~これこそ当て書き~宝塚歌劇花組公演『アルカンシェル~パリに架かる虹~』(2024/3/24@楽天TV)【観劇レポ/感想】

宝塚レポ

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3/2(土)午前10時。私は宝塚駅へと向かう電車に乗っておりました。
柚香光さんと星風まどかさんの退団公演を観劇するために…。

こんにちは、しろこです。

当日は母親と宝塚大劇場で待ち合わせ。
スマホの着信バイブを感じ、てっきり母親からLINEが来たのかと思いスマホを見ると・・・

「本日の公演は中止させていただきます」

・・・!?

今!?

いやちょっと待って開演1時間前ですけどっっっ・・・!?

観劇予定日の当日に中止が発表されたことは、これまでにも経験があります。

しかーし! 開演1時間て・・・。

ネットニュースで、観客がすでに席に着いた開演直前に中止が発表された舞台(宝塚ではない)があったと何度か読んだことがあります。それに比べれば、1時間前の中止発表はマシかもしれないけど・・・けど・・・えええっ。。。

月組『グレート・ギャツビー』以来の大ショック。。。。

ショックすぎてもう笑うしかない(泣笑)

とりあえず劇場には行って、公演プログラムは買いました。そしたらロビーで案内スタッフの方に詰め寄って怒鳴り散らしてるおっさんがいて、非常に不快でした。

楽しみにしていたのはすごく分かるし、中止発表が遅いと思うのも分かる。

でも、案内スタッフの方に罪はありません。
周囲にいて、聞きたくもない罵声を聞かされた我々にも罪はありません。

マナーの悪い客はいつ行ってもいますが、さすがに怒鳴り散らしてる奴には初めて遭遇しました。

私も嫌というほど経験がありますし、きっと今後もあると思いますが、どこの組織でも上の方針や発言の煽りを食うのは、最前線にいる人々です。

詰め寄られていたスタッフの方、メンタル病んでないといいけど。。。

本記事には芝居の若干のネタバレを含みます。

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あらすじ

ナチス・ドイツ占領下のパリ。レビュー劇場「アルカンシェル」では、ドイツ軍の進駐目前にユダヤ系の人々が亡命、残された人気ダンサーのマルセルが、劇場を託される。看板歌手のカトリーヌと意見を対立させながらも、一座の命運をかけてドイツ軍検閲官のフリードリッヒと渡り合い、レビューの灯を護ろうとするマルセルは、密かにパリの街を取り戻すためのレジスタンス運動に加わっていく。ある時ドイツ軍将校の執拗な求愛を退けたことで、追われる身となったカトリーヌを匿うこととなるマルセル。やがて二人は惹かれ合い、共に愛する祖国のために戦うことを決意する。ドイツ軍の敗色が濃厚になる中、パリを爆破する準備が進められているとの情報を得たマルセル達は、何とかして街を護ろうと立ち上がるのだが…。

宝塚歌劇オフィシャルサイトより

主な配役

マルセル・ドーラン:柚香光
アルカンシェル・ド・パリのダンサー。新場面の振付を任される。

カトリーヌ・ルノー:星風まどか
アルカンシェル・ド・パリの歌姫。演出を任される。

フリードリッヒ・アドラー:永久輝せあ
ナチス・ドイツの文化統制官。演劇担当。

コンラート・バルツァー:輝月ゆうま
ナチス・ドイツの文化統制官。音楽担当。ヒトラーの親衛隊。

イヴ・ゴーシェ:聖乃あすか
本作の語り手。曽祖父はアルカンシェル・ド・パリのコメディアンだった。

全体を通しての感想

『アルカンシェル』とカタカナで見るとピンと来なくても、幕に映ったスペル(Arc-en-Ciel)を見て、「あ、ラルク・アン・シエルかぁ」と思った30~40代の方が一定数いるのではないでしょうか。少なくとも私は思いました(笑)

さて、前宙組トップコンビの真風涼帆さんと潤花さんの退団公演で、小池さんに失望したワタクシ。
小池修一郎が演出するなら間違いない!と思っていただけに、なかなかの衝撃作でした。

花組トップコンビの退団公演を手掛けるのは・・・あ、また小池さんなんですか。。

しかも今回はオリジナル作品。

作品紹介を読んで、これは柚香さんへの完全な当て書きだと思ったので、今回はイケるはず…という期待が半分。
一方で、『カジノ・ロワイヤル』がほんとに最低だったので(意見には個人差があります)、悪夢再びもあり得る…という不安が半分。

