​~時代に翻弄された人々~ミュージカル『マタ・ハリ』(2025/10/21@梅田芸術劇場)【観劇レポ/感想】

舞台レポ

​※本記事には広告が含まれています。

本記事には芝居のネタバレを含みます。

こんにちは、しろこです。

前回、2021年の『マタ・ハリ』大阪公演は、観劇予定の当日の朝に中止になりました。

当時のブログを読むと、、、結構良いこと書いてます(自画自賛)笑。

あれから4年、キャストは変わったものの、『マタ・ハリ』を観たいという私の想いは全く変わらず。
(ちなみに『ジキルとハイド』は7年越しの悲願でした)

こういう時は、まずチケットを買う!

買ってから、なんとか行けるように都合をつける!
(良い子は真似をしないように…)

予想外の仕事の繁忙期で冷や汗ものでしたが、無事観劇してきました♪

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あらすじ

1917年、第一次世界大戦下のパリ。
ドイツ軍の侵攻が迫る中でも、マタ・ハリのダンスはパリ市民の心を捉えて離さない。ヨーロッパ中の皇族や政府高官、軍人たちを魅了した彼女は、戦時下のヨーロッパを自由に往来して公演を行っていた。
そこに目をつけたフランス諜報局のラドゥー大佐は、断れば人生の秘密を暴くとほのめかし、マタ・ハリにフランスのスパイとして働くよう要求する。
ラドゥーの要求に怯え、悩むマタだったが、戦闘機パイロットのアルマンと恋に落ち、自分の人生を生きるため、一度だけフランスのスパイを務めることを決心する。
だが、マタの想像を超えた国家同士の謀略は、愛を知った彼女の命運を変えていくのだった。

『マタ・ハリ』2025年公演公式ウェブサイトより

主な配役

マタ・ハリ:愛希れいか
パリで活躍する妖艶なダンサー。

アルマン:加藤和樹
戦闘機のパイロット。

ラドゥー:廣瀬友祐
フランス諜報局の大佐。

ヴォン・ビッシング:神尾佑
ドイツの将校。

アンナ:春風ひとみ
マタ・ハリの衣装係。

上演時間

【1幕】18:00~19:30(90分)

(休憩 25分)

【2幕】19:55~21:05(70分)

全体を通しての感想

人は最後に言われたことの方が印象に残ると思うので、最初にちょっと辛口なことを…。

『マタ・ハリ』の音楽を手掛けているのは、あのフランク・ワイルドホーン。

ワイルドホーンが紡ぎ出す、壮大で美しく、時に激しい曲の数々・・・

・・・を

・・・歌いこなせている人が

・・・いない。。。orz

スコーンと抜けるような声が出せる人が・・・いない。。。(;_;)

皆さん決して下手なんじゃないんです! 声に感情は乗ってるんです! でも・・・

ちょっと苦しい。。。

力で無理やり声を出そうとしてる感じで、そのうち喉を壊すんじゃないかと聴いてて心配になる。。。

舞台俳優さんの間でもワイルドホーンの曲は難しいと言われているようなので、ある程度はしょうがない・・・のか? いや、どうなんだ・・・?

はい、辛口コメント終わり(^o^;)

ダンスと芝居とビジュアルは申し分ないです。
1人何役も演じて、かつ歌い踊るアンサンブルの方々も素晴らしい。

マタ・ハリ役の愛希れいかさんは元宝塚月組のトップ娘役。
在団中からダンスに定評がありましたが、スタイルの良さも相まって、腕の一振りで惹き込まれます。
「観客を虜にするダンサー」の説得力がすごい。

マタ・ハリの楽屋のセットには、全面に大きな鏡が使われています。
通常なら、客席に背を向ける演技の時は役者の表情は見えませんが、今回はぜひ、鏡に映っている本来なら見えない演技までご覧いただければと思います!
ただ、愛希さんは後ろ姿も大変素敵なので、どちらを見るか迷うかもしれません(笑)

アルマン役は(※ラドゥー役の回もあります)、多分(私が)一番舞台で拝見している加藤和樹さん。
直近は5月の『フランケンシュタイン』でした。

出演作が途切れることがないんでしょうね。
好青年役も冷酷な役もいける加藤さんですが、今作では1幕終盤の航空基地のシーンが印象に残っています。

「死にたくない」と部隊から逃げようとするパイロットへかける言葉だったり、死ぬと分かっていながら飛び立たなければいけない部下を鼓舞する姿だったり、ここはシーン自体も心に来るものがあるんですが、いろんな感情を内に秘めながらも上官として部隊を率いる姿に目頭が熱くなりました。

ラドゥー役は廣瀬友祐さん。
公演チラシでよくお名前は拝見するものの、舞台で拝見するのはおそらく2017年の『ロミオとジュリエット』(ティボルト役)以来、8年ぶり。
久しぶりすぎて、こんなにガタイがよくて、こんなに野太い声の人だったっけ?と思ってしまいました(笑)マタ・ハリに心奪われたアルマンとラドゥーの男同士のデュエットは迫力があります!

2021年公演では、加藤さんと田代万里生さんがラドゥーのWキャストでした(私は観られなかったけど(T_T))。

その後、テレビ番組で田代さんが『マタ・ハリ』のラドゥー役について、

「公演が終わったらマネージャーさんが、『今日も、ラドゥー、キモいって投稿きてましたよ!』って嬉しそうに言ってくるんですよ(苦笑)」

と話していて、一体どんな役なのかと気になっていたのですが、、、全然キモくはなかったです(笑)

でも、キモくしようと思えばキモくできる役だなと思いました。一番料理しがいがある役というか。いろんな人のラドゥーが観てみたい。

マタ・ハリを利用して、最後は歪んだ愛と保身のために彼女を陥れるんだけど、その発端は部下である前線の兵士たちをこれ以上死なせるわけにはいかないという強い思いですしね。
多数を救うために少数を犠牲にしていいのかという意見はもちろんあると思いますが、善か悪かは見方によって違うわけで。

ラドゥーに対して受ける印象は、演出によってだいぶ違ってきそうです。

幕開きから重厚な雰囲気で話が進んでいきますが、2幕で違和感を覚える瞬間があるかもしれません(私だけ?)。

ラドゥーの脅しをものともせず、マタ・ハリがドイツの病院へ向かうシーンがあるのですが、これが「解き放たれたように愛する人の元へ一直線!ひゃっほ~い♪」という感じで(言い過ぎ)、急に物語全体が安っぽく思えてきたんです(私には)(;´∀`)
が、最後まで観て、違和感を覚える(私は)ほどの「明」なシーンがあるから、終盤の「暗」のシーンが引き立つんだろうなと考えを改めました。

また、ラストは好みが分かれると思います。

個人的には、処刑(銃殺)されて、エメラルドグリーンの衣装が照明で赤く染まって終わる、、、の方が、間延びした感がなくていいんじゃないかと思ったけど、「いやいや、最後のあの表情がいいのよ!」って言う人もいるでしょうね。どちらが良い・悪いではなく、ほんとに好みの問題です(笑)

実在した人物、マタ・ハリ。

その美しさと妖艶さは疑いようがありません(興味のある方はググってみてください☆)。

ファム・ファタールに謎や噂、伝説は付きもの。史実がどうだったかは分かりません。

でも、史実でもフィクションでも確かなことが一つあります。

それは、彼女もまた、戦争に翻弄された人だったということです。

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