※本記事には広告が含まれています。
前回の生観劇は、宙組『NEVER SAY GOODBYE』でした。
そして今回の雪組『夢介千両みやげ』。
宝塚の振り幅、恐るべし…。
こんにちは、しろこです。
映画はシネコンで上映される娯楽作品より、単館上映される作品の方が好きなタイプです。
万歳三唱のハッピーエンドより、否が応でも続きを想像してしまう終わり方の方が好きです。
決してひねくれているわけではありません。
いや、多少はひねくれているかもしれません。
でも今回の『夢介千両みやげ』を観て、手放しのハッピーエンドもたまにはいいなと思いました。『スヴィッツラハウス』の台詞にもあったけど、芝居を観ている間は現実の嫌なことを忘れられました。
『夢介千両みやげ』について
参考情報
あらすじ
小田原の庄屋の息子・夢介は、父親から“通人”になるため千両を使って江戸で道楽修行をしてこいと命ぜられる。江戸へ向かう道中、美しい道中師(スリ)のお銀に懐を狙われるが、お銀は夢介のお人好しっぷりに惚れ、押しかけ女房となる。偉丈夫だが暴力は嫌い。朴訥で優しい善意の塊のような夢介は、渡された千両を使い、様々な形で関わった人々を変えていく。
主な配役
夢介:彩風咲奈
小田原の庄屋の息子。道楽修行に出る。
お銀:朝月希和
道中師。通称「オランダお銀」
総太郎:朝美絢
伊勢屋の放蕩息子。
三太:和希そら
スリの少年。お銀の仲間で情報屋。
金の字:縣千
遊び人。
嘉平:汝鳥伶
夢介の爺や。
全体を通しての感想
日本物を観ると、全員女性だということを忘れそうになります(^o^; すごいよなぁ。。(しみじみ)
何かのインタビューで彩風さんが、夢介のことを「宝塚の主人公にはないタイプ」とおっしゃっていました。
実際観劇して、ここまで見た目も喋り方ももっさりした主人公だとは夢にも思いませんでした(@_@;)
「粋でいなせ」とは対極に位置するもっさり度合い。劇中で「牛のよう」と形容されていますが、まさにそんな「ぬぼ~」っとした感じです。
スタイリッシュな彩風さんにこの役を当てるのか、いや、あえて当ててみたのか(^m^)
原作『夢介千両みやげ』のあらすじを読む限り、舞台化する際に夢介のキャラはいじっていなさそうですね。
「道楽=酒・女・博打にふけるどーしようもない輩」というイメージがあったので(私だけじゃないよね、きっと(^o^;))、「親からもらった千両で道楽修行」って、一体どういう設定なのよ…と思いながら観始めました。
どうも今作のポイントは、「道楽修行」ではなく「通人(つうじん)」の方にあったように思います。
デジタル大辞泉によると、通人とは
①ある事柄、特に趣味的なことに精通している人。
②人情の機微、特に男女間のことに深い思いやりのある人。
③花柳界の事情に通じている人。
だそうです。
「ツウな人」という表現はよく耳にしますが、②のような意味があるとは知りませんでした。
まさに夢介ですね。
とはいえ、それだと夢介はもともと通人だったということになって、「通人になるために」と合わないな。ちょっと具合が悪い(苦笑)
でも、言葉の意味を知ると合点がいく方もいらっしゃるのでは?あくまでも全てしろこの勝手な見解ですので、真偽の程は分かりませんが。自己責任でお願いします(;・∀・)(←何を?)
次から次へと問題(?)が起こるものの、ドタバタ劇という感じはなく、終始ほのぼのとした雰囲気。一応悪役も出てくるけど、芝居用の悪人です。本当の悪人はね、悪人然とはしていませんから(←怖いことを言うな)。
上演時間はいつもと同じ1時間35分でしたが、なんとなくいつもより長く感じました。
さて、突然ですが、私は日本物に登場する気っ風のいい女性が好きです!