幕開きはアルカンシェル・ド・パリでのレビューの場面。

期待が高まります。

でも、『カジノ・ロワイヤル』も幕開きはめちゃくちゃ良かったのです。だから、そう簡単には騙されないぞ(-“-;)

結果・・・。

「何でそこでふざけるんですか?」と思う場面やご都合主義が否めないストーリー展開もありました。どこかで見たような場面​も多かった(『カジノ・ロワイヤル』の寄せ集め感に通じる)。

が、全体的には悪くなかったです​(でも、演出家に期待するのは金輪際やめます)。

一本物の芝居ではあるものの、レビューや舞台裏を観ることができて、一度で二度、いや、三度おいしい作品ではありました。

まず驚いたのは、物語の語り手として最初に登場する聖乃あすかさん

メイクの感じもあるとは思いますが、なんか雰囲気変わったなぁ。。「男になってきた」とでも言えばいいのでしょうか。『カフェブレイク』での受け答えを見ていると、本来はほんわかした可愛らしい女性なんですよね。その印象があってか、これまではどんな役を演じていても、どこか女性的な雰囲気が抜けない気がしていたのですが、イヴ・ゴーシェは「男」でした。男が前面に出たキャラクターではないけれど、ちゃんと「男」でした。歌もずいぶん上手くなっていて、ダブルの驚きです!

歌と言えば、「歌なぁ…花組なぁ…」と思っていたそこのアナタ、そしてワタシ!

『巡礼の年』が終わって不安が押し寄せ、『うたかたの恋』で不安が的中し、『鴛鴦歌合戦』で巻き返しを感じ、、、『アルカンシェル』でひと安心しました。

花組、歌、大丈夫になった!

柚香さんも歌が上手くなっていました。今までは気持ちに歌唱技術が追いついていないように見受けられたのですが(ごめんね。。)、最後の公演でその2つが釣り合ったと思います。ピエロとして踊るシーンは、柚香さんの身体表現に惹き込まれました。体が喋ってる。前半と後半で2回、トータルでほんの数分しかないのが残念​!

星風さんは、花組に来てから振り幅が広がった気がします。元々上手かったですが、聖乃さんと同じく非常に可愛らしいお顔なので、芯の強い大人の女性の役がこんなにハマるようになるとは…。​月組トップ娘役の海乃美月さん同様、役のキャラによって声の使い方が​全然違うんですよね。だから芝居に説得力があるんだと思います。

見た目の説得力という点では、この方を置いて他にいらっしゃらないでしょう。専科の輝月ゆうまさん!​ 軍服姿に説得力がある双璧の一人!(もう一人は月組の大楠てらさん)

月組時代から芝居巧者。『雨に唄えば』ではまさかの女役もされていましたが、不思議と違和感​はありませんでした。それも演技力の成せる業。​これからいろんな組で拝見できるのが嬉しいです。

永久輝さん演じるフリードリッヒは意外なキャラ。作品紹介に「一座の命運をかけてドイツ軍検閲官のフリードリッヒと渡り合い、レビューの灯を護ろうとするマルセル」という記述があるし、ポスターを見ても、ポーズや目つきが厳格な軍人(それもナチス・ドイツの)だったので、アルカンシェルの団員たちと徹底的にやり合う役どころなのかと思っていたら…あれ?

私はそういう役を期待していたのですが。。なんなら笑顔も一切見せない、冷徹な役​を。。

とはいえ、永久輝さんが演じるからこそ、フリードリッヒの志や人間性の素敵さに嫌味がな​い​。一人の人間としての思いと組織内の立場との間で板挟みになり浮かべる苦渋の表情に魅了されました。意に沿わぬことがあった時、自分や自分の近しい人々のために自己を押し殺すか、どういう結果になろうとも自分の心に正直に生きるか、考えさせられる芝居でした。

フィナーレのダンスは、エディット・ピアフの『愛の讃歌』。これを、エレキギターがギュインギュインと演奏。
こんなロックな『愛の讃歌』は初めてです。どんなアレンジをされようが、『愛の讃歌』は『愛の讃歌』​でした(笑)

トップさんの退団公演には欠かせない、黒燕尾姿の男役の群舞は、サヨナラショーでありました。退団後どうされるのかは分かりませんが、これで柚香さんのダンスも見納め​か。。(T_T)グスッ

東京では全公演無事に上演できることを祈っています。

長期トップの重責たるや、凄まじいものだったと思います。

本当にお疲れ様でした。そしてありがとうございました!

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