~心技体を要する舞台~ミュージカル『フィスト・オブ・ノーススター~北斗の拳~』(2022/1/8@梅田芸術劇場メインホール)【観劇レポ/感想】

舞台レポ

本記事には公演のネタバレを含みます。

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2022年一発目の記事は観劇レポ。題材は、ミュージカル『フィスト・オブ・ノーススター~北斗の拳~』です!!

明けましておめでとうございます。しろこです。

いつも拙ブログを読んでくださっている方は、「え、あんたの舞台始めは宝塚じゃないの!?」とお思いのことでしょう(笑)

で、

「それが『北斗の拳』ってどゆこと!?」

とも?( ̄ー ̄)ニヤリ

『北斗の拳』です、はい、あの『アタタタタタタターーー!!!お前はもう死んでいる』の。

すみませんね、説明が雑すぎて(笑)

雑なんじゃないんです、ほんとにこれ(アタター!以下省略)しか知らなかったんです。

昨年、宝塚で上演された『シティーハンター』と同様、『懐かしのアニメBEST100』みたいな番組で見たことがあるぐらいだったので(^o^;)

今回のミュージカル『フィスト・オブ・ノーススター~北斗の拳~』の存在を知ったのは、プレイガイドからのメルマガ。

出演者一覧に、福井晶一さんはじめ、加藤和樹さん、伊礼彼方さん、そして私の好きな上原理生さんという、ミュージカル界の錚々たる顔ぶれが!!

「なんて贅沢な…」と思ったものの、「あれ、主役の大貫勇輔さんって、ダンサーじゃなかったっけ?宮尾俊太郎さんもバレエダンサーだし…」とも思い、ミュージカルは歌ってなんぼと思っている私は、「ん~…やめておこう」という結論に達しました(ダンサーの印象が強すぎて、歌えるのを知らなかったのです。。)。

翻意したのは、12月に放送された『FNS歌謡祭』を見たから。

ミュージカル特集のコーナーで『フィスト・オブ・ノーススター~北斗の拳~』のパフォーマンスがありました。

1曲目は大貫さんのソロ。

冒頭のテロップで目にしたもの。それは…

『作曲:フランク・ワイルドホーン』

これを読んでいる方からの

「そこ!?」

という総ツッコミが聞こえてきそうですが(苦笑)

そこです、そこ。

フランク・ワイルドホーンさんですよ!

ほら、『スカーレット・ピンパーネル』とか『ジキル&ハイド』とかを手掛けた!!宝塚でも、『ひかりふる路(みち)』や、今年再演される『NEVER SAY GOODBYE』の曲を手掛けてます!!

私の中ではミュージカル界で3本の指に入る作曲家(あとの2人は、シルヴェスター・リーヴァイとアンドリュー・ロイド=ウェバー)なんですけど、、、いいのよ、誰も共感してくれなくても。。(ノД`)シクシク

大貫さんの歌も思った以上にお上手だったので(ほんとすみませんm(__)m。ダンサーだけにパフォーマンスで魅せた身体能力は抜群!)、その日のうちにチケットを購入しました。

原作を知らないのでストーリーもビジュアルも比較はできませんが、終盤「?」と思う演出(話の流れ)はあったものの、舞台としては「アリ」だと思います。

名だたるミュージカル俳優が一堂に会しているだけあって、主役からアンサンブルまでレベルが高い!子役(14歳と17歳は子役と言っていいのかしら…)も上手い!大貫さんとアンサンブルの方々のアクロバットもめちゃくちゃ本格的!

終盤「?」となってしまったので、そのまま幕が下りたら「ん~・・・う~ん・・・ん?」という感想だったかもしれません(『終わりよければ全てよし』って言うぐらいですから^^;)。でも、終演後のトークショーが私にとってメガヒットだったので、「良い舞台始めだったわぁ^^」と思いながら帰路につくことができました。

本記事には公演のネタバレを含みます。

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あらすじ

2000年の歴史を誇る北斗神拳の修行に励んでいたケンシロウ、トキ、ラオウの三兄弟。師父リュウケンは、末弟のケンシロウを次の伝承者に選ぶ。核戦争によって文明社会は崩壊し、暴力が支配するようになった荒廃した世界。ケンシロウは、幼い頃に南斗の里から来たユリアと共に生きていこうとした日、南斗のシンにユリアを強奪され、胸に七つの傷を刻まれる。絶望の中で放浪の旅に出たケンシロウは、たどり着いた村で孤児のバットとリンと出会い行動を共にする。一方、ラオウは世紀末覇者・拳王を名乗り、世界を力と恐怖で支配しようとしていた。ケンシロウは、女戦士マミヤをリーダーとする村の用心棒レイと共に、ラオウによって牢獄に囚われたトキを救出するが、その後ユリアが失意の中でシンの居城から身を投げたことを知る。南斗の将のためラオウと闘い、壮絶な最期を遂げたジュウザをはじめとする愛すべき仲間や強敵(とも)たちの哀しみを胸に、ケンシロウは世界に光を取り戻すべく救世主として立ち上がるーーー。