お銀が登場したときは、心の中で「よっ!待ってました!」と掛け声をば。朝月さんは見た目の感じから可愛らしくて儚い印象があるけど、今回のお銀や『はいからさんが通る』の吉次のように、啖呵を切る背筋の伸びた日本物の女性が似合うんだなぁ。そういう役を演じるときの、ちょっとドスをきかせた低音ボイスも素敵☆
そしてそして、今回「素敵-(*ノェノ)!!」と思った娘役がもうお一方。
芸者・浜次役の妃華ゆきのさん。
名前に見覚えはあったものの、ぶっちゃけ今までの舞台で何の役を演じていたかは全く思い出せず(申し訳ございません。。)。
真那春人さん演じる偽旗本・一つ目の御前と結託して夢介を騙そうとするものの、お銀と同様、夢介のお人好しっぷりと素朴さにイチコロとなる浜次。
芸者特有の、背中はまっすぐのまま、少し膝を落として若干前かがみになる姿勢とか、足の運び方とか、なめらかで美しかったです。台詞回しも聞いていて心地よかったし。これから注目します!今まで認識なくてすみませんでした!!(;´∀`)
日本物はね、所作が美しいとそれだけで目を引くんですよね。
所作と言えば、金の字を演じる縣さんがラストでおいしいところを持っていきます。そのときの鮮やかな袴捌き、ぜひご注目あれ!だから「金の字」だったのね~( ̄ー ̄)ニヤリ。
夢介は、斜めから見ると、人を疑うことを知らない大金持ちのボンボンです。
そうと分かっていても、不穏で殺伐とした昨今にあって、心にじわっとくる作品でした。
それは、夢介の根底には、みんな幸せになってほしいという想いがあるから。
我を通すことも欲をかくこともない。決して奢ることなく、自分というものをよく分かった地に足のついた人。本当にすごい人、尊敬できる人というのは、こういう人なんだと思います。肩書や権力を振りかざして威張っているのは、ただの小者(昔、某コンサートホールで来賓受付の短期バイトをしたことがありますが、何かをカンチガイしているおエライサンって結構いるのよね…(-“-#))。
『夢介千両みやげ』はあくまでもフィクションであり、現実世界には今も昔も夢介のような人はいないでしょう(もしいたら、現実ではいいカモにされて終わり)。
それでも、観劇後に、これからは困っている人には積極的に声を掛けてみようかなと思う自分がいました。
『Sensational!』について
全体を通しての感想
幕開けから、さっきまで牛のような田舎者を演じていた人とは思えないギラギラ、オラオラっぷり。うっぷんたまってたのかと思うくらいです(笑)
やっぱりショーはこうでなくっちゃね(*^^*)
・・・と思ったものの、全体を通して見ると、これといって印象に残ったシーンがないのはなぜだろう。。
全体的に衣装が、なんかちょっと、、、斬新と言ってしまえばそうなんだけど、なんか、、、いや、好みの問題だと思うんですけど、特に幕開けのシルバーの衣装がね。。シルバーはいいんですよ。で、帽子とネクタイにビビッドなアクセントカラーを持ってくるのもカッコいい。でも、それと同じ色の手袋もしていて、その手袋のせいで全体が急にもっさりして見えたのよね。。たまにあるんですよね、残念な目立つポイントが。いや、好みの問題です、はい、すみません。
トップから若手まで、それぞれに見せ場となるシーンはありました。
でも、月組『Dream Chaser』や前回の雪組『Fire Fever!』のように、「あのシーンもこのシーンも!」みたいなのがなかった。。
記憶力には定評のあるしろこですが(自分で言うな)、ほんっとにあまり思い出せなくて、ブログを書くにあたり公式サイトの動画を見てしまいました(;一_一) で、「あ~、そういえばこんなシーンあったな」と思う始末。。
退屈だったんじゃないんです。
そう、退屈だったわけじゃない。なのに印象に残らない不思議。。
映像や銀橋を使い倒してたことが一因?
銀橋の使用頻度に関しては、ノリがいいと取るか、安売りと取るかは人それぞれでしょう。焼肉や寿司はたまに食べるから贅沢なのです。舞台と客席が近くなるから、迫力はありましたけどね^^
特に黒燕尾の男役が銀橋にズラッと居並んで踊るシーンは、観ていて唯一(をい)テンションが上りました♪
その後、彩風さんと、今作で退団される綾凰華さんの2人だけが銀橋に残る演出にはぐっときました。2人の間にも客席にも、穏やかで優しくて温かい空気が流れたように思います。退団者への愛が感じられる演出は、誰が辞めるときでも胸に来るものがありますね。学年が上だったり、下級生の頃から注目されていた人であればあるほどです。
芝居を観て、和希そらさんは一体どういう立ち位置で組替えになったんだろうと思ってました。そしたらショーで大活躍!センターを任される場面もあったし、朝美絢さんとツートップで起用されるシーンも多かった。小柄だけど目を引く躍動感。全身からリズムが溢れ出る感じとでも言いましょうか。芝居も歌も上手いし、個人的には星組トップの礼真琴さんのようなイメージです。
観劇したのは4/11(月)の13時公演(年休取った(๑•̀ㅂ•́)و✧グッ!!)。
いくら平日の公演といっても、千秋楽まであと1週間。なのに1階席でも結構空席がありました。もちろん空いているのは後方だったり端の方の席ではあるんですが、ちょっと寂しかったです。とはいえ、平日公演ですらチケットが取れないこともあるので、演目も組も関係なく毎公演観たい私のような人間には、チケットが取りやすくてありがたくもあった。ファン心理は複雑です(苦笑)
重厚な社会派の芝居も良し、気楽に観られる人情物の芝居も良し。
夢介で芝居の新境地を魅せていただきましたが、次はやっぱりビシッと決めたスマートな彩風さんが観たいです!
コメント