~面白くないはずがない~宝塚歌劇星組公演『記憶にございません!』『Tiara Azul-Destino-』(2024/9/12@宝塚大劇場)【観劇レポ/感想】

宝塚レポ

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こんにちは、しろこです。

はて、星組の生観劇はいつ以来だろうか…と思い過去の記事を見たら、なんと2022年の11月以来!

前回の『RRR』はチケット取れず、前々回の『1789』はチケットが取れていた公演が中止になりましたもんで。。

キャスト一覧を見ても、顔と名前が一致する人がずいぶん減りました。そして名前の読み方すら分からない人が増えました(星組に限ったことではないけど)。

でもそういう時は、純粋に作品を楽しむチャンスでもあります!

そして今回は、あの三谷幸喜さんのコメディ作品!!

これでもしコケたら、あたしゃ宝塚ファンやめるわ…と思わずにはいられないほど、三谷さんの舞台は心惹かれるものがあるのです。

と言っても、今回の原作は映画。実は私、三谷さんの映画は観たことがありません…(そもそもあまり映画を観ない)。

で、でもでも、作品は脚本ありき!(だから宝塚も、座付きの脚本家を真剣に育ててちょうだい…)

最近は期待が外れることもそれなりにあるけれど、今回は期待して観劇しましたよー!

本記事には公演のネタバレを含みます。

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『記憶にございません!ートップ・シークレットー』について

あらすじ

史上最悪のダメ総理と揶揄される黒田総理は、投げつけられた石が頭に当たったことで記憶を失ってしまう。子供の頃のことは覚えているが、政治家になってからの記憶がそっくり抜け落ち、妻・聡子の顔すら忘れてしまう。前代未聞…現職総理の記憶喪失に、首相秘書官の井坂らは、この事態をトップ・シークレットとして扱い、黒田に無理やり政務を続行させる。一方黒田は、記憶を失ったことでこれまで自分が行ってきた(らしい?)不倫、汚職、暴言等、数々の悪行を知り唖然。国民の為に襟を正し、真摯に政治に向き合っていく黒田だったが、アメリカ大統領の訪日により官邸は再び大騒動に…。

宝塚歌劇オフィシャルサイトより

主な配役

黒田啓介:礼真琴
第127代内閣総理大臣

黒田聡子:舞空瞳
総理夫人

井坂:暁千星
総理秘書官

鶴丸大悟:輝月ゆうま
官房長官

古郡祐:極美慎
フリーライター

全体を通しての感想

開演アナウンスからすでに芝居が始まっています。

そして冒頭から私の視線を奪った人が2人…。

紫のスーツを着たバーコード頭のおっさん(小野田)と、つなぎを着た角刈りのおっさん(南条)。

前者はひろ香祐さん、後者は輝咲玲央さん。

いずれも芝居巧者ですが…しょっぱなから振り切ってます(笑)

てっきり他にメインの役があって、その他大勢の中の1人、みたいな位置づけで冒頭にちょこっと登場されているのかと思ったら…まさかの通し役でした。

幕開き数分。

助演俳優賞、決定です。

いきなり余談ですが、芝居中盤の啓介と聡子と小野田が登場する学生時代の回想シーンでの小野田は、別にスラムダンクの三井を意識したわけじゃないですよね…? 意識したんですか?? 小野田が殴り込みに行こうとしたのはサッカー部でしたけど、なぜか三井に見えちゃってしょうがなかった(笑)

今作では朝水りょうさんが怪我のため全日程休演、紫りらさんも途中休演(9/17に復帰)ということで非常に残念です。朝水さんが出演されていたら、どの役だったのかなぁ。。

現代の日本が舞台ということで、登場するのは『Shall we ダンス?』並みに普通の…と言っていいのか分からないけど(なんせクセもアクも強い)、スーツ姿の人々。シンプルな普通のスーツだからこそ、スタイルの良さが際立ちます。

内閣改造した時などに、レッドカーペットが敷かれた階段(国会議事堂の中央階段)に閣僚が並んで記念撮影しているシーンをニュースや新聞で目にしますが、なんかもう、宝塚のためにあるようなシーンに思えてしまいました。大階段を人に例えるなら、まさにハマり役。

礼さんはお披露目公演『眩耀の谷~舞い降りた新星~』で演じた丹礼真から前作『RRR』のビームまで、熱量高く他者を率いる役や陽の役が多かった印象なので、記憶を失ってからのうろたえたような演技や普通の(?)台詞回しが新鮮でした。あんなにおどおどしながら姿勢悪く銀橋を渡る主役、初めて見ました(^m^)

今作で退団される舞空さん演じる総理夫人は、貞淑な妻…ではありません。ポスターのイメージと全っ然違う、ぶっ飛んだキャラです。ドレスあり、着物あり、セーラー服ありの七変化。井坂とアルゼンチンタンゴまで踊っちゃいます。原作の映画を見ていないので、映画の聡子がどんなキャラなのかは知りませんが、いくら退団公演といってもちょっとやり過ぎ感が否めませんでした。舞空さんは好きだし、ぶっ飛んでてもキュートなことに変わりはないんですが、あんまりやり過ぎると『カジノ・ロワイヤル』みたいなことになりかねませんからね。。宝塚は好きだけど、作品を見る目は非常にシビアなしろこなのです。。

