【感想】~噛み合わないはずなのに~舞台『オデッサ』(2024/2/8@森ノ宮ピロティホール)

舞台レポ

※本記事には広告が含まれています。

本記事には芝居の若干のネタバレを含みます。

こんにちは、しろこです。
2022年のNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』をきっかけに、同年11月、初めて三谷幸喜さんが手掛ける演劇を観ました。

ハマりました(笑)

2023年3月に4日間だけ大阪で上演された『笑の大学』はチケットが取れず。

1年以上ぶりに観劇した三谷作品は『オデッサ』

出演者は3人(全員が『鎌倉殿の13人』にご出演)。

キャッチコピーは『登場人物は三人。 言語は二つ。 真実は一つ。密室で繰り広げられる男と女と通訳の会話バトル』

期待が高まらないわけがない。内容もそうだけど、一体どれだけの台詞量なんだろう…というのも(^_^;)

あまり期待値を高く観劇すると、「あれぇ。。?」と思うこともままあれど、この作品は期待値以上でした!

本記事には芝居の若干のネタバレを含みます。

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あらすじ

アメリカ、テキサス州オデッサ。
1999年、一人の日本人旅行客がある殺人事件の容疑で勾留される。
彼は一切英語を話すことが出来なかった。
捜査にあたった警察官は日系人だったが日本語が話せなかった。
語学留学中の日本人青年が通訳として派遣されて来る。 取り調べが始まった。
登場人物は三人。 言語は二つ。 真実は一つ。
密室で繰り広げられる男と女と通訳の会話バトル。

​『オデッサ』公式ウェブサイトより

出演者

日高すじお(スティーブ):柿澤勇人
アメリカでジムのインストラクターとして働く日本人。日本語の通訳を頼まれる。

カチンスキー警部​:宮澤エマ
遺失物係の警部。母親が日本人。人手不足のため、殺人事件の重要参考人の聴取を担当する。

児島勘太郎:迫田孝也
旅行者。殺人事件の重要参考人として取り調べを受ける。鹿児島県出身(?)の元警察官。

上演時間

【開演】13:00
【終演】14:45

※途中休憩なし

感想

変な言い方ですが、噛み合わないはずなのに、何だかとても噛み合っている。そんな作品です。

​そしてうまい。脚本も​巧いし、それを自分のものにする役者も​上手い。

休憩なし​の1時間45分、柿澤さんと宮澤さんは​ほぼ出ずっぱりで​、​ものすごい台詞量。しかも日本語と英語​(と鹿児島弁)。

​私、観劇中、柿澤さんは元々英語の素養がある方なのかと思ってたんです(かつ、迫田さん同様、鹿児島出身なのかとも思った)。でも、観劇後に、この役を演るにあたり宮澤さんに英語を一言一句CDに吹き込んでもらって、それを聞いていたと知ってびっくり。ちなみに鹿児島弁も、迫田さんに吹き込んでもらったCDを繰り返し聞いて身に付けたそう。

役者さんってすごい。。。

『男と女と通訳の会話バトル』ということで、それをどう見せるのかと思っていたら、スティーブとカチンスキー警部が喋っている時は日本語の台詞(英語で会話をしている体)、スティーブと児島が喋っている時も日本語の台詞(日本語で会話をしている体)、で、3人が舞台上に出る場面では、スティーブは英語と日本語を、カチンスキー警部は英語を、児島は日本語を喋り、後ろのスクリーンに字幕が出ました。芝居を見つつ字幕も読めるぐらいの緩やかさ(?)で、時々遊び心が入っており(英語が分からない人にも理解できる遊び心です)、オペラの字幕のような読むストレスはありません。

​柿澤さんと宮澤さんの英語芝居もさることながら、迫田さんのネイティブ鹿児島弁も聞き応え十分です(笑)
エンドロール(舞台なのに!)の迫田さんの紹介に、「鹿児島弁監修」と書いてました(宮澤さんは「英語監修」)。鹿児島弁だけでなく、終盤でのキャラの変わりようも(声のトーンも全然違う)ご注目ください^^

​3人ともマイクはつけていましたが、生声みたいに聞こえました。PAさんの技術に拍手(゚∇゚ノノ”☆パチパチパチ!!
皆さん滑舌もよく、だからと言って不自然な喋り方でもなく、​すごい量の台詞でしたがどの台詞も聞き取りやすかったです。英語の内容も、ある程度英語ができる人なら字幕なしでも聞き取れると思います。

最後の最後で伏線を全て回収する(それもごく自然に)展開は、さすがの一言。​児島関係の伏線は途中で分かったけど、​スティーブ関係の伏線は「そうだったのか」でした。

​それにしても、三谷さんの頭の中ってどうなってるんだろう…。何であんなストーリーが浮かぶんだろう(もしかしたら、匙を投げそうになった時にふと何かが下りてくるのかもしれないけど(・。・;))。

私は舞台が好きで、この20年でいろいろ観ましたが、やっぱり「お約束の展開」とか「このシーンはあの作品にそっくりだな」と思うことがわりかしあるんです。あと「何で急にあんな展開になったんだ?」と思うような、ご都合主義とか無理やり取って付けたようなのとかもある。それでもそれ以外の部分(聴きたい曲があるとか、上手い役者がいるとか)で楽しめるのでまあいいのですが、三谷さんの手掛けた作品は、前回観た『ショー・マスト・ゴー・オン』も今回の『オデッサ』も、消化不良感は一切なし! 三谷作品を観続けると感じ方も変わってくるかもしれませんが(「あ、またアレやってる」みたいな)、前回に引き続き、喜劇ってこういう作品のことなのか…と噛み締めながら帰路につきました。

大阪公演の会場は、森ノ宮ピロティホールというところ。結構年季の入ったホールです。改修されてきれいになったとはいえ、新しいホールに比べるとトイレの数が少ない。

冬の寒い日。途中休憩のない通し舞台・・・はい、トイレ大行列。
開演時間にはギリギリ間に合いましたが、開演前のアナウンスが聞けませんでした(;_;)

「そんなに残念がることかい?」と思うなかれ。

『オデッサ』の会見レポートで、三谷さんが「僕は場内アナウンスを鹿児島弁と英語の2パターンを録音した」とおっしゃっていましてね。

そう、アナウンスは三谷さん自らがされていた・・・みたいです。聞きたかったなぁ。。

​作・演出/三谷幸喜

一度観たら、きっとハマる。
出演者が多い作品だろうが少ない作品だろうが、舞台上の熱量は変わらない。

​次回作も期待しています!

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