浴びせる中、咄嗟に女の手を取ったジェシーは、偶然通りすがったサーカス列車へと飛び乗り、間一髪の所で逃げ切る。アナレアという、その女が片時も離さない古い鞄は、外交公嚢と呼ばれる国家機密の運搬に用いる品であるらしい。お宝の可能性も捨て切れないと考えたジェシーは隙を見て鞄を奪おうとするが、サーカス団で溢れる車内では迂闊に手を出せない。止む無く彼女と行動を共にするうち、やがてジェシーは国家ぐるみの重大事件に巻き込まれて行く……。

宝塚歌劇オフィシャルサイトより

主な配役

ジェシー:鳳月杏
列車強盗団「ワイルドバンチ」の生き残り

アナレア:天紫珠李
何者かに追われている謎の女性

ライマン:風間柚乃
保安官

ディーン:礼華はる
無法者

リッキー:彩海せら
無法者

フランク・モートン:夢奈瑠音
実業家

ハワード・ケイン:英かおと
将軍

全体を通しての感想

まずは鳳月さん、トップ就任おめでとうございます!!

いやー、よかった。

月組はね、ほら、龍真咲さんが退団された後の人事でいろいろあったじゃないですか。あのあとの数年は、みーんな気の毒でしたもん。。

劇団があの時の二の舞を踏むようなことをしなくてよかったです。
柚希礼音さんが退団された後の人事と、その後のスムースな(?)代替わりを参考に・・・したのかどうかは知らんけど。

鳳月さんも風間さんも、どちらも実力者でどちらも好きだけど、ここはやっぱり鳳月さんにトップになってほしかったので、就任発表があった時はホッとしました♪

天紫さんもおめでとうございます!

前トップコンビの月城かなとさん&海乃美月さんに匹敵する落ち着いたコンビ。

THE・安定感。

大劇場お披露目公演の『ゴールデン・リバティ』は、宝塚では珍しい西部劇・・・と思っていたら、大劇場で西部劇を上演するのは初だそうです。昔、宙組がバウホールで上演した記憶があったのですが、そうだったのね…(観てはいませんが、七海ひろきさんと蓮水ゆうやさんのポスタービジュアルがすごく印象に残っている)。

プログラムを読んでびっくり。名前がついている役すべてに、しっかりしたキャラ設定がありました。
もちろんどんな作品でもキャラ設定はしていると思いますが、あらためて文字にして見ると、説得力があります。

既存のいろいろな作品からヒントを得て創作されているので、完全オリジナルとは言えないものの、善人か悪人か単純には判別できない登場人物の見せ方が私好みでした(宝塚では珍しく、骨の髄まで悪人な連中も出てくる)。

特に風間さんが演じたライマンは、風間さんの深みのある演技力のおかげで、一番人間臭くて一番魅力的な役に感じました。
『応天の門』で演じられた藤原基経もそうでしたが、1曲歌うだけで役の心情を表現できるのが彼女の強みのひとつだと思います。

鳳月さんの強みは、にじみ出る包容力…♡

月城さんからも偉大なる包容力を感じていましたが、月城さんの包容力が「温かい」だとすると、鳳月さんの包容力は「深い」

歌声にも深みがあり、音域もめちゃくちゃ広い。

花組『CASANOVA』のコンデュルメル夫人が聴かせてくれた抜けるような(でも薄っぺらい音ではない)ソプラノは、「ほんとに普段は男役ですか!?」と思うほどでした。

今作で演じたジェシーは、どこか人生を諦めているようでいながらも、熱い想いを内に秘めた人物。コミカルなシーンもありますが、全編を通して大人の色気が溢れています。たまらんです(変態発言)。

天紫さんは、登場してしばらくはヒロインだと分かりませんでした。

どこからどう見ても、完全に少年。

事前に読んでいたあらすじに「列車の中に古い鞄を抱き締めた女が潜んでいた」みたいなことが書かれていたのを思い出し、途中で「ん? これが天紫さん!?」となりました(・_・;)

海乃さんと同じく、芯の通った凛とした雰囲気の役が似合う印象の娘役さんなので、アナレアはお披露目公演にふさわしい役だと思います(鳳月さんのジェシーといい、当て書きですかね?)。

今作で初めて「この役、誰!?」と思ったのが、ハワード・ケイン役の英かおとさんと、ヒルバレーの酒場の女主人役の妃純凛さん。どちらも入団10年以上。「今ごろ注目?」って言われてもしょうがないです、すみません。。(;・∀・)

