2024年 第76回正倉院展レポート

多趣味の部屋

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こんにちは、しろこです。
正倉院展が完全予約制になっ​た2020年から毎年一緒に行っていた友人にフラれ​、今年は1人で行ってきました。

いつもは午前中のチケットを買うのですが、今年は初日の17時の枠。

なぜか…?

ちょっと安いからです(笑)

前日にチケット予約サイトを見たら、午前中の枠と17時の枠だけ完売になっていたので、「えー!? もしかしてめちゃくちゃ混んでるんやろか…」と、若干ドキドキしながら会場の奈良国立博物館へ。

さて、結果やいかに?

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基本情報

会期:2024年10月26日(土)~11月11日(月) ※会期中無休
時間:8:00~18:00 ※金土日祝は~20:00。入館は閉館時間の60分前まで
場所:奈良国立博物館(奈良県奈良市)
料金:一般2,000円、高校生・大学生1,500円、小学生・中学生500円、キャンパスメンバーズ学生400円(※レイト割:一般1,500円、高校生・大学生1,000円、小学生・中学生無料)

※レイト割:月~木曜は16時以降、金土日祝は17時以降の日時指定券に適用​。
※観覧には事前予約制の日時指定券が必要。日時指定券は当日各時間枠開始時刻まで販売。予定販売枚数に達し次第、販売終了。

チケット情報

発売日時:9/6(金)10:00
発売場所:ローソンチケット、CNプレイガイド、展覧会オンラインチケット、美術展ナビチケットアプリ

去年は発売開始が10/5だったので、今年は1ヶ月も早く発売されたんですね。発売場所に「美術展ナビチケットアプリ」が追加されていました。
私は展覧会オンラインチケットで購入。QRコード式のオンラインチケットですが、文明の利器をイマイチ信用していないの、もちろん印刷して持っていきました(詳細は2023年のレポートでどうぞ)。

待ち時間・混雑状況

今年も開場時間の15分前から待機列に並べます。が、18分前からそれとなーく、う~っすら列ができ始め、15分前には30人ぐらい並んでいたような…。

10分前になるとスタッフの方がチケットの確認に来ます。紙チケットの人は改札印の押印、オンラインチケットの人は日時を確認されます。

建物入口でもチケットの確認があるので、チケットはお手元にご用意したままにしておくか、取り出しやすい位置に一旦おしまいください。

5分前になると、建物横の待機列から入口へゾロゾロと移動。その頃には待機列は150メートルぐらいにはなっていたと思います(注:とてつもない目分量)。待機列からの眺めはこちら↓ シカさんのおしり入り。

いつもは「お進みください」と軽く誘導されるだけですが、今年はスタッフの方が先頭に立って、ゆっくりバックしながらの誘導でした。順番を抜かす不逞な輩が続出したのでしょうか…。

毎年、移動する列の途中にラックがあり、正倉院展を取り上げた新聞が置かれています。子ども新聞のような、大人が読んでも楽しくて分かりやすい読み物で、私はこれを毎年ひそかに楽しみにしています。でも、なぜか毎年、その場所にしか置かれていない。移動途中なので、その新聞を取るために列を止めてしまうのはしのびないわけですよ(←気が小さい)。今年は1人参加で、ラックのある側には初老の紳士がいたから(待機列では2列で並びます)、はなから取るのは諦めておりました。

…が!

先頭の誘導係のお兄さんが「こちらの新聞、よろしければご自由にお取りください」ってわざわざ案内してくれたんです! 5年目にして初めて! おかげさまで無事ゲットできました。今年はあの声かけがマニュアルにあるんですか? それともお兄さんのオリジナルですか!?

と、1人謎の興奮を覚えて改札を通ったら、今年は建物入って左手の机にも置いてありました(^_^;) 隠れた名品だったりして。

例年は改札が終わるとすぐに展示室がある2階に上がりますが、10月下旬の夕方ともなると、待っている間にひんやりしてきて膀胱が微妙な感じになったのでまずトイレへ。

トイレは建物入って左手奥の目立たない場所にあります。

10番目ぐらいに改札を通ったものの、数分の時間ロス。もう展示室混んでるよなぁ。。と思いながら上がったら…

ん? 過去一空いてる…?

前の時間帯が空いていたからなのか、空いてたんです…。混雑覚悟で行ったので肩透かしをくらった気分でした。時間が経つにつれ人が増えてはきましたが、意外にも最初から最後まで過去一ストレスフリーで見られたのです…。

いや、それで良かったんですよ。良かったんですけど…何でだろ。まぁ、この季節の17時はもう薄暗いし、見終わったら完全に日は暮れてて肌寒いから…か? と思っていたのですが、改めて展覧会のウェブサイトを見たところ、多分こういう↓理由だと思います。

ほとんどの時間枠は、入場可能時間が前後の枠と30分かぶっています(入場時間:8:00~9:00、8:30~9:30、9:00~10:00、9:30~10:30のように)。それが、私が予約していた17:00~18:00の前の枠は16:00~16:45だったんです。なので、「前の時間帯が空いていたから」というより「直近15分の枠がなかったから」、過去一空いているように感じたのでしょう。

感想

過去一じっくり見られた第76回正倉院展。今年も、しろこの独断と偏見で選ぶオススメ宝物をご紹介しまーす!