主な配役

ケンシロウ:大貫勇輔
第64代北斗神拳伝承者。胸に7つの傷を持つ。

ユリア:平原綾香
ケンシロウの婚約者。

トキ:加藤和樹
ケンシロウの次兄。華麗な技と天賦の才を持つが、不治の病を患う。

ラオウ:福井晶一
ケンシロウの長兄。世紀末覇者・拳王として覇を唱える。

リュウケン:川口竜也
第63代北斗神拳伝承者。

ジュウザ:伊礼彼方
我流の拳で闘う者。

レイ:上原理生
用心棒。南斗水鳥拳の伝承者。

シン:上田堪大
南斗孤鷲拳の伝承者。

マミヤ:松原凜子
村のリーダーとして闘う女戦士。

バット:渡邉蒼
孤児。ケンシロウやリンと行動を共にする。

リン:近藤華
孤児。虐げられていたところをケンシロウに救われる。

トウ:白羽ゆり
ユリヤの付き人。幼い頃から密かにラオウを慕う。

上演時間

1幕:17:30~18:55
休憩:25分
2幕:19:20~20:35

※終演後、トークショーあり。

感想

なんと場内アナウンス(『劇場内での会話はお控えください』など)は主演の大貫勇輔さん!

場内アナウンスはたいてい女性がやるので、男性がやっているというだけでも新鮮なのに、サプライズでした!落ち着いた穏やかな声♪

チケットがたたき売りされていたのでガラガラなのかと思いきや、蓋を開けてみれば大阪4公演は満員御礼とのこと。若者と4~50代が多かった印象です。ゲーム世代とアニメ(漫画)世代かな?あと、男性が多かった。

オーケストラの演奏が始まった瞬間から、「チケット取ってよかった!」と思いました。しょっぱなからフォルテで聴衆をガッ!と引き込む。これから何が起こるんだろうと思わせてくれる音楽です。ワイルドホーン万歳\(^o^)/

オープニングアクトのアンサンブルと、リュウケン役の川口竜也さんの歌で「ほんとに取ってよかった!」と確信に。川口さんの声の圧がすごい。歌の途中で「どこかで聴いた声…」と思っていたら、『マリー・アントワネット』にジャック・エベール役で出演しておられました。

ジャック・エベールのときは、キャラ作りのためか、あえて平べったい潰した声(でも声量はある)で歌われていたように思いますが、今回は腹の底から轟くような太い低音!

ラオウ役の福井晶一さんも野太い唸るような声。師匠と弟子なので台詞のやり取りはあったけど、この2人の歌の掛け合いがなかったのが残念です(><)もしあれば、日本のミュージカル史上屈指の歌唱バトルとなったことでしょう(笑)

本当に何も知らなかったので、いきなり核戦争のシーンになり、「そんな話だったの!?」と思いました。トキの人物紹介に書いていた『不治の病を患う』というのは、核攻撃を受けたことが原因のようです。

何回かあったワイヤーアクションは、無いほうがいい。ワイヤーアクションが入ったことで、そのシーンが急にチープな印象になりました。シリアスなシーンだったのに笑いが起こるし。

って、もしかして、東京公演では笑いは起こらなかったんじゃないですかね?

私も大阪に住んで長いけど、芝居中に客席から笑いが起こり、「え、笑うとこなの?」と思うことがたまにあります。台詞が面白いとか、動きが面白いとかで起こる笑いではなく、冷やかしというのかなぁ、バカにしたような笑いというか。演者は役としてそのシーンを真剣にやってるのに…と思うところで起こる笑いは大嫌いです。演者はやりにくかろう。

敵が死ぬときの『ひでぶ!』でも笑いが起こってたけど、わざわざ背景にも文字で『ひでぶ』と出たから、そこは狙ってのことでしょうね。断末魔の叫び(?)でもう一つあったな。何だっけ?『ぐわし』?違うな、それは楳図かずおか。

ワイヤーアクションは不要。

だって、生身の体を使った動きやアクロバットが見事だったもの。

ケンシロウ役の大貫勇輔さんが魅せたターンしながらのジャンプは、初めて熊川哲也さんのジャンプを見たときと同じ衝撃を受けました。ほんとに飛べるんじゃないかと思う跳躍力と滞空時間。

大貫さんはダンサーだから身体能力が高くて俊敏かつしなやかな筋肉があるというのは分かりますが、加藤和樹さんや上原理生さんはこの作品のために鍛え上げたんじゃないでしょうか。元々上背があってがっしりした舞台映えする体格ではあるけれど、腕も足も一回りは太くなっていた印象です。

ユリヤ役の平原綾香さん、初めて生歌を拝聴しましたが、テレビを通して聴くよりずっと素敵な歌声!これが画面を通しては伝わらない『空気の震え』なんですよねー(*^^*) 地を這うような低音から高らかに響く高音まで自由自在。芝居は改善の余地ありだけど(すんません)、台詞を発するときの声も歌声のようで耳に心地よかったです(だからかえって芝居に違和感があったのかも?)。

シン役の上田堪大さん、最初の台詞を発したとき、声優さんが演じているのかと思いました。いい意味で全く雑味の無いアニメ声。滑舌もいい。調べたところ、漫画やアニメの舞台版に多く出演していらっしゃいました。納得。ってか、私、いい勘してる(๑• ̀д•́ )✧ドヤッ

シンは、ケンシロウから力ずくでユリヤを奪い、ユリヤを脅し、ユリヤの愛を得ようと略奪や殺戮を犯して手に入れた金品をユリヤに贈る、という、始めはとんでもない男。それが、自分の目の前で城から投身自殺を図ったユリヤが実は生きていて、彼女が南斗の将だと分かったことから、ラオウの配下に入り忠誠を誓ったと見せかけて、最終的にユリヤのためにラオウと闘って命を落とす、という(とてつもなく端折ってます)、一番変化の大きい役どころ。ともすれば滑稽に見える可能性のある役だと思うのですが(私だけ?)、上田さんの声の感じと相まって、「こんなキャラもありか」と思わせてくれました。

ミュージカル好きの方にとっては言われるまでもないであろうラオウ役の福井晶一さんは、声もさることながら出で立ちの威圧感が半端ない。そりゃつえぇよ、そりゃみんなひれ伏すよって感じの(笑)(余談ですが、ラオウが乗っている馬を演じていた人たちも、馬の動きをよく研究されていたと思う)

ただの権力主義者かと思いきや、幼い頃のトキとのエピソードが丁寧に描かれたことで、悪役には納まりきらない魅力がある役でした(原作も?)。ゴリゴリの悪役にも魅力はあるけど(あくまでもフィクションの世界での話ね(^_^;))、感情移入できたり多角的に見ることができる悪役にはもっと魅力があります。Wキャストの宮尾俊太郎さんが演じるラオウはどんな感じだったのか、とても気になる…。

孤児のリンとバットも良かったのよねぇ。。リン役は近藤華さん、バット役は渡邉蒼さん。調べたところ、近藤さんは14歳、渡邉さんは17歳とのこと。バットは大人の俳優が演じているのかと思って観ていたので、若くてびっくり。

ラオウの配下の者たちが、リンとバットが一時的に身を寄せていた村を襲うシーンで、『ケン(シロウ)が「悪魔に魂を売ったら人間じゃなくなる」と言っていた』と相手に立ち向かっていく様では、少女の折れそうな体に宿る熱い魂が見て取れました。そんなリンの姿を見て、恐怖を抑えて立ち上がる村人たちの叫びと強さが全面に出たアンサンブルでは胸が熱くなりました。今作で一番印象に残ったシーンです。

マミヤ役の松原凜子さん、歌うシーンはあまりなかったのですが、まさに闘う女戦士の声にぴったりな勇ましい歌声!

レイ役の上原理生さん、相変わらずいいお声で(贔屓目入ってます)(*´ω`*) ラオウの拳を受けて悶えている声すら、いい声でした。こちらも歌があまりなかったのが残念すぎます。。マミヤのことが好きなのが見え見えなのに、マミヤには「妹じゃないんだから」なんて一蹴されちゃってかわいそうに(笑)

そしてそして、ジュウザ役の伊礼彼方さん。第一声は、ばっちり客席目線で『お待たせ(^_-)-☆』
待ってましたよ~。1幕で一切登場しませんでしたもん。誰かの台詞で存在を匂わすこともなかったし(ありましたっけ?)。髪型といい衣装といいノリといい、『美女と野獣』に出てくるガストンみたいな感じ(え、違う?)。最初の方の台詞はゆるい感じだったので、アドリブなのかもしれません。以前ライブで見た伊礼さん、まんまです(笑)

この作品で唯一ノリノリのソロを担っていました。ジュウザとしてではなく、伊礼彼方として舞台に出ていたのではなかろうか(^m^)

伊礼さんは普段のトークからしてラテン系のおにーちゃんです。Wキャストのもう一つの回(レイ:伊礼さん、ジュウザ:上原さん)だと、それぞれ新たな発見があったかもしれない…。Wキャストのときはね、ほんとは両方観たいんだよ。。

ラストにかけて「?」な部分もあり(原作を知っていると違うのかなぁ…。ケンシロウとラオウが闘った後に、何でユリヤがラオウのところに居るの?どこまでがラオウの夢?)、ラオウが『天に還るのに人の手は借りん』と言って自分で自分の胸を突いて、ワイヤー吊りで退場するところでまた笑いが起こるし(笑うところじゃないよね?)、個人的には尻すぼみ感というか、モヤモヤが残りました。ユリヤがラオウのところに居たのがあまりに「??」で、せっかくの平原さんの大ソロ(多分、ユリヤ一番の見せ場)も、ちょっと上の空になってしまった(;´Д`) もしかしてこれ、予習の要る作品だったのかな。。

長編の原作がある作品にありがちな、登場人物の掘り下げ方の不足は否めませんでした。

ラストもそうだし、ジュウザとユリヤの関係も。南斗の将がユリヤだと分かった途端、それまでチャラチャラしていたジュウザの態度がコロッと変わり、すぐにラオウと闘って、結構あっさり殺られちゃう。多分、ジュウザとユリヤとの話で作品1つできるぐらい深い内容が原作にはあるんだと思うけど(とか言って、なかったらどうしよう:笑)。

演者は肉体改造に稽古(芝居だけでなく、拳法の型も)に大変だったと思います。これほど心技体を要する舞台もなかなか無いでしょう。だから余計に、脚本と演出の惜しさみたいなものを感じてしまいました。

そんな私のモヤモヤをふっ飛ばしてくれたのが、終演後のトークショー!

指揮者の塩田明弘さんが司会進行を務め、大貫さんと平原さんが登場。何の話をするのかと思っていたら、なんと曲の話!フランク・ワイルドホーンの話!!

『フランクさんが演奏するピアノは、歌を引き出してくれる』だそうです。

ユリヤの大ソロは、ワイルドホーンが『歌いやすいように歌いなさい』と言ったそうで、平原さんとWキャストのMay’nさんとでキーが違うんですって(@_@;) そんなこと聞いたら、余計聴き比べたくなるじゃないか(笑)

平原さんは、『ユリヤは守ってもらう役だから、自分の歌い方では強すぎると言われ、あえて声量を落として歌う部分もあった』とのこと。

大貫さんからは、『ワイルドホーンさんの曲は、口ずさめるけど歌おうと思うと難しい』とのご発言が。平原さんも大いにうなずいておられました。宝塚で『エリザベート』をやるたびに、演者が同じことを言っています。ワイルドホーンとリーヴァイ(『エリザベート』の作曲家)が作る曲は、根っこの部分で共通点があるのかもしれません。

ミュージカルの曲の特徴は、転調の多さです。転調によって心情の変化や状況の変化を効果的に表現することができるから(しろこの見解)。

ケンシロウもユリヤも、心情を歌い上げる大きなソロがあるのですが、どちらの曲も珍しく転調がない。『同じ調の中で、気持ちの変化を表現していくのが難しい』とのことです。

塩田さんの

『ロイド=ウェバー(『オペラ座の怪人』や『キャッツ』の作曲家)やシェーンベルク(『レ・ミゼラブル』や『ミス・サイゴン』の作曲家)、アラン・メンケン(ディズニー作品をよく手掛けている作曲家)の曲は、一音一音歌えば歌になる。でもワイルドホーンの曲は、一音に魂を乗せないと歌にならない』

という視点は、目からうろこでした。なるほどなー(リーヴァイの曲も多分同じ)。

肉体改造については、男性陣は稽古場でプロテインを飲んで筋トレをしていたそう。稽古場では、「おはよう」と言って大胸筋を前に突き出すポーズで挨拶するのが日常になっていたようです(笑)

かたは平原さんは、『ユリヤってボン・キュッ・ボンじゃないですか。どうしよう…と思って考えたのが「くびれ」!』

たしかに見事なくびれができていました(*ノェノ)キャー。声を出すためには体重を落としてはいけないらしく、体重を落とさずにスタイル良く見せるためにはどうしたらいいかを考えてのことだそう。どんなトレーニングをしたかも教えてほしかったー(T_T)

私にとっては食い気味に聞ける興味深い話ばかりで、あっという間のトークショーでした(20分くらいかな?)。本番直後のお疲れのところを、お三方、本当にありがとうございましたm(_ _)m

最後に、本作で一番心に残ったのは(※このままの台詞があったわけではありません)、

『死を恐怖するか、死を覚悟するか』

です。

2022年も死ぬ覚悟で生きていこうと思います。

年明け早々、宝塚の2作品がコロナで公演中止になったという不安要素がありますが、今年は何回劇場に行けるかなぁ。。

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