~派手さはなくとも~宝塚歌劇月組公演『Eternal Voice 消え残る想い』『Grande TAKARAZUKA 110!』(2024/4/6@宝塚大劇場)【観劇レポ/感想】

宝塚レポ

※本記事には広告が含まれています。

こんにちは、しろこです。
好きなジェンヌさんはたくさんいますが、その中でも月城かなとさんは別格です。
こんなに好きになった人は、私を再び宝塚歌劇の世界に引き戻してくれた元月組トップの霧矢大夢さん以来。

どのタイミングでバトンを渡すのがベストか考え、当初からトップ就任から大劇場の5作目をもって退団しようと思っていらしたなんて。。。
その姿勢と想いを知り、ここにきてますますファンになりました(T_T)

めちゃくちゃ楽しみにしていた『グレート・ギャツビー』は観劇が叶いませんでしたが(観劇予定日の朝に公演中止)、退団公演となった今作も含め大劇場公演の4作は幸運にも生で観劇できました。

ああ、月城さん。。。。。

本記事には公演のネタバレを含みます。

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『Eternal Voice 消え残る想い』について

あらすじ

ヴィクトリア女王統治下のイギリス。考古学に傾倒しているユリウスは、古美術商を営む叔父に頼まれ、アンティーク・ハンターとして各地を飛び回る生活を送っていた。そんなある日、彼はメアリー・スチュアートの遺品とされる首飾りを手に入れる。叔父は色めき立つが、その日からユリウスは原因不明の目眩や悪夢に悩まされるようになる。あの首飾りは呪われているのではないか。思いあまったユリウスは超常現象を研究する友人の元を訪れ、助手を務めるアデーラという女性に巡り会う。アデーラはユリウスを一目見るや、全てを察したかのように彼の状態を言い当てる。この二人の邂逅はまさに運命的なものであった。そして二人はやがて巻き起こる国を揺るがしかねない大事件へと誘われてゆく…。

宝塚歌劇オフィシャルサイトより

主な配役

ユリウス:月城かなと
アンティークハンターを生業にする考古学者。

アデーラ:海乃美月
超常現象研究所の被験者。

ヴィクター:鳳月杏
超常現象研究家。ユリウスの友人。

ダシエル:風間柚乃
特定秘密局の局員。

カイ:礼華はる
ユリウスの助手。

全体を通しての感想

宝塚歌劇の観劇歴10年超。これまで観劇した作品をカテゴライズすると下記の4タイプになります。

①作品紹介(演出家含む)を読んで期待を膨らませて観劇し、大満足した作品。
②作品紹介(演出家含む)を読んで期待を膨らませて観劇し、失望した作品。
③作品紹介(演出家含む)を読んで「なんだこれは…」と思って、まったく期待せずに観劇したら意外と面白かった作品。
④作品紹介(演出家含む)を読んで「なんだこれは…」と思って、まったく期待せずに観劇したら案の定「なんだこれは…」だった作品。

最近多いのは②と④

が、今回は珍しく③でした!

『観劇前の期待は薬とも毒ともなる』(しろこ語録)

『Eternal Voice 消え残る想い』はトップコンビの退団公演ですが、退団色を前面に出した作品ではありません。

映像をふんだんに使っていることもあってか、演出や衣装の色合いに派手さはありません。

観劇後に思い返しても、これといって蘇るシーンはありません。

奇をてらったところも恣意的な演出や台詞もない(そもそもの物語の設定にちょっと引くけど(^o^;))。

ヴィクトリア女王やメアリー・スチュアートについての背景知識が全くない人は、話を追うのが難しい(と思う)し、これまで舞台を観劇したことがない人が初めて観る作品が本作だったら、舞台って面白くない…と思うかもしれない(台詞を丁寧に拾っていけば話の繋がりは分かります)。

つまり、万人受けする作品ではない。

となったら、芝居で魅せるしかない。

だから、こういう雰囲気の作品を月城さんと海乃さんの退団公演にあえて合わせてきたのかなと思います。この2人ならやってくれるはずだと。

作品自体には期待していなかったので、予習なしで観劇。歴史物(と言っていいのか?)は好きですが、決して詳しいわけではないので、台詞や空気感から当時の時代背景を理解しようと終始ものすごく集中して観ました。