​今年の個人的イチオシは誰が何と言おうと、

深緑瑠璃魚形(ふかみどりるりのうおがた)
浅緑瑠璃魚形(あさみどりるりのうおがた)
碧瑠璃魚形(へきるりのうおがた)
黄瑠璃魚形(きるりのうおがた)

です!

7センチ弱の、魚を模したガラス製の腰に吊るす飾り。​第1展示室(階段上がって右手の部屋)の最後にあります。
何とも言えない丸っこいフォルムと、色ガラスが生み出す絶妙のグラデーション。尻尾が上下対象になっていないところが、全体の愛らしさを一層際立たせています(☆▽☆)グッズ売り場でも、この魚形チャームは大人気でした。たしかに一番グッズにしやすいポップさがあります。

今年の再現模造の1つが、この魚形4種。
ガラスの透明度や発色で言えばもちろん再現模造の方がキレイですし、再現するために職人も研究者も何度も試行錯誤や検証を重ねた思いますが、比べてみると物体が持っている力に歴然たる差を感じます。大塚国際美術館の絵画も悪くはないけど、本物の絵画と比べちゃダメだよね、みたいな(絵画好きな方は、きっとこの例えがしっくりくるはず…!)。でも、この再現模造も、1300年後には宝物になっているはずです。

​続いては、

瑠璃玉原料(るりだまのげんりょう)

読んで字のごとく、ガラス玉の原料で、魚形の近くの壁際の陳列棚に展示されています(小さいし平置きなので、混雑していると見にくいかも…)。魚形は4色ですが、原料は13色! 当時の人々にとっては宝石に他ならないものだったと思います。どれも今でも十分美しい。

今年のキービジュアルは、

​黄金瑠璃鈿背十二稜鏡(おうごんるりでんはいのじゅうにりょうきょう)

思っていたより小さくて、直径は18.5センチ。見た目からしてかなり重たそうですが、それもそのはず、重量は約2.2キロだそうです。重厚感と歴史の重み、技術や表現力の重み、デザイン性など、どれをとってもキービジュアルにふさわしい。七宝釉薬の輝きと鮮やかさは、写真と本物では段違いです!

技術・表現力・デザイン性でいえば、

沈香木画箱(じんこうもくがのはこ)

も見惚れる一品。寄木細工の箱で、象牙があしらわれています。服で例えるなら、一見すると派手さはないけど、いい生地を使っていて、控えめなアクセントがおしゃれ、みたいな感じでしょうか。もひとつな例えかな(苦笑)「貴重な品物を納めてほとけに捧げられたと考えられる」とのことですが、こんな箱に納められる貴重な品物って、一体何だったんでしょうか…。

と、しろこの妄想癖を刺激した宝物は他にもあります。

それが、

紫地鳳形錦御軾(むらさきじおおとりがたにしきのおんしょく)

聖武天皇御遺愛の品とされる、錦張りの肘掛け。

つまり…聖武天皇が肘を置いた(とされる)、もたれた(とされる)もの!

名前だけ見ると何のことかさっぱり分かりませんが(そもそも読めない)、「紫地鳳形錦」は巻いてある織物、「(御)軾」は肘掛けのことです。これぞ名前の凄み…。

陳列棚の近くにモニターが置かれていて、作り方が映像で紹介されています。展示室内で映像を流すのは正倉院展では今回が初かも? 2021年の正倉院展では、宝物の楽器の音を流していましたが、こういった試みはいいですね♪

​今回は刀も展示されています。

黒作大刀(くろづくりのたち)
無荘刀(むそうとう)

前者が鞘で、後者が刀身。これらが別々に展示されているということは…ですよ。

抜けた、ってことですよね。。

鞘がキレイなままなのは分かりますが、刀身も光を反射するほど輝いていました。研いであの状態になったのか、元々あの状態だったのか、非常に気になりました。抜き心地はどうだったのかとか、切れ味はとか、他にもいろいろと…。

気になる展示のもう1つは、

紫檀塔残欠(したんのとうざんけつ)

「紫檀塔」という小建築を構成していた残欠(パーツ)です。
宝物庫に保管されているのは全部で582片、そのうち部位を特定できるのは495片とのこと(それもすごい…)。何片が展示されていたのか分かりませんが、正倉院展に行く2週間くらい前にたまたま竹中大工道具館に行って(たまたま行くような所ではないか…)、釘を使わない結合方法やら大工道具やら木材やらを見てきたので、興味深く鑑賞できました。何事も、わずかでも知っていることがあると、見方が変わります。

この紫檀塔残欠、一言で表現するなら、「​完成形の分からない気の遠くなるような立体パズル」です(笑)

最後の展示室は、今年も文書(展覧会の構成は毎年同じなのかな?)。

文書(もんじょ)の文字と経の文字とでは、文字に対する書き手の心構えが全く違うということが、文字から見て取れます。

そうそう、2022年のレポートで「印だらけの文書」について触れましたが、なぜ印だらけなのか理由が書かれていました。

「改ざんを防ぐため」

だそうです。

改ざんする奴がいたってことですね…。親近感というと激しく語弊がありますが、1000数百年前も今も人間は変わらないなと、ちょっとしんみりして今年の第76回正倉院展の鑑賞を終えました(;´∀`)

正倉院の宝物は下記のウェブサイトから検索できるので(※時々、違う宝物がヒットする謎の仕様)、興味のある方は試してみてください☆

宮内庁 正倉院宝物検索
https://shosoin.kunaicho.go.jp/search

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