トップさんが退団される時は一緒に退団する人が多くなるので、新しいトップスターが就任すると、組全体の見え方が変わる気がします。

今作『ゴールデン・リバティ』、キャラ設定はしっかりしていたけれど、演出としては惜しいところも…。

人物相関図を見ると軽業師役の人が何人もいたので、劇中サーカスみたいなこと(バトンとか側転とか)をやるのかと思っていましたが、そんなことはありませんでした。ゾウとキリンは出てきたけど(笑)

あと、ダンスシーンが不自然に多い。特に、話が一件落着したあとのウェイトレスのダンスシーンは要るかなぁ? 上演時間を95分にしようと入れましたって感じがしたんですよねぇ。。終盤のアナレアを中心とした民族ダンスも、この時間にダンス…?と思ってしまいました。ダンス自体はよかったけど、作品全体として見た時に、ちょっと浮いていたと言いますか…。

インディアンを狙ったり虐げたりする演出は、今の時代では完全にアウトです。
でも、作品の舞台となった時代を思えば、当時はそういう認識だったんですよね。

このあたりの線引きって、すごく難しいと思います。
事実を知らない人や、信憑性の不確かな情報を鵜呑みにする人が過剰反応することも最近はよくありますし。そしてそんな過剰反応が事実を捻じ曲げるという負の連鎖も…。

えっと…今日は真面目な話をするつもりはなかったんですが、いつもの癖でつい…。

そうそう、鳳月さんのインディアンの扮装を見て、『今夜、ロマンス劇場で』で、スター俊藤龍之介が演じた(?)連獅子を思い出した方、いらっしゃいませんか?(^m^)

全体的には、組子みんなをフィーチャーしていて、バランスがいい。組としての総力もある。

月城さんの(早すぎる)退団発表を受けて凹みましたが、新生月組も変わらず応援します!

『PHOENIX RISING』について

全体を通しての感想

セットがキラキラ豪華。なんならこっちの方が『ゴールデン』って感じ(^_^;)

ノンストップ、中垂れなし。冒頭から大階段を使用していて、序盤なのにすでにパレードのよう。手羽根率も高く、豪華な中にも品を感じます。手羽根やステッキなどの小道具を使ったシーンのあと、次の場面を担う人が、はけていく人に小道具を渡すシーンが好きなんですよねー(*^^*)

大階段を下りてくる時の歌は、歌っている人にちなんだ歌詞になっているのでお聴き逃しなく!

​フェニックス役の鳳月さんを囲む、フェニックスの幼鳥​(?​)たち。目立つ位置にいるのは普段は男役の皆さんかと思いますが、脚長​いっす…。

プロローグに続いては、もうロケット。

​そして・・・風間さんの独壇場へ(笑)

腹の底から湧き出てくるような、わざとハスキー​がかった声​を使ってみたり、剣を華麗に回してみたり、芸達者ぶりを遺憾なく発揮しておられます。ヒゲも似合うよなぁ。。

​今回も客席下り​はありますが、最近観た中ではおとなしめ。上の人たち​が下りてこない​からでしょうか(その場面の衣装を見て、下りてこないことは想像がつきました)。
それでも、2階席で観劇している時の「THE・疎外感」を嫌というほど味わっているしろこにとっては、1階席で客席下りを観られるだけで感激でした(><)列の真ん中あたりの席だったから、風を感じたりはできなかったけど、ジェンヌさんがすぐそこにいるというのは嬉しいものです。。

その後、上海を思わせるシックかつアダルティな、宝塚ではわりとよくあるタイプの場面(めちゃ好き)があり・・・

タイへ!

タイをここまでフィーチャーした場面は、月組『クルンテープ』以来では?

​韓国も、韓流アイドルを彷彿とさせる場面は月組ショーの定番になっていますが、宮廷風の長尺の場面は珍しい気がします。

​男役の群舞もデュエットダンス​も、鳳月さんの恐ろしいまでの手足の長さが際立つ振り付けで​、ただただ「美しい」に尽きる。デュエットダンスではリフト​もありますよ☆ 上背があるから、リフトもダイナミックです。

新生月組公演を観て感じたのは、トップと2番手の2人とも歌が上手いのは、大きな強みだということ。直近で2人とも歌が上手かったのは、星組の礼真琴さん✕瀬央ゆりあさんでしょうかね。トップコンビでいえば、これはもう満場一致で雪組の望海風斗さん✕​真彩希帆さん​ではないでしょうか。

花組のお披露目公演は、「新生花組、誕生!」という感じがなく若干モヤモヤしましたが、今回は芝居もショーも、ちゃんと「新生月組、誕生!」のお披露目公演でした。

鳳月さん、天紫さん、次回作も期待しています!

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