暁さん演じる井坂は、職務にも総理にも忠実な男。でも総理夫人と不倫中。しかも井坂にとって聡子との不倫はただの遊び。常に感情は抑えめでクール一徹な外見ですが、やってることの振り幅が大きい人。最初の方で役者泣かせの台詞がありますが、バッチリ決めてくれます☆ メガネに黒スーツでも、立ってるだけで素敵…♡

鶴丸大悟官房長官は、◯◯と✕✕と△△(実在する政治家)を足して割ったような嫌な奴。開演時に「登場人物などはすべて架空のもの。現実に似ていることがあっても、それはたまたまである」というお断りが舞台いっぱいに映されますが、きっと一番はこいつのことでしょう。輝月さんがいやらしく演じてくれます。

この鶴丸大悟、啓介に「あなたはこの国をどうしたいのか」と問われて、こう答えるんです。

「それは1年生議員の質問だ。私の目標はこの世界にできるだけ長く留まることだ」

あ゛ーーーー!!! キーーーーーッ!!!

これも「たまたま」なんですかね( ̄ー ̄)ニヤリ

啓介の息子が啓介のことを、「偉くなるにつれて目つき顔つきが変わっていった」と批判するシーン。どの世界でもある話だと思いますが、時期が時期だけに、どっかの知事の顔が浮かんできちゃって…。そう思ったのは私だけではなかったようで、幕間休憩中に斜め後ろの席の2人組が同じことを言ってました。ですよね…。

コメディなんだけど、ブラックユーモアというのか、笑えるんだけど笑えない台詞が時々あります(^_^;)

そんな中での救いは、美稀千種さんが演じる柳友一郎。元小学校の教師で啓介の恩師です。

「政治家(総理大臣だったかも…)は国民に雇われている」

柳先生、もっと言ってやってください。世界に向けて言ってやってくださいぃぃぃぃ。。。

今作『記憶にございません!』は、三谷さんが手掛けた映画を元に、あくまでも宝塚で上演する用に作られた作品だそうです(公演プログラムより)。純粋に面白かったし、観るたびに新たな発見がありそうなので、配信でも観ようと思います♪

『Tiara Azul-Destino-』について

全体を通しての感想

手拍子に忙しくて、オペラグラスを構える暇がありません(^o^;)

別に一人が手拍子をやめたところで音の大きさは変わらないんだろうけど、生の舞台は演者と客席の共同作業ですから、手拍子で少しでも演者を乗せたいのですよ!

センターに舞空さん、両側に男役を従えての…銀橋チョンパからのスタート! 衣装も鮮やか&爽やかで、ショーが始まったぞー!!という高揚感満載の幕開きです。

が、その後しばらくのシーンが思い出せず…。

多分、緩急の「緩」の部分で、好きなタイプの演出じゃなくて、最近仕事が忙しかったので集中力が切れちゃって、集中力が切れると仕事が頭をかすめてさらに集中できなくなって…はい、末期症状です。。頭の中でもう一人の自分に「しろこ、集中!」とビンタされ我に返りました。ほっぺパンパンです(何発殴られたんだか…)。

ダルマ姿の男役が銀橋を渡る迫力で、集中力復活。男役娘役問わず、今回はダルマ率が高い気がします。足長ーい(><)

カルナバルが最高潮を迎える中詰では、お約束となった客席下りがあります。客席に下りて舞台に戻るのではなく、客席を通って退場します。カルナバルのパレードのイメージかな? 今回は1階の通路側の席だったので真横に来てくれるかも…!と期待していましたが、客席を通って「退場」するので、真ん中の通路より後方にはいらっしゃいません。残念(;_:) でも、真ん中の通路を目指して進んでくる皆さんをほぼ真正面から見ることができました。ああ、謎の涙が出ちゃう。。。

カルナバルが終わり、舞台上では礼さんと舞空さんが静かに伸びやかに踊ります。控えめなオフホワイトの衣装で、足元は裸足。今回のショーでは、トップコンビのテイストの違うデュエットダンスが2回観られます。

続いて、幕開きチョンパと同じくらい印象に残った、暁さんがセンターの酒場のシーン。アルゼンチンが舞台だから、がっつりアルゼンチンタンゴを踊ってくれるのかと思っていたら、そうではなかった…。

しかし!

一人で踊る振りがキレッキレで色気があってレベルが高い!! 特に、足を左右真横にすごい速さで交互に上げる振りは必見です。一瞬のことなので皆さんお見逃しなく!!

男役の群舞は、黒燕尾で踊るTHE​・宝塚な正統派のダンスも素敵ですが、ロック調でギラギラオラオラしたのも素敵。特に星組は後者の方が合っているように思います。

イケイケな男役の皆さんにポ~ッ(〃▽〃)となった後は、『星に願いを』に乗せた正統派の(?)デュエットダンスへ。

カルナバル後のデュエットダンスが「感じるダンス」なら、こちらのデュエットダンスは「魅せるダンス」でしょうか。感じる方では、舞空さんが幸せで泣きそうな顔を、魅せる方では弾けんばかりのキラキラとした笑顔をしていたのが印象的でした。

礼さんと舞空さん、ビジュアルといい技量といい、とてもお似合いのトップコンビでした。他の組に比べて、生で拝見できる機会が少なかったのが残念です(/_;)

舞空さんの後任となるトップ娘役は置かないそうですね。
いろいろと憶測を呼びそうな気もしますが、固定されないということは可能性が広がるということでもあると思うので、今後の星組にも期待したいと思います!

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