集中して観たおかげで、いつも以上に惹き込まれました。

『メアリー・スチュアート』と聞くと『ブラッディ・メアリー(血まみれのメアリー)』を思い浮かべる方もいらっしゃると思いますが、ブラッディ・メアリーの異名を取るメアリー・スチュアートは、16世紀のメアリー1世のことです(今作はヴィクトリア女王統治下のイギリスが舞台なので、19世紀の話)。ヨーロッパの王族って同じ名前が多いから混乱しますよね(;´Д`)

(5月11日訂正)
千秋楽の配信を観たところ、「メアリー・スチュアートに会った」と言うアデーラに、ユリウスのおじが「200年前だぞ」と言っておりました。ということは、本作に登場するメアリー・スチュアートは、ブラッディ・メアリーのことと思われます。ブラッディ・メアリーが行った凄まじい迫害について作品中では触れられていなかったため、勘違いしておりました。ここに訂正してお詫びいたします。

真面目な作品だけど堅苦しくない。そのバランスが絶妙。クスッと笑える台詞や芝居が散りばめられています。

もちろん意図した演出ではあるけれど、前作『フリューゲル』や某演出家の得意技のように狙っている感じが出ていないのがいい♪ ただ、あまりにもさり気ないものもあるので、ちゃんと観て(聞いて)いないと気付かないかもしれません(笑)

真ん中で芝居をしている月城さんももちろん好きですが、台詞を喋っていない時、歌を歌っていない時の表情がこれまたたまらないんです。芝居だから全部嘘なんだけど、嘘じゃない感じがする。

今作も、ラストのヴィクトリア女王に拝謁するシーンでの表情の変化に目が行きました(台詞のない部分)。

ユリウスの特殊能力を、両親や周りの人は信じてくれなかった。
それなのに女王は信じてくれた、という驚きと喜びの入り混じった表情をされています。

第三者の方が、純粋かつ冷静に物事を見ることができるという観賞者へのメッセージ、、、と捉えたのは私だけですかね(^_^;)

可能性にかけて行動を起こすユリウスには、押し付けがましくない前向きさがあります。
「ついて来い」ではなく「ともに行こう」という優しさが感じられるから、ずっと自分の力を恐れいていたアデーラも前を向くことができたのではないでしょうか。

ユリウスは、ある意味で月城さんへの当て書きだったのかもしれません。

2020年に開設した拙ブログ『まるかて。』
トップコンビの退団公演の観劇レポは今回で5本目です。

雪組『fff』と月組『桜嵐記』も良作でしたが、『Eternal Voice 消え残る想い』はいずれともタイプの違う、派手さはないものの確かな手応えのある作品でした。

何も考えなくてもストーリーが入ってくる受け身で観られる作品も時にはいいけれど、私はやっぱり能動的に観ないとストーリーに入っていけない作品の方が好きなのだと改めて気付かされました。

それを気付かせてくれたのは、他でもない月城かなとさん。

本音を言えば、もっともっといろんな役が観たかったです。

『Grande TAKARAZUKA 110!』について

全体を通しての感想

ショーはやっぱりこうでなくっちゃ!

このところ立て続けにイマイチなショーが続いているので(意見には個人差があります)、やっと宝塚のショーを観た!という気分になりました☆

華やかさの中にも品のあるムーンカラーの衣装に身を包んだ月組生が勢揃いする幕開き!

・・・いいっ(*´ω`*)

なんかもう・・・嬉しいっ(感泣)

宝塚に対して思うことは今も変わらずありますが、月組はいい組なんだと思いたいです。

私は長年、大学の研究室や研究所の研究室で勤務していたのですが、教授やラボヘッドによって研究室の雰囲気が全く違うんです。それこそ、本当に同じ組織に属しているのかと思うぐらい違うこともある。

宝塚に対する私の気持ちは『RRR』の観劇レポで吐露しているので、よろしければ読んでやってください。

アヴァンギャルドがテーマのシーンでは、鳳月さんがムーンカラーの品のあるゴールドではない、超ギラギラしたゴールドの手袋をつけて登場。
衣装(もとい手袋)が気になって気になって。学天則かよ!って(;´∀`)

芸人のガクテンソクさんとは違います。興味のある方は『学天則 大阪市立科学館』で画像検索してみてください。

全体的にオーバーサイズの衣装なのに、それでも手足の長さが分かるなんて、ほんと異次元のスタイルです。。

中詰のスパニッシュでは、色気と力強さが両立する男役の群舞。そして銀橋に娘役がズラリと並ぶ。
全員が並ぶより、男役だけ、娘役だけで並ぶ方が「おおっ!」となるのはなぜでしょうか(私だけ?)。

そしてそして、恒例となった客席下り。

しろこ@2階席

言いようのない疎外感でした(号泣)

コロナ前の話ですが、客席下りの時、ごく稀に下級生が2階席に来てくれることがあったんだけど…あれは復活させないんですかね。。たとえ近くに来た人が名前も顔も知らない人だったとしても、近くに来てくれたというだけでものすごい高揚感があるのに。。。(遠い目)

今回の月組公演は、トップコンビの退団公演であると同時に、110期生の初舞台公演でもあります。

110期生のお披露目の場面。導入するのは風間さん。

今年も発動した謎の親心。しろこ、独身・子なしなのに(笑)

フォーメーションが複雑だったからか、バタバタ感が否めませんでした。足上げも右に上げたり左に上げたり、両手を上げては下ろしたり、難しいことに挑戦しているのは分かりましたが、初舞台のラインダンスは揃ってなんぼ…ではなかったのだろうか。。

彼女たちが中堅になる頃には、良き伝統は残しつつも悪しき慣習を一層した組織になっていてほしいものです。

初舞台公演を最後に二度と渡れないかもしれない銀橋を渡って袖にはけ、客席が温かい空気に包まれます。
このままの勢いで最後まで突っ走るのかと思いきや、空気が180度変わり、淡い水色の装束をお召になった月城さんが登場。雪組時代を思わせる歌を歌いながら銀橋を優美に渡り、その後は滝廉太郎の『荒城の月』を舞う。

月城さんだけ完全な和装で、他の人は和のテイストを感じる洋装。
静謐とした世界観のシーンです。最後に月城さんの和装姿も観られて感無量。

シーンの終盤、舞台上で月城さんの衣装替えが始まったので、またまた空気がガラッと変わり、今度はアップテンポのダンスナンバーになるのかと思いました。
しかし、衣装替えのお手伝いをしていた皆さんが避けたところにいたのは、烏帽子をかぶった月城さん。月の模様の入った長い装束をひきずりながら、厳かに階段(大階段ではなくセットの階段)を上がります。
歩みが止まり、客席を振り返った瞬間に暗転。『応天の門』に通じる印象的なラストでした。

退団を感じさせる歌を退団者自身が歌うのがお決まりかと思っていましたが、今回は送り出す側の想いを鳳月さんが歌います。
トップコンビ以外の退団者は、銀橋を渡りながら歌う。演出家からのはなむけですね^^

芝居もショーも、トップコンビの退団を意識させる演出はほとんどありませんでしたが、いつも通り、でもこれで最後、というのがかえってグッときてしまいました。

男役の黒燕尾の群舞は、月城さんも含め全員が飾りのないシンプルな黒燕尾で。いい緊張感が伝わってくるようでした。

これで見納めとなるデュエットダンス。まずはグレーがかった水色のドレスをまとった海乃さんが舞台中央からセリ上がって大階段を上がり、月城さんは大階段の上から下りてきます。

このツーショット、好きだぁ。。

『Eternal Voice 消え残る想い』同様、派手さはないものの、月城さんと海乃さんのコンビにふさわしい、穏やかで優しい空気が流れるデュエットダンスでした。

・・・・・・・・・。(言葉にならない)

冒頭でも書いたとおり、好きなジェンヌさんはたくさんいますが、月城かなとさんは別格でした。
なんだろうな。。もちろん実際には舞台上やテレビ画面の向こうでの姿しか知らないんだけど、人間性に引き寄せられるものがあったんです。

退団後はどうされるのかな…なんて言ったら怒られますかね。。(;_;)
私にできることは、月城さんが決めた道を陰ながら応援することだけです。。

退団公演はまだまだ始まったばかり。東京千秋楽まで無事上演でき、宝塚人生を悔いなく終われるよう心より願っています。

私を宝塚の世界に引き戻してくださりありがとうございました。

・・・・・・・・・。(言葉にならない)

あ”ー!! 語彙力と表現力が足りずにこの想いをうまく伝えられずもどかしいっ(><)

・・・今まで本当にありがとうございました。

・・・・・・前も今もこれからも大好きです!!!

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