通院と服薬の卒業~フラッシュバック【うつ病体験記⑨】

うつ病体験記

通院と服薬を開始して3年弱、ついに卒業することになりました。

「しろこさん、最初にお会いしたときからずいぶん顔つきが変わりましたよ。自分でもそう思いませんか?お仕事も続いているようですし、もう抗うつ薬がなくても大丈夫そうですね。おめでとうございます。でも無理をしてはいけませんよ」

病院を出てなぜか空に目が行きました。

空って、こんな色してたんだ・・・。

数年ぶりに見上げた空はとてもキレイでした。

一応最後に安定剤をもらって、1年くらいはお守りのように持っていましたが、「でもこれを飲むと、また服薬生活に戻るかも・・・」と思い、調子の悪さを感じても意地でも飲みませんでした。

安定剤を手放したときが、本当の卒業のときだったのかもしれません。

で「本なんて、好き勝手なこと書いてますから」と言っておきながらなんですが、私にとっては有益だった本があります。

『考えない練習』著:小池龍之介

本屋をウロウロしていたときに、タイトルが目に飛び込んできました。

今でこそ、「マインドフルネス」や「今ここ」などと頻繁に耳にするようになりましたが、当時はそういった話はまだありませんでした(私が知らなかっただけかもしれませんが)。

読んだその日、お風呂に入っているときに、ためしに頭を洗うことに集中してみました。

意識してシャンプーを手のひらに取る。
手のひらでシャンプーの感覚を確かめる。
指先に神経を集中させて頭を洗う。
指が頭皮に当たっていることを感じる。
今、頭のどの部分を洗っているかを意識する。
頭の横の方から丁寧にすすぐ。

そうして一つ一つの動作に集中して頭を洗い終えると、それまで経験したことのない感覚がありました。うまく表現できませんが、なんというかこう、憑き物が取れたような感じとでもいいますか、す~っとした感じ。

そのとき初めて、脳は所有者の意識に反して常に動いているんだということに気づきました。積極的に考えようとしていないときでも、勝手にいろんなことが浮かんできたり思い出したり、常に暴走状態にあると自覚しました。

それから現在に至るまで、「あ、脳が暴走してる」と自覚したときは、意識的に何かに集中するようにしています。

最近よく言われているのは「呼吸に集中する」ですが、

歩いているときの足の裏の感覚に集中する、とか、
顔を洗うときの水の感覚に集中する、とか、

ふと「今やってみようかな」と思ったときに、ためしにやってみてください。最初は10秒たりとも集中できないと思います。。

通院と服薬を卒業し数ヶ月、ときどき調子が悪くなることはありましたが、安定剤を飲むこともなくわりと平和に過ごしていたある日。

なにげにテレビをつけたら・・・そこにうつ病の原因となった元上司が居たΣ(゚Д゚)!!

元職場が連日ワイドショーを賑わしていたことがありました。

建物すら見たくなかったし、名前を聞くのも嫌だったので、そのニュースは見ないようにしていたんですが、テレビをつけたらタイミング悪く映ったんです、事もあろうに元上司が。

突撃インタビューで、顔は映っていなかったものの声とか顔以外の外見はどう見てもあいつ(そもそも、負のニュースで賑わしていたのに突撃インタビューを受けるあたり性格が出る)。

すぐテレビは消したものの、全身がカーッと熱くなって、心臓がバクバクして、変な汗が出てきて、嫌なこと一気に思い出して、よく分からない状態になりました。

フラッシュバックというやつだったんでしょう。

そこから1週間くらいはうつ病がぶり返したような症状が続きました。よっぽど安定剤を飲もうかと思いましたが、最悪だった頃ほどの症状ではなかったためしばらく様子見していたら回復しました(脳が暴走してる状態が頻発したので、前述した「何かに集中」が役に立ちました)。

私は、うつ病の原因となった人をテレビで見るという、なかなかにありえないことがきっかけでフラッシュバックになりましたが、たとえば

よく似た人を見かけた、とか、
大声を出された、とか、

つらかったときの状況と似た状況に出くわしたことがきっかけで、フラッシュバックになることもあります。

出くわしてしまったらどうするか、ですが・・・

逃げる!

逃げるのみ!!

逃げるが勝ち!!!

視界に入れないようにする。
声が聞こえないところに行く。
深呼吸する。

あと、心臓がバクバクするとか、体が熱くなるとか、自分に起こった変化を観察する(「あ、今すごい心臓がバクバクしてる」とか「あ、なんか手が震えてる」とかを認識する)。

いろんな人がいるので、悲しいかな似たような人もいるのです。。

うつ病が寛解していれば、症状がぶり返してしまっても自然と回復すると思います。もし数週間経っても回復の兆しが見えなければ、無理せず主治医の先生に相談してみたほうがいいかもしれません。

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