【感想】~「いつか」はない~東京サンシャインボーイズ『蒙古が襲来』(2025/3/15@京都劇場)

舞台レポ

※本記事には広告が含まれています。

本記事にはなんとなくのネタバレを含みます。

こんにちは、しろこです。
2025年最初の生観劇は、東京サンシャインボーイズの『蒙古が襲来』

『ショウ・マスト・ゴー・オン』『オデッサ』を経て、私にとっては3作目の三谷作品。
(宝塚で舞台化された『記憶にございません!』も含めると4作目)

プレイガイドのメルマガで上演情報を知り、出演者一覧を見て驚愕し、「『30年の充電期間』を経て三谷幸喜主宰のあの劇団が待望の復活!」という触れ込みに感嘆し、ポチッ(先行抽選に申込み)。

1994年に劇団が活動休止宣言した時に「次回公演をもちまして、30年の充電期間に入ることになりました。2024年、老境サンシャインボーイズ第1回公演(「リア玉(仮題)」)をどうぞお楽しみに」と言っていたというんだから、これまたすごい…。

というわけで、仕事もプライベートもなかなかに大変な状況ではあるのですが、ワクワクしながらいざ京都劇場へ!

本記事にはなんとなくのネタバレを含みます。

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あらすじ(?)

時は鎌倉、対馬の漁村。昨日と変わらぬ穏やかな一日。
異国の襲来が目の前に迫っている事を、彼らはまだ知らない。

PARCO STAGEオフィシャルサイトより

出演者

相島一之/阿南健治/伊藤俊人/小原雅人/梶原善/甲本雅裕/小林隆/近藤芳正/谷川清美/西田薫/西村まさ彦/野仲イサオ/宮地雅子/吉田羊

上演時間

【開演】13:00
【終演】14:55

※1時間55分。途中休憩なし

感想

三谷作品が上演される時は、開演前のアナウンスもお楽しみのひとつ。
今回はなんと、山寺宏一さんが担当されていました。
アナウンスの最後に「山寺宏一でした」と言った時は、ロビーで「おー!」とか「ああ!」という声が上がりました(「この声、どこかで聞いたことがあるけど誰だっけ…?」ということですかね:笑)。

ちなみに今回は終演後のアナウンスも豪華です​(戸田恵子さん)。観劇に行かれる皆様、お聴き逃しなさいませんように♪

さて、肝心の作品は・・・

・・・?

えっと・・・

んっと・・・

・・・何これ。

と​思うこと1時間30分。

上演時間は1時間55分。

最初の15分は「これからどういう展開になるんだろう」という期待。

期待・・・

期待・・・

・・・あれ?

どうするよこれ・・・

(1時間30分経過)

( ゚д゚)ハッッッ!l

最後の10分のためにそれまでの1時間45分があると言っても過言ではありません。

『衝撃のラストシーン』という表現は、この作品のためにこそあるんだと思います。

それが証拠に、これまで観た三谷作品に比べると、終演後の観客のおしゃべりが随分少なかったです。

突然地獄に突き落とされたような、大海の孤島に独り取り残されたような、そんな感覚を覚えるクライマックスでした。

途中の展開がどうであれ、最後まで大人しく観劇する国民性があるから上演できる作品。多分海外で上演したら、途中で大多数の観客がつまらないと思って帰るんじゃないかなぁ。。

漁村を舞台に、ひたすら他愛もない話が続く。

錚々たる役者が顔を揃えているので、それぞれの演技に味はあるんだけど、それ以外に特筆することもない。

ラストを知ると、それがかえって胸に刺さる。

「いつか」はない。「いつか」は「今」

ユーモアを交えつつ、現代を痛烈に風刺しているような作品です。

一部の者だけが肌感覚で気づくこと。

正常性バイアスの働き。

公開される情報とされない情報。

臭いものに蓋。

当事者意識の欠如。

何(誰)が善で何(誰)が悪か。

誰かが死ぬ。それが名もなき民だったとしても、その人がこの先数十年生き続けていたら、世界を変えるような発明をしたかもしれない。

21世紀に新たな戦争が始まり、戦争の火種はそこかしこに転がっています。

島国ゆえか、日本人はなんとなく戦争は遠い異国の話と思いがち。

それはどうやら昔から変わらないようです。

変わったことと言えば、鎌倉時代のように木造船ではるばる海を渡ってこなくても、安全な場所からミサイルを打ち込めるようになったこと、サイバー空間で攻撃できるようになったこと、偽情報で人を操れるようになったこと、などでしょうか。

「時は鎌倉、対馬の漁村。昨日と変わらぬ穏やかな一日。
異国の襲来が目の前に迫っている事を、彼らはまだ知らない。」

違うのは時代と場所だけ。この短い作品紹介は、今を生きる私たちへの警鐘なのかもしれません